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平成26年度9月知事定例記者会見(9月5日)の要旨について
日時:平成26年9月5日(金曜日)
11時18分~11時59分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
広島の大規模土砂災害について、今回の被災地の多くは、「警戒区域」が未指定であったため対応の遅れを招いたとされているが、本県においては、「警戒区域」の指定率が広島県を下回る14.9パーセントと全国45位にとどまっており、早急に指定を進めていく必要があると思われるが、今後どのような計画で指定していくのか。
(知事)
先ほどと重複するところも出てくるかと思いますが、ご了承願いたいと思います。
まずは何と言っても広島市の土砂災害で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今なお被害に遭われて苦しんでおられる方にお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
今回、広島市の災害については、全国報道でもいろいろな点が指摘されていますけれども、その一番のポイントは、広島市全体がマサ土という非常に土砂災害が起こりやすい土壌であったということが一つの特色としてあげられるのではなかろうかと思います。
愛媛県において、このマサ土、同じ土壌の地域というのは、今治市とそれから島しょ部に集中しておりますが、他の地域も赤ホヤであるとかマサ土と同じように土の質は違えども同じようにそういったリスクを抱える土壌があるということで、これを全て特殊土壌というふうな位置付けで対応していかなければならないと考えております。
特に愛媛県は、その土地の形状から言って平地が少ない、それから宅地開発が山あいの土地まで進んでいるところもそういう土地柄でありますことから、土砂災害の危険箇所が約15,000カ所でございますので、大変多いという状況にあります。
これが指定ということになりますと、必要な基礎調査に時間、それから費用が掛かりますので、警戒区域の指定は現時点で2,266カ所。これも公表されていますけれども、その指定率14.9パーセントということで全国的にも大変低い状況にあると受け止めています。
ただ一方で、平成11年に広島呉で大きな災害が発生し、その後平成13年に国の方で法改正が行われまして、警戒区域の指定、ソフト面の対策をやるというふうなことになったんですけれども、当時の県政、これは愛媛県だけではないのですけれども、いろんな考え方があって、ソフトとそれからハード対策両方をやっていかなければなりません。ハードというのは、実際にすぐさま効果が出てくるいわば砂防ダムの建設であるとかこうした事業推進であります。ソフトというのは、警戒区域に指定をして、家をこれ以上建たせないようにするとか、そういった災害は起こるだろうけれども、減らすという対策です。
愛媛県の場合は、過去の流れから言うと、どちらかというとハード重視で行う方が現実的であろうという選択してきた経緯がございます。抜本的な対策となる砂防堰堤等の施設整備に対する県民の要望も多かった、強かったので、両方の対策をしないといけないのですが、本県ではハード整備に緊急性の高い所から、当時ちょうど財政状況が逼迫(ひっぱく)していたこともあって、余裕があれば両方一気にできるんですけれども、ハード優先という形をとってきた経緯がございました。
その結果、人家5戸以上等の整備率、ハードの整備率ですね、こちらの方は逆に全国平均が24パーセントの整備率、愛媛県は28.3パーセントとハード面での整備率は全国平均を上回る一方で、ソフト対策については下回ると、こういう結果になっております。また、土砂災害警戒区域等の指定に当たりましては、限られた予算の中で、砂防堰堤等の施設が整備されていない箇所のうち、人家が多い箇所、これは具体的に10戸以上でございます。こういった所や老人ホーム・病院等がある箇所を優先するなど、計画的・効果的な指定促進に取り組んできたところであり、区域指定した箇所は、本県では必ず県のホームページで公開をし、市町の防災マップに反映させていただいています。こうしたことで広く周知を図り、県民の防災意識の向上に努めてきたところでございます。
このような中で、今回の広島での災害において、避難行動の重要性が再認識されましたことから、本県の警戒区域の指定については、人家5戸以上の地区、ランクIでございますけれども、このうち、施設整備が完了した箇所等を除きまして、これは実は指定していないんだけど施設整備、先ほど言ったようにハード重視でやってきましたからこれはもう対策は完了しているんですね。でも、指定はしていませんから数字上には表れてこないんですけれども、こういった所を除いて、少なくとも今後3カ年以内に指定できるよう最大限努力していきたいと思います。
