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平成27年度6月知事定例記者会見(平成27年6月15日)の要旨について
日時:平成27年6月15日(月曜日)
11時52分~12時04分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
年金情報の流出問題を受けて、マイナンバー法の改正案の審議が当面見送られる中、野党からは来年1月からの制度の運用開始を遅らせるべきだという意見も出ているが、マイナンバー制度の実施時期についてどう考えているのか。また、同制度の情報管理のあり方について国に求めることがあれば聞かせてほしい。
さらに制度の運用が始まれば、県や市町はマイナンバーの情報を管理運用する立場にもなるが、セキュリティ対策の強化をどう図っていくのか伺いたい。
(知事)
マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会インフラという位置付けというのは、明確に分かりやすい表現だと思います。
ただ、これが目的に沿って活用されるためには、個人情報の漏えいや不正利用が生じないようにしなければ、これはかえって国民の不安をあおることになるし、また、いろんな事件につながることも自明の理でありますから、国において、制度面においては、利用分野の限定、それから適正な取り扱いを確保するための第三者機関の設置、また、システム面においては、個人情報の行政機関ごとの分散管理や行政機関間の通信の暗号化など、個人情報保護の措置を講じているところではございます。
しかし、今回の年金情報の流出によって、国の情報管理のあり方そのものに対する国民の不信感、また、不安感が高まっていることは間違いないと思います。来年1月からの個人番号の利用開始を、もし、予定どおり実施していこうとするならば、国において個人情報の保護に万全を尽くしていく必要があります。
県としても、本年10月に個人番号の通知開始が差し迫っているマイナンバー制度が、国民の信頼を得られる制度として導入されるように、6月11日に全国知事会を通じて、関係省庁にセキュリティ対策に万全を期すよう要請をしたところでございます。
県や市町のセキュリティ対策については、マイナンバー制度における行政機関同士の情報のやり取りというものは、インターネットにつながっていない行政専用の閉鎖ネットワークを使って行われるので、ここは一定の安全性が担保できるかなというふうに思ってます。ただ、行政機関同士はそうした閉鎖的な仕組みでやれるんですけれども、行政機関内部の情報の管理については、マイナンバー関連事務を含め、県が管理している重要情報全てを今後も厳重に保護するため、庁内LAN全体のセキュリティ水準や職員のセキュリティ意識を、さらに引き上げなければならないと考えています。
このため、今回の事案を受けて全職員に対して速やかに、開けてしまったら感染するという標的型メールに対する注意喚起を行ったところでございます。今後も職員研修において標的型メール等に関する研修を拡充するとともに、また、最新の技術を用いてさらなるセキュリティ強化に向けた取り組みを県としても実施していきたいと思います。
また、県と市町は、これまでも情報を共有しながらセキュリティ対策に努めてきたところでありますが、今回の問題を受けて6月10日に県・市町等で構成する愛媛県ICT推進会議を開催いたしました。これまで同様、また、これまで以上に緊密に連携しながらセキュリティの確保を県・市町ともに頑張って、確保を図っていきたいと思っています。
(NHK)
制度の実施開始時期については、この時期でという何か考えがあるか。
(知事)
結局、いろいろな話とか出ていますから、結果ありきではなくて、今、不安感があるのは間違いないんですよね。今回のことによって。だから、そこはこういう手立てを打ったから心配なしという、きちんとした対応と情報発信ができるのかどうか。それによって、やっぱり国民が安心して初めて受け入れられる制度だと思いますから、ともかく、それで間に合えばそれでいいし、そういうものじゃないかなと思います。何を優先させるかという問題だと思いますね。やっぱり、これは時期よりも徹底的に安全対策を行うと。行って、万全の態勢を取ったという段階で国民にしっかりとしたメッセージを出す。それで国民が安心感を持ったならば、時期どおりできるというふうなことでなかろうかと思います。
(愛媛新聞)
仮に実施時期がずれ込んだ場合に、例えば、予算とか、何か事務的に支障が出てくるようなものはあるのか。
(知事)
あるでしょうね。システムの変更をどういうふうにしたらよいのか。
何かありますか。もし仮に遅れた場合は。
(総務部長)
そのあたりは、そういうことを前提としておりませんから、これから、もし、そういうことになりそうなということであれば、検証しなければならないと思っています。
(あいテレビ)
プレミアム商品券が、ちょっと売り上げが伸び悩んでいるところもあるが。
(知事)
伸び悩みの原因は、周知の方法だったと思うんですけど、例えば、一番手っ取り早いのは、最初から早いもの勝ちにしたところがうまくいっているんですよ。抽選になると、少し低下するという傾向があるので、このあたり、商工会議所さん等が窓口ですから、その状況を受けて、この2次募集でどうされるのかということを検討されていると思います。
早いもの勝ちと打ち出した市町村、かつ規模のそんなに大きくない市町村は、周知がしやすいですから、そういう場所は列ができるというそういう現象が起こっていますね。
(愛媛新聞)
知事も伸び悩んでいるという認識か。
(知事)
伸び悩みというか。そういう方法なんじゃないですかね。逆に、それ知っていたら買いますよっていう方が多いと思いますけど。
(NHK)
多く売れたのは早い物勝ちのところで、混乱があったと思うが、一方で公平性を重視したことによって、今回、全体でも5割届いていない程度だが、そういった販売方法等に課題があったと思うか。
(知事)
実際、県が販売するわけにはいかないので、商工会議所等と連携しながらということになります。あくまでも販売の窓口は商工会議所になりますから、むしろそちらの方の民間の知恵に期待したいと思います。
ただ難しいのは、さっきも会議でも言ってたんですけど、例えば、比較になるかどうか分かりませんけど、海外便の搭乗率をてこ入れするために、県職員にぜひ休みの日には行ってくださいよと。そういったときは呼び掛けはできるんですけど、この場合は、税金を活用したプレミアム商品券になるので、県職員にこぞって買え、買えというのはちょっとどうかなというのがあるので、そういう組織的な自治体による働き掛けはできないんですよ。その点は難しさはありますね。個人、個人が買うのはいいんですけど、県を挙げて買うというのは、皆様から見ても違和感を感じる話になるかなと思うので、そこはうちはやっていないです。この辺がちょっと難しさを感じるポイントの一つでもありますね。
(南海放送)
現時点でどの程度申し込みがあったのか教えてほしい。
(知事)
ちょっと分からない。商工会議所等から来てますか。
(総務部長)
6月10日までですけれども、100万セットに対して43万7千セット。それ以降、最終的には増えているかもしれないですけど。
(知事)
ただ、おそらくですね、各マスメディアで、こんな有利なものが売れていないというキャンペーンに近い報道をしていただいたことによって、関心度は、逆に相当上がったんじゃないかなというふうにも感じるときがありますので、今後の展開、推移を見守りたいと思います。
(南海放送)
残り50万強のセットについて、今後の方針は決めているのか。
(知事)
今、商工会議所の方で、募集の仕方とか、実際に販売委託しているわけですから、どうするのかという議論をしていると思います。
(南海放送)
追加募集はするということか。
(知事)
2次募集ですね。
(総務部長)
先ほどの数を訂正させていただきます。6月10日、水曜日までで、46万5千セットということになっています。
(NHK)
この機会に県民の方に向けて、どのように呼び掛けるのか。
(知事)
そうですね。全国的な国が打ち出した消費刺激という施策の展開で、県も市町と一緒になって取り組んでいるので、お得度は確かにあるので、ぜひ消費喚起ということを踏まえて、ご利用していただければなと思っています。
(読売新聞)
先日、日本創成会議が第2弾の提言で、都内、首都圏にあふれた高齢者を地方に受け入れるということで、愛媛県内では松山圏と新居浜圏が選ばれたが、そのことについての所感等を聞かせてほしい。
(知事)
僕は、別に、東京のお年寄りが愛媛県に移住したいというのは大歓迎です。人口減少に悩んでますから、若者を含めてお年寄りでも、そんな年齢で差をつけて判断するものではないと思っています。
ただ今回、新聞で見ただけなんですけども、打ち出し方に非常に何というんですかね、現場の感覚のなさというのを感じました。あの記事だけをストレートに受け止めると、東京にいるお年寄りは、もう面倒見れないからこういう場所のどこかに行ってくれというふうな感じの打ち出しになっているわけですね。愛媛県のお年寄りは何となく見ているだけだと思うんですけども、僕自身は直接関係はないんですが、東京に住んでいるお年寄りだったらどう受け止めるのかなというのをまず初めに考えてしまったんですね。だとするならば、ちょっと言葉が悪かったんですけど、現代版の姥捨て山のようなことを連想する方が必ずいるだろうなと直感的に見た瞬間に思いました。どうしてそういう現場感覚のない全国画一的な発想で物事を打ち出してしまうのかというのが、僕にとっては大きな疑問点でございます。
例えば、やり方はあると思うんですよ。東京というのは、地方からの移住者の集合体だと思います。仕事等で東京に住み着いた方、そういう方はたくさんいらっしゃるわけですけども、どこかにふるさとへの郷愁を持たれている方、ふるさと納税の推移なんか見てもたくさんいらっしゃると思うんですよね。
例えば、東京のある市、あるいは区と、例えば、愛媛県のある市が協定を結びました。実はうちの市には愛媛県人会なるものがあって、愛媛県出身者の人がたくさんいます。その方々に、皆さんふるさとに帰られたい方いますか、もし帰られたい方がいたらその人を対象にふるさとUターン支援事業というふうなカテゴリーの中でお年寄りにふるさとに帰っていただくというような、そういう仕組みのスキームのやり方だったら、そう抵抗はないと思うんですよね。やみくもに十把ひとからげにお年寄りは外へ行け、場所はこの中から選べというこの発想が僕はおかしいと思いますね。
だからぬくもりのある政治とは、ぬくもりのある政策とは何なのか。現場をしっかり見極めて積み上げていけば、今みたいな発想というのは、僕はありじゃないかなというふうに思いますので、創成会議の皆さんは、よくよく現場の意見を聞かれた方がいいんじゃないかなと思います。
(テレビ愛媛)
安全保障関連法案について、現在、国会の方で審査しており、結構、紛糾しているが、時期的に夏までに成立させたいということで、急いでいる感もある。法案を可決、成立させることについて、時期的に急ぎすぎなのか、もう少し県民、国民に説明が必要なのか、現時点の考えがあれば教えてほしい。
(知事)
これは、この法案が審議に入る前に申し上げたことなんですけども、僕は今、直接、国政の場にいるわけじゃないですから中身についてあれこれコメントをすることは控えさせていただきたいと思いますけども、先ほど申し上げたマイナンバーと同じで、やはりきっちりと丁寧な議論、説明が繰り返されても、全員が賛同することというのはないんですね。
でもそういった中で、より多くの方々の賛同をいただける環境をつくるために、どれだけ丁寧に分かりやすく、そして反対意見に対しては対案、対論を提示する。そういう作業を積み重ねて、ある程度の合意を得たときに初めて物事というのは決断できると思いますので、それは100対0というのは無理だと思いますので、そのあたりの皮膚感覚というのは、政治家によって捉え方が違うと思いますけども、今の段階で、さあ、すぐ採決ができるか、いつまでに想定しているのかというのは、僕は知りませんよ。今のこの段階でというのは、まだ厳しい状況だと思いますね。
(テレビ愛媛)
なかなか国民、県民の皆さんにも意識としては浸透していないと感じているのか。
(知事)
そうですね、だから特にニュース、報道を見る限り、参考人の憲法学者のコメントに対して、政府が国民に分かりやすく、いやそうではないと、こういうことなんだってことが明確に分かりやすく説明しきれるかどうかというのが大きなポイントになってきてるような気がしますね。