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平成27年度1月知事定例記者会見(平成28年1月13日)の要旨について
日時:平成28年1月13日(水曜日)
11時04分~11時33分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
今年一年をどのような一年にしたいかなど、抱負について伺いたい。
(知事)
はい。新年の会でも申し上げたんですが、今年は申年、漢字で書くと「申」(もうす)でありますけれども、これに人偏「人」を加えますと「伸」(伸びる)ということになりますので、成長、伸びる、そんな年にできればというふうに思います。
また、県内各地、東、中、南予で大きめのイベントも展開する予定でございますので、本県の魅力をPRするきっかけにし、さらにはおもてなしによって多くの人々をお迎えできればと思っています。
東、中、南予で分類しますと、南予では、先ほどお話した、「えひめいやしの南予博2016」が3月末から11月まで約8カ月間、開催されますけれども、本当に南予の魅力は、高速道路が開通するまでは交通の便が悪かったということもあって、あれだけの素材がありながらも県外で知られることはそうはなかったと思います。昨今では松山圏域から1時間ちょっとで宇和島圏域まで行けるようになりましたんで、非常にその資源というものを広く紹介する条件が整ったというふうに思っておりますので、いやしの秘境としてですね、南予の魅力を大いに発信していければというふうに思っています。
次に、東予では、10月30日に瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2016」を開催することといたしました。2年前に初めて行った高速道路を自転車に供用するという取り組みを今回も実施したいと思っておりますが、2年前のあれだけの規模、8,000人規模となりますと、4年に1度が精一杯かなと当時も申し上げさせていただきましたが、中間年でもありますので、規模的には3,500人くらいの規模で大会を運営できればというふうに思っております。しかし、すでにですね、国際大会開催以降、31の国と地域からの参加もあったということ、それからしまなみ海道がアメリカのCNNで世界七大サイクリングコースに選定されたこと、いろんな追い風もあってですね、週末にはもう見違えるような光景、世界各国からもサイクリストが訪れるようになってまいりました。そんな知名度の向上もありますので、今回も発表と同時にですね、早く定員が埋まってしまう恐れがありますので、ぜひという方はお早めに申し込みが始まったらですね、まだちょっと決まってはいないんですけれども、ぜひエントリーのほど、チャレンジしてみてください。
それから、中予では、11月5日と6日の2日間にわたりまして、松山市の城山公園で「ゆるキャラグランプリ2016in愛顔のえひめ」を開催することといたしました。みきゃんは昨年、準グランプリということでありましたが、発表したようにおもてなしに徹するということで、全国に愛媛をPRする機会になればというふうに思ってます。また、正式には決まっていませんけれども、みきゃんが出ないということになれば、県内の市町のキャラクター、あるいは企業のキャラクターもどんどん出てですね、愛媛県内での順位付けのようなことを併せて行えば、また、それぞれの地域で盛り上がるじゃないかなというふうにも思いますので、そのあたりもちょっと考えていきたいなというふうに思ってます。
さらに、本年は、えひめ国体・えひめ大会の前年ということになりますので、4月にまず、ラグビーフットボールの大会がございますけれども、ともかくあらゆる競技のリハーサル大会という位置付けでの全国大会、西日本大会が相当数行われることになります。来年の本大会に向けて、これも正式な大会ですから、万全な受け入れ体制の準備、トレーニングにもなると思いますので、こうしたことをしっかりと対応することで来年のえひめ国体・えひめ大会の成功、そして天皇杯獲得という目標に向かって前進をしていきたいというふうに思います。
このほか、2期目の公約の3本柱として、防災・減災対策では、原子力防災対策をはじめ、県立学校の耐震化等、ソフト・ハード両面の対策の着実な推進を行っていきたいと思います。また、人口減少対策では、県内への移住、そして、若年者の県内定着の促進、結婚支援や産業人材の育成・確保等の取り組みの強化に力を入れていきたいと思います。
また、地域経済の活性化では、えひめ営業本部による年間成約額のさらなる上積み、県産の農林水産物の高品質化・ブランド化の促進と販路拡大など、実需の創出の追求に注力するとともに、医師確保対策、ドクターヘリ導入、JR松山駅の再開発の推進、四国への新幹線導入などの諸課題にも全力で取り組んでいきたいと思います。
いずれにいたしましても、本当に多くの課題が待ち受けていると思いますが、県民の英知を結集して、オール愛媛の体制で頑張りますので今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
(南海放送)
国体に関して、民泊という話をよく聞くが、東京等の都市部では問題も出てきているようだが、そのあたりはどのように考えているのか。
(知事)
東京と愛媛での民泊というのは、一概に比較はできないと思うんですね。東京の場合は、外国人がワァーと来てホテルの値段が高騰し、場所もない、そういう中で、非常に何というんですかね、目先の利益を追求するビジネスパターンとしてですね、民泊の展開が増えて、それがトラブルになっていると。
例えば、カプセルホテルを使ったりですね、おもてなしというよりは利益追求という形での民泊の展開が問題を起こしているんじゃないかなというふうに思います。愛媛の場合は、国体という全国から来る方々をおもてなしするという尺度から民泊というものを捉えますので、ちょっと一概に比較はできないんじゃないかなというふうには思っています。
(愛媛新聞)
仕事始め式では、国体の準備体制における人員を強化すると述べたが、今後、2期目の2年目以降に向かって、県庁組織として改善していきたいと考えているところはあるか。
(知事)
だいたい、昨年でですね、本番をにらんだ組織構図というのはほぼ固まってきましたので、あとは事務量がどんどん増えてきますので、今後は、それに基づいた陣容の拡大というものになってくると思います。もちろん、県外の国体会場もありますから、そういったところのきめ細かい対応等は、組織上、気を配っていく必要があると思いますけれども、大所はそのままの骨格で、陣容拡大は確実に行っていきたいと思ってます。
(愛媛新聞)
国体以外も含めて、県庁組織を変えていかないといけないという部分はまだ残っているのか。
(知事)
そうですね、あの、当面は一昨年の12月の就任以降ですね、当初予算も踏まえて、2期目の課題を着実に実施するための組織改編は行った段階で、今年がありますので、そう大きな変更はないと思っています。
(南海放送)
今月5日に興居島で県の管理道路が杭の腐食が原因で沈下したが、全国的にも道路や橋の公共施設の老朽化が懸念されている中、一層の点検体制の強化や、修繕、更新等が必要と考えられるが、今後、どのように取り組んでいくのか伺いたい。
(知事)
まず、興居島の由良港において、道路が沈下し、利用が今制限されております。島民や関係者の皆さんに、ご不便をおかけしておりますことを、まずお詫びを申し上げたいと思います。
公共土木施設を含む社会インフラについては、高度成長期に集中的に整備されました。全国的に老朽化の目安となる建設後50年を超える施設の割合が増加しております。20年後には、半数を超える見込みであり、本県においても、同様の予測結果となっています。
このため、公共土木施設については、これまでも日常のパトロールや定期点検を実施し、施設の機能維持に努めていますが、平成24年12月の笹子トンネル事故を受けまして、法律がこの時に改正をされました。県では、近接目視による定期点検など、適切な維持管理に関する取り組みを強化しているところであり、点検の結果、早急に修繕が必要となった箇所については、計画的に対策を進めております。
公共土木施設は、県民生活に密着し、災害時には県民の安全・安心を支える重要な役割を担っているため、施設の機能を良好な状態で維持する必要があることから、今後も、施設ごとの「長寿命化修繕計画」を策定するなど、施設の安全性、信頼性の向上に取り組んでいきたいと思います。また、事故を受けまして、同様の港湾施設について、近接目視による緊急点検を実施し、いずれの箇所も早急な対応の必要はありませんでしたが、今回の事案は、杭9本全部が一斉に破損する、あまり例を見ない状況でもありますことから、国の研究機関等の協力も得て原因究明を行って、今後の施設の維持管理に生かしていきたいと思います。
なお、昨日、国と合同現地調査を行った結果を含め、記者会見の後、土木部の方から説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
なお、平成25年の点検の際に、それまで由良港は、道路としての点検が義務付けられていたんですけども、その直前に笹子の事故があって、こうしたことを受けて点検のあり方の基準を変えるという作業が始まりました。
実は、この時には、まだその改定の答えが出ていないとき、笹子の事故の後なんですけど、その作業中に点検の時期がきて、その時は、前のマニュアルに基づいた点検では道路扱いでしたから、道路ということに関連する点検を行い、異常というのは発見されなかったですけども、その後、マニュアルの変更、法律の変更があって、点検の仕方が変わるということになりました。それに基づいて県でも、今、順次計画を作っているところなんですが、実は、由良港に類似する港が、県内には2カ所ございます。1カ所は伯方でございます。もう1カ所は宇和島でございます。これについては、来年度、新しいルールのもとに、点検を実施するという計画を策定しているところでございました。
それからもう一つ、今回、残念だったのは、法律上は由良の場合は、平成25年に点検を実施してますので、次の定期点検が、5年後の30年になってたんですけども、その中間年にこうした事故が起こってしまったということで、大変残念に思っております。
ともかく、今回、予期しない事態だったので、これは徹底的に国の力も借りて、先ほどお話させていただいたように、原因を調査して、残る2カ所もありますので、他の港にも、その経験が生かせるような対応へとつなげていきたいというふうに思っています。以上でございます。
(愛媛新聞)
インフラの老朽化が進み、建設することから維持管理への意識の変革が一層求められると全国的に言われているが、今回の沈下の事案に関し、維持管理の面での危機感をどのように受け止めているのか。また今後、どういう取り組みが必要だと考えているのか
(知事)
はい、対象物件が多いということもあるんで、非常に苦慮しているんですけども、いずれにしましても笹子トンネルの事故以来ですね、維持管理に関する考え方が大幅に変わった背景がございます。それをしっかり受け止めた中で、点検の計画の策定をしてまいりましたので、まさに実施に移していく段階を迎えようとしてますから、しっかりとですね、それを実施に移していくということが大事ではないかなと思っています。
(あいテレビ)
今回、老朽化で地盤沈下が起きてしまったが、点検体制に不備はなかったという考えか。
(知事)
そうですね。だから結局、根本の法的な点検のありようの基準が、笹子前と笹子後では全然違うんですね。だから、笹子トンネル事故前の基準に照らせば、法的には問題はないんですけども、それでは十分ではなかったということを大いに見つめてですね、どうすべきかということを考えなければいけないということだと思っています。
(あいテレビ)
マニュアルの見直しには着手しているのか。
(知事)
これはもうやってます。
(あいテレビ)
時間はかかるのか。
(知事)
そうですね。要は愛媛県だけの話ではなくて、国全体の法律の問題もありますから、そこでまず基準が決まって、それで地域で計画を立てるという段取りだったんで、それで時間かかったんですよ。
(あいテレビ)
先日、松山市が不祥事の再発防止策として、職員に対する面談調書の中で、一部私生活に踏み込んだ内容があるのではないかという声が挙がり、市が提出用紙を撤回するということが起こったが、これに対する受け止めと、県でも職員の状況を把握するために、私生活等を問う面談調書のようなものを活用しているかどうか聞かせてほしい。
(知事)
ちょっとうちでは、そういうところまではやっていないですね。確かに所属長単位で日々日々の状況でおかしいなとかそういう気付きのメッセージがあるときは、マンツーマンを基本にして、多少、私生活に踏み込むようなやりとりというのはあると思いますけれども、調書という形で収集するということはやっていないですね。
むしろ、相談体制、本人から相談をしてもらうということで、それに対応する体制をしっかりすることと、それから管理職である所属長が日々の業務の中で目配りをして、きめ細かく対応するというのが大事ではないかなというふうには思っていますけど。
(テレビ愛媛)
今回、市がギャンブルとか、借金の額がいくらあるのか等、私生活に踏み込んだアンケートを行ったことに対して、どのように見ているのか。
(知事)
これは、それぞれの自治体の問題ですから特に意見はないんですけれども、あるとすれば、不祥事が若干続いている状態の中でいろいろと難しい線引きだったと思いますけど、信頼回復のために一歩踏み出したというふうなことではなかったかなというふうに思いましたけどね。
(テレビ愛媛)
知事は、野志市長の前に市長をしているが、不祥事を起こす職員が非常に多い市の現状を見て、どう感じているのか。
(知事)
そうですね、ちょっとこう、空気というのがね、やっぱりありますから、どうなっているのかが分からないので何とも言いようがないんですけれども、不祥事が発生したときというのはやっぱりリーダーの、トップのリーダーシップというのが非常に大事だと思いますので、ただ単に言葉で言うだけではなく、明確な方針のもとに、しっかりとした管理をやれれば払拭はできると思います。だからそこを頑張っていただきたいなと思いますね。
(南海放送)
伊方原発の1号機が、来年で40年を迎えるということで、今年、運転延長の申請手続きが考えられるが、知事は以前から国に対して、加圧水型原子炉の研究施設を伊方へという話を出しているが、それは1号機の廃炉を視野に入れての話なのか。
(知事)
いかなる原発もいずれは廃炉になるというふうなことですから、研究というのはどういう形でするのか、僕もそこの技術的な問題は分かりませんので、廃炉にする過程の中で積み上げていく方法もあれば、それから稼働しているものを外から見つめながら研究する方法もあるのか、その辺はちょっと分かりません。
ですから、そこの廃炉技術の研究について求めた段階というのは、稼働しているか、してないかということで言ったわけではなくて、ともかくいずれどの原発も廃炉になるんであれば、加圧水型の原発というのは研究すらしてないというわけですよね。だから研究すべきであって、それを伊方でやっていただきたいというふうに単純に申し上げただけなんですね。ただ、そのあたりのことは40年の問題も含めてどう国が受け止めていくのか、電力会社が受け止めていくのか。これはまだそのときが来てみないと分かりませんから、答えを待ちたいと思ってます。
(南海放送)
以前から廃炉をするかどうか、延長するかどうかというのは、電力事業者の考えと発言していたが、あらためて1号機についてはどのように考えているのか。
(知事)
まだ、どうするか時期的に決まってるわけではないですから、それらを今までのいきさつも含めて、トータルでどういう判断をされるのかというのは、今の段階では注視するということしか言えないですね。
(南海放送)
事業者の動向を注視するということで。
(愛媛新聞)
原発に関連してだが、八幡浜市の市民団体が、再稼働の是非を問う住民投票条例制定を求めてまもなく本請求をするということだが、この動きをどう受け止めているのか。
(知事)
そうですね、これはその地区地区の単位でのそれまでに至る判断に対して、その地区の住民の皆さんが行政に対する意見を述べているということですから、これは八幡浜市議会がどういう判断を下されるかということですので、特に今の段階で県がどうだということはありません。
(愛媛新聞)
今日ちょうど伊方原発全基停止して4年になる。再稼働に同意はしたが、今後、先ほども言った八幡浜市に関することとか、再稼働については、いろいろと問題があると思うが、どういうふうに向き合っていくのか。
(知事)
そうですね、今後もですね、継続して新たな視点が安全という面において出てきたら、速やかに要請をし続けるという姿勢は、何ら変えることなく貫いていきたいというふうに思います。それから稼働していようが、していまいが、そこに原発はあるわけですから、リスクはあるんですね。ですから、避難計画も含めて今後とも充実を図っていきたいというふうに思っています。
(愛媛新聞)
知事も再稼働の際に求めていた中間貯蔵施設について、四国電力が敷地内か外で検討したいと方針を示しているが、関西電力は福井県外にという話もあるようだが、知事としてその建設地に対しての意見というものはあるか。
(知事)
まだ、案が出てきてからですね。一つには今の場合、伊方3号機のみが稼働した場合は17年ぐらいは持つと思いますね。1号機、2号機、3号機がすべてフル稼働した場合に、今日、新聞に出てた8年。8.5年くらいということになるんですけど、現実問題3号機しか当面動かないわけですから、8.5ということはないですね。まあ10年以上は持つと思いますけども、まあその期間の間にどうするのかというのは、実は国にも要請として求めた1項目に入ってるわけです。
ですからそれは、ちゃんとやるというふうに言ったからには、動きがあるんだと信じるしかありません。それで、その中に場所の問題や形式の問題ですね、乾式という新たな手法というのも視野に入ってくるだろうし、じゃあ乾式の安全性というのはもうその時点で、もし浮上した場合はどうなのかという検証は県でもきっちり行いたいと思いますし、いろんなケースが想定されますけど、今の段階では方向性が出ていない段階ですから、ちょっと何とも言えないんですけどね。
(南海放送)
全基が停止して4年間になり、その4年間を振り返って、経済面とかいろんな角度からどのような4年だったと思うか。
(知事)
そうですね、やっぱり一つにはこれは大変だというねメッセージが多くの県民の皆さんにも伝わって、省エネが進んだということは非常によかったんではなかろうかというふうに思います。
しかし一方で、2点ちょっと心配だったのは、個人の生活は我慢ということで乗り切れるんですが、生産活動はそうはいかないんで、これが電力料金の上昇という現実のもとでですね、非常に生産、特に愛媛県ものづくり企業が多いですから、そこへの影響が出たということもあったので、そこらあたりは非常に懸念材料でございました。
もう一つは、電力は供給され続けたわけなんですが、一方でその背景ですね。長期計画停止中になっていた阿南の火力発電所を、急きょ、もう配管も錆びついていたやつをですね、突貫工事で緊急に動かして、しかも定検も延長延長を重ねるという綱渡り的な運営を余儀なくされている現実は今も変わってないと。ですからそういった大きな火力発電所に何かがあった場合、一体どうなるのかという常にその危機感と隣り合わせで運営された4年間でもあったと思いますので、そのあたりは二つ目の懸念でございました。以上です。