これは努力目標にせざるを得ないのは、いろんな住民の皆さんの思いもございます。皆さんもご存じのとおり、地域指定についてはなかなか同意が得られないような場所もあったりするところもありますから、最大限努力してまいりたいという目標で頑張っていきたいと思います。
また、警戒区域が指定されていない危険箇所や、既に指定された警戒区域のさらなる住民への周知についても、避難計画を担う市町と緊密に連携して早急に取り組むこととしています。
土砂災害から県民の生命・財産を守るためには、ハード対策に加えまして、住民の早めの避難につながるソフト対策の充実も重要であります。理想論でいえば、お金があればハードを整備して、そういったことが起こらないように食い止めるというのが理想でありますけども、これは国庫補助の関係もあって一足飛びというわけにはいかないところもあります。となると、地域指定によって住民の皆さんの意識の向上の中から、早めの避難というものに結び付いて生命を守るというソフト対策も重要になってまいります。
また国の方では「土砂災害防止法」の見直しも検討されているやに聞いておりますので、こうした動向等をも踏まえまして、取り組んでいきたいというふうに思います。以上です。
(毎日新聞)
今後3年以内に、指定していく対象箇所はどれくらいの箇所か、3年以内というのは何年度の末とかいうことになるのか。
(土木部長)
ランクI、比較的人家が多い5戸以上の所ですけれども、これが6,796カ所ございます。そのうち既に指定済みの箇所が2,266カ所です。先ほど知事の方からありましたように、施設整備が完了しているなどの箇所は、これは一応後回しということで、後回しにするところが2,172カ所ございます。残りの未指定の所が、2,358カ所で、その2,358カ所を29年度中には指定したいという目標でございます。
(知事)
2,172カ所というのは、先ほどハード優先で取り組んできたので、指定はされていないけれども、砂防ダムとかの工事などが完了しているというところでございます。
(土木部長)
設備が完了している所と、たちまち緊急度がちょっと低いという所を若干含んでいますけれども、そういうところは後回しにします。
(愛媛新聞)
現状でその2,358カ所というのは、進捗状況としてはどんな状況か。もう既にやり始めているのか、それともこれから純粋にスタートするのか。
(土木部長)
その中にも基礎調査が既に終わっている所もございます。これから、来年度くらいで一応基礎調査を終えて、説明会等を開催して、区域指定に結び付けようということです。
(知事)
全国ニュースでも出ていたように、例えば、指定されると地価が下がるんではないかと、いろんな意見があるんですね。難しいです、正直言って。ですから、そういう地域の方とは、やっぱり時間をかけて話し合いを進めていかないとなかなか指定までもっていけないので、大変悩ましいところです。そういった地域は、今は何箇所くらいですか。
(土木部長)
今、ちょっと調整できずに指定ができていないところは約80カ所程度あります。
(愛媛新聞)
基礎調査は終わっているのか。
(土木部長)
はい、終わって、説明会も開いたんですけれども、なかなか納得が得られていないところもあります。
(知事)
逆に指定しないでほしいという意見も出ている。
(あいテレビ)
この夏休み期間中、知事選への出馬について熟慮したのか。
(知事)
そうですね、熟慮もしましたけど、どちらかというと夏は台風襲来で待機を余儀なくされまして、ある意味ではメールのやり取りが頻繁に来てましたんでね。逆にそっちの警戒というか、気持ちがすごい強かったんで、思ったほどはできなかったですね。
(あいテレビ)
じゃあもう少し時間が必要ということか。
(知事)
そうですね、しっかりと、いろいろな方々からお声いただいているんで、前にも申し上げたように、前向きに今考えていますんで。はい。
(南海放送)
広島の土砂災害についてだが、相手方があることで、なかなか受け入れ態勢等大変だと思われるが、実際に現地に出向き、視察や意見交換等を行いたいという意向はあるのか。
(知事)
今おっしゃったように、押しかけるということになると、逆に混乱を招いてしまう結果にもつながってしまいますので、その辺りはしっかりと広島県に早い段階からやれることは全てやりますからというメッセージ伝えております。で、大変ありがたいという言葉もいただいております。ただ、陸続きが手っ取り早いということもあって、岡山であるとか中国地方がまず最初になっていますので。われわれは、その気持ちは伝えてありますから、手助けが必要だという時は遠慮なしにというチャンネルだけはしっかりとつくっております。
その結果、先般の消防隊等の派遣へとつながっていったんですけれども、支援状況について報告させていただきますと、緊急消防援助隊愛媛県隊、こちらが出動要請を受けましたんで、8月21日木曜日から30日土曜日まで、この期間、瓦礫の撤去・行方不明者の捜索、救助活動を行いました。3班にわたって行ってもらったんですけれども、皆さんぞれぞれ隊長さんの指揮のもとに愛媛県を代表してお役に立つんだという非常に強い意志を持って行ってくれましたので、本当に悲しいことですけども、何人かの不明者も見つけ出してくれたという報告も上がってきております。その他にも四国管区機動隊愛媛中隊、こちらは23日から27日まで同様に救助活動を行ってくれています。さらに日本赤十字社愛媛県支部においても、27日から29日まで、避難所となっている3つの小学校を訪問、夜間に巡回しながら31名の診療を行ったという報告が上がってきております。このほか、9月3日に広島県に対する災害見舞金を50万円送らせていただきました。これ以降もですね、何らかの要請があれば、速やかに対応できるという思いを広島県側には伝えてありますので、もし要請があったらすぐにお役に立てるように常に心構えしておきたいと思っています。
(NHK)
デング熱についてだが、県内に1人感染が確認されており、今、相談電話等の対応をしていると思うが、それ以外に今後、県として対応していくことは何かあるか。
(知事)
実はその蚊が、刺さった方を地元の蚊が刺してまた広がるという恐れもあるんじゃないかということをそこを一番心配しておりましたんで、専門家の意見を原課の方から問い合わせをしましたけれども、向こう(代々木公園)に行ったのが8月の6日、お盆前という時期、そこからの期間を考えるとそこの心配を今することはないであろうというふうな声をいただきましたんで、とりあえずは新たな発生者に、発生の恐れがあるという不安感を持たれている方に対する対応を最優先に考えていきたいと思っています。
もう1人、同じ高校生の子が8月、これも期間が同じぐらいの時期に発熱されたということで、それの検体を送って調査している段階でありますが、そちらについては。
(健康増進課長)
検査中で結果が出ておりません。早かったら今日。
(知事)
早かったら今日ぐらいに出る可能性があるということでございます。それ以外にはどう状況は。
(健康増進課長)
特に報告はありません。
(知事)
特に報告はないということでございます。
(毎日新聞)
「瀬戸内しまのわ」について、最後の2カ月となったが、これまでの入り込み状況、また好調に推移していることについて、どのように受け止めているのか。
(知事)
非常に、当初の狙いどおりにですね、複数の県で長期にわたってイベントに取り組むというのは、極めてハードルの高いことだったんですけれども、広島県と愛媛県の間で進めることが出来ました。この狙いの一つは、情報発信力にあったんですが、1県で情報発信するよりは2つの県で情報発信、同じイベントの情報を発信した方が当然伝播力も違います。
それが如実に表れたのが、IT関係のトラベル会社で夏休み前に行った調査において、今年度の夏行きたい先都道府県別伸び率ランキングで愛媛県が1位になるというところにつながったのは間違いないと思っております。そういう意味で、特にその中での愛媛県の伸び率の牽引役となったのが自転車と、これはもう今治地域が突出して高くなっている。それと松山市のオンセナート、という2つのイベントが非常に大きな発信力になっているという分析結果が出てましたんで、特にサイクリングについては、サイクリストの聖地という位置付けというものが徐々に浸透し始めてきているのかなということを実感しています。ただ、夏休み結果はまだ出てないんですけど、ご案内の通り台風の直撃がございましたんで、まして広島での災害も発生しましたんで、キャンセルなんかもかなりあったと思いますんで、実数としてどうなったのかは分かりません。ただ、その伸び率ランキングで1位になったということは、それだけ行きたい先として多くの方々に浸透し始めているというので今後にもつながっていくんではなかろうかと思ってます。
それともう一つは、途中段階で自主企画イベント、島民の皆さんの自主企画イベントが新たに湧き起こってくるなど、住民の皆さんのやっぱり意識というか受け止め方が進行と同時にずいぶん変わってきているんだなと、いわば島の魅力というものに自信を持ち始めていただいているんではないかというふうなところがこうしたところに表れてきているような気がしてます。
先ほど申し上げましたように、最後の最後までしっかりとした対応をしていきますが、その後のフォローアップもしっかりと行っていけば、継続的な魅力ある観光地として愛媛県が選択されるような一つのいいきっかけが、この「瀬戸内しまのわ2014」にあったんだというふうに、後で振り返って思っていただけるようなイベントになっていくんではないかと思っています。
(長谷川副知事)
入り込み数だけ8月末までの状況を報告しますと、「瀬戸内しまのわ2014」の8月末までに愛媛県側で89のイベントを実施いたしました。県内外から約80万人の参加をいただいております。先ほど知事が申しました楽天トラベルの伸び率にありますように、このイベントの参加者とともに圏域の主要観光施設、例えば村上水軍博物館の入館者数が前年の倍増であるなど主要な観光施設の入り込みも増加をしております。
それから先ほど言いました自主企画イベント、民間企画イベントが、8月末までに66イベント。全体で90イベントが予定されていますが、8月末までに実施、もしくは実施済みが66イベントありまして、3万9千人の方々に参加、あるいは体験をいただいております。詳細な内訳は、また事務方から報告させていただきますが、順調に入り込み数が推移しているところであります。以上です。
(南海放送)
昨日の葬儀に出ていたと思うが、上甲監督との思い出とか何かあればお願いしたい。
(知事)
そうですね、実は本当にこうお話しするようになったのは済美高校に来られてからだったんですね。当時、僕は松山市長の立場でしたから、まあ逆に言えば松山市の学校に他の市の学校に負けないように頑張れという立場だったんですね。ですから宇和島東高校は、当時はですよ、市長という立場であればライバル校というようなそんな関係だったんですね。そんなときに上甲さんが済美高校の監督として赴任されて来ました。赴任してすぐにですね、実は今はもう休んでますけど、当時から個人的なラジオ番組を持ってまして、そのときに宇和島から松山に来られたということでゲストでお招きしたんです。そこが最初じっくり話す最初のきっかけでありました。そのときは松山市長の立場でしたから今のような話もしてですね、これからは松山市の学校の監督としてぜひ頑張って下さいっていうようなやり取りが初めてじっくりお話した機会でもあったんですね。それからすぐに、実績を挙げられまして、男女共学になって最初に入った男子生徒が1年生のときから2年生の秋の大会直前までは連戦連敗で、なかなか勝てないチームだったんですけども、その秋の初勝利から翌年の春の甲子園優勝までは無敗という奇跡的な成績を収めたチームでもありました。これは当時からですね、何も済美だけではなくてですね、松山市長時代はですね、市の学校が行ったときは初戦に応援に行くと、それから決勝戦に行くと、この2つと、それから試合が終わるごとに監督さんに次も頑張って下さいと電話を入れるというようなことをずっとやっていたんで、ある意味ではその電話を一番回数多くかけたのが上甲さんでしたんで、もう幾度となくそんなやり取りをさせていただきました。済美高校が優勝したときは、本当に関係者だけで松山市内でお祝い会をやったりですね、これは優勝ですからそういうお祝い会をやって労をねぎらったりそんなこともありましたんで、本当にいろんな思い出がよみがえってきます。
先週の土曜日にちょっと具合が、入院されたと聞いたので病院の方に行かせていただきましたけれども。その前日まではかなりお話もできてた状態だったらしいんですが、行ったときはもう眠られていました。本当に最後、別れ際に乗り越えて下さいよと手を握った瞬間ですね、パッと目を開けて数秒間涙を流されて、また目を閉じられるというあの光景は一生忘れられないと思います。本当に愛媛県の球史に残る実績を刻まれて、何よりも多くの子供たちを育てたそのご功績は本当に大きなものがあったと思いますので心から敬意を表させていただくとともにご冥福をお祈りしたいと思います。
(あいテレビ)
後ろのパネルにもあるが、えひめFree Wi-Fiの利用状況はどうか。
(企画振興部長)
ちょうどしまなみのサイクリングをにらんで、今、スポットを設置し始めてる状況でございまして、8月22日に数か所設置が済んでおりまして、サイクリングまでに150カ所目標に進める予定です。
(あいテレビ)
実際にどれくらいの方が利用しているのか。
(知事)
実際は、数が多くなってこないと便宜がよくなりませんから、一体どこでできるんだ、数カ所ってどこなんだ、というのはなかなか情報伝達出来ないんで、やっぱり、ここでも使える、ここでも使えるというのが見えてきて、利用者がどっと増えるという形じゃないかと思いますね。
(愛媛新聞)
広島市の土砂災害に関して、行政の対応でいろいろと見直す課題が出てきているようだが、その辺りに関してどう考えているのか。
(知事)
これは、まだ分析中というか、広島市、広島県自体が検証すると思いますので、それを参考にさせてもいただきたいなというふうに思っております。ただ、まず考えられるのは避難勧告の時期ですね、これがどうだったのか、それが的確に、それがもし問題があったとするならば、まだ分かりませんけども、どうすればいいのか、この辺りも非常に大きなテーマになってくるというふうに思います。それからもう一つは、情報の伝達なんですけども、気象情報等、市・町に対して伝達に努めているんですが、特に、土砂災害警戒情報が発令された場合、Faxやメールによる連絡のほか、やはり直接電話でしっかりと情報を伝達するというふうな対応をしたうえで、避難勧告等の適切な対応を講ずるよう助言するのが通常なんですが、それもしっかりとできているのか、見つめていく必要があると思っております。
それから、これは報道で知っただけなんですけども、避難勧告の放送そのものが住民の声として雨、あるいは雷の音であまり聞こえなかったんだ、あるいは電柱の倒壊等により機器が作動しなかったんだと、あるいは住民が就寝中のため聞えなかったんだというような住民の声というのがテレビのインタビューなんかで流れていましたので、こういうところはですね、本当にそれが本県の場合どうなんだろうとか、もしそういう住民の声があるとするならばそれをカバーする手立てってなんかあるんだろうかとか、こういったことは検証していく必要があると思っています。
(愛媛新聞)
電話で伝達するというのは、従来からやってることを徹底するということか。
(知事)
やってますけれども、徹底を図っていくということです。まあ往々にして、そうは言っても、Fax、メールがいったからとりあえず大丈夫だろうというところもあるかもしれないんですけどね。
(南海放送)
新内閣で塩崎厚労大臣が社会保障対策に意欲を見せているが、知事の立場としてはどのような改革を望むか。
(知事)
これは本当に大きなテーマだと思うんですが、そもそも日本の社会保障制度というのはピラミッド型の人口構造を前提につくり上げられてきていますんで、現在の逆ピラミッド型の人口構造社会に入っていった場合、それはもつわけがないんですね。ただこの社会保障を、そういう意味では持続的なものにしていくためには、相当思い切った抜本的改革をしなければ将来展望が見えてこないと、特に国レベルでは人口構造変化、いわば高齢化、高齢者の増加に伴うですね、支出の増が非常に大きなものとなってきておりまして、国レベルではこの自然増加だけで1兆2千億円が歳出増。そこにはよく焦点が当たるんですが実は地方分が抜けております。地方分についても8千億円ぐらいが自然増と。
これが放置していたら自然増ですから、歳出の割合がどんどんどんどん増えていくわけですね。ということは他の事業ができなくなっていく、あるいはひいては最終的には財政が追い詰められていくというところまできていると思います。
ただ、この社会保障制度改革というのは非常に難しい課題でありますから、相当腹をくくって向き合っていかなければ乗り越えて行くことができないと思いますので、まさにそこを意欲持たれているということは相当なる覚悟で臨まれると思いますので、ともかく長期的にみて日本の国が成り立つようなそんな課題に果敢に挑戦をしていただきたいと思っています。
(南海放送)
それに関連して、消費税の増税についてはどう考えているか。
(知事)
そうですね。これは7月から9月の経済情勢動向というのがまだ出ておりませんけれども、それを見て判断されるというふうに聞いていますんで、それはもう国が決めることだと思います。
ただ、4月から6月の経済情勢というのは非常に厳しかったと思います。それで7月から9月もちょっとまだ数字が出てないんで分からないんですが、そんなに猛暑では、瞬間的な猛暑はあるんですけれども、猛暑が連日続くというような状況ではなかったので夏物商戦が非常に好調とは言えない状況ではあったと聞いておりますし、全般的にちょっと消費が弱いような感じがしておりますので、どんな状況が数字が出てくるかちょっと注視をするべきだろうなと思っています。
輸出関係も円安によってバランスシートが確かに改善されているんですけれども、輸出数量そのものは、どういう状況なのかなあと、4月から6月が悪かったんですね。
ですから、7月から9月で改善されてどこまで改善されているのか、また、設備投資がどこまで本格的に行われようとしているