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平成26年度2月知事定例記者会見(平成27年2月16日)の要旨について
日時:平成27年2月16日(木曜日)
11時52分~12時03分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
先般、JA全中の組織体制を抜本的に見直す農協改革案がまとまったところだが、地域農協の自主的な取り組みを促して、農業の競争力を向上させるのが主な狙いとなっている。知事はこの改革案の内容をどう考えているのか。また、県として、今後、農協改革にどう対応していくのか。
(知事)
まず、農協改革の前に、国の方針で地域農協こそ主役であると、中央はサポーターであるというふうなことが理想的なんだということを前提にこの改革を進めているということだったので、だとするならば、なぜ行政における地方分権を先行させないのか、ここだけは非常に疑問に感じています。農協の分野にそれをやるのであれば、行政の分野で今までずっとそれを言い続けているので、一刻も早くこれと並行して権限、財源の大幅な委譲を地方分権の俎上(そじょう)に乗せてやるのが筋でないかなと思っていますので、その点については知事として非常に注目をしたいと思っています。逆に言えば、農協改革でそういう方針を打ち出しましたので、行政改革でも待ったはできないということではないだろうかなと思っています。
農協改革については、昨年6月の「規制改革実施計画」や「農林水産業・地域の活力創造プラン」でその方向性が示されたところでありますけれども、そのときには、農協等が果たしてきた役割や実績を踏まえながら、地域の実情、これも本当に地域ごとに農協の経営の体質も違うでしょうし、果たしてきた役割についても地形や人口、産業構造によって違うと思いますので、そういったことを十分配慮して、地域農業や農村の衰退につながることのないよう議論を尽くしてきたと信じております。そういう中でわれわれの立場から、四国知事会等を通じて、こういうところは、ぜひ現場の声として受け止めておいていただきたいということを申し続けて要請してきました。
今回の政府与党が示した改革案というのは、JA全中の一般社団法人への移行、それから先ほど申し上げましたJA全中の監査権限の廃止、准組合員の利用規制については引き続き検討といった部分がポイントとなっていると思います。これらについては、農家所得の向上や農業の成長産業化に、今の段階では具体的にどうつながるのかという明確な説明が、今のところないですね。また、准組合員への利用規制がJAグループの骨格案受け入れに大きな影響を及ぼしたことへの不満などがあって、現場からも戸惑いの声も聞こえてきます。ということはですね、地域の実情を踏まえた先ほどの要望について、議論が果たして十分になされたのかということにはちょっとどうなのかなという印象を持たざるを得ません。
ただ、一方で、改革本来の目的は、農業者の所得向上と農業の成長産業化であって、単位農協が積極的な経済活動を行って利益を上げることや自主的な経営に取り組む改革につながるという具体的な事例が出てきてつながるとするならば、これは一定の評価はできるというふうに思っています。まだまだこれからだと思っています。
県としては、今後の国の法改正に向けた動きやその内容の把握等に努めながら、県下JAが農家の所得向上等に向けて、より自主性を発揮できる組織へと向かえるよう支援していきたいと思っていますし、また、本来の目的に沿った改革となっていくのかどうか、県内農業者等の声を聞きながら、必要に応じて、さまざまな場面で国に要望していきたいと思っています。
JAにつきましても、まだ、直接は聞いておりませんが、先般、愛媛県の目指す実需創出100億円に向けて、共に歩んでいくということを踏まえた組織改編、営業体制の強化というものを検討されているとのことですので、そういった面においては大変期待をしたいというふうに思っています。
また、県としても、そういった動き、営業本部をはじめとした連携を一層強めて、チーム愛媛として県内農畜産物の販売拡大に取り組んでいきたいと思っています。
(日本農業新聞)
現場からの戸惑いの声というのをもう少し詳しく聞かせてほしい。
(知事)
そうですね。やっぱり大きな改革になりますので、具体的にこういうふうなかたちになりますよ。その結果こういう変化につながりますよ。という実感が多分現場にはないんだと思いますね。むしろ慣れてきた体制が変わるということに対して、具体的な事例のイメージが無いので不安感が増幅していると。こういうことだと思うので、先ほど申し上げたように、要は方向性がそうであるならば、具体的な例示をどんどんどんどんすることで、理解することは、それが良い方向であれば、理解は進むんじゃないかというふうに思ってます。ただ今は何となく、全国農協中央会の権限を削ぐんだというところばかりが出ているんで、一体それで何がどう変わるのかというのが組合員の皆さんには見えないというところが一番の問題じゃないかなと思いますね。
(日本農業新聞)
行政分野では改革が遅れていて、今回の農協改革でこのように民間組織を動かすというのは、非常に違和感があるが、なぜこういうことになると思うか。
(知事)
分かりません。今の点は、意外と皆触れていないんですよ。僕らは地方分権をずっと求めていたので、それをかたくなに拒絶されるわけですよね。でも農協に関しては同じことを言ってるんですよ。地方に権限をと。それで何でそんなにあっさりできるの。それで何で行政の方はできないのと。そこをもっともっとやはりクローズアップさせるべきなんじゃないかなと思いますね。
(日本農業新聞)
一民間組織がこんなに主導的に変えられることは、不思議な感じがするが。
(知事)
そうですね。だから先ほど少しあえて申し上げたのは、おそらく大体皆さんご理解いただけると思うんですが、何で地方分権は進まないのと。自らのことはできないのにどうしてなのかというところがもっと焦点当てられていいんじゃないかなと個人的には思うんですけど。
今回も、地方分権改革で、例えば愛媛県が出した22項目については、現場からの生の声ですよ。それがたった1件しか駄目だと。しばらくして10件くらいは可能性有りと答えになってますけど、分析するとやはり1件なんですよ。今のところ。そうじゃないんじゃないかなと思いますけどね。
(日本農業新聞)
逆に農協改革の方も自己改革を頑張ると言っているのに、それがはねのけられ、逆に国主導となっている。
(知事)
だから、先ほど言ったように、方向性があればこういうふうになるんです。こういうふうなことを目指しています。こういうかたちになっていくんです。というのが分かれば多分もっとスムーズに行けると思うんですけども。その辺が少し足りてないような気がしますね。
(愛媛新聞)
上海線について、3月末から1カ月半の期間運休というかたちで発表がされたが、改めての所見と、今まで県としても、安定運航に向けていろいろな取り組みをしてきたが、今後の県としての取り組みの方向性をどう考えているのか。
(知事)
そうですね、だいぶ搭乗率も回復基調にあり、ようやく出てきたという段階でしたけれども、残念ながら、やはり不安定な状況というものはビジネス利用には足止めになってしまいますので、こうしたところが非常に難しいなと思っています。
それともう一つは、やはりアウトバウンドの積極的な旅行渡航先として選択されていないという状況が、アウトバウンドについては全国的にそういう傾向が出ていますので、全国的にもローカル線については、中国便というのは非常に厳しい数字になっているんですね。ですから、やはりここはですね、かつてはそういった問題、今のような状況にはないときには、非常に豊富な旅行商品、それから旅行者が現実的に存在していましたので、そういう外的な環境がもう少し整ってこないと難しいなというのは実感をしています。それは外交の問題でもあり、それからやはり環境問題等も含めてですね、いろいろな課題があると思っています。
ただ、非常に広大な大地を持つ国でありますから、それぞれの地域に長い歴史や素晴らしいものが点在していますので、できればその魅力を県民の皆さんも上海線を活用して気軽に行けるような環境になればなと心から期待もしています。
県もですね、こういう厳しい状況の中で存続を図っていくために、可能な限りのサポートはしてきたつもりでありますので、今後もできることは限りはありますけれども、この便の存続ということで、可能な限りの支援は組んでいきたいと思っています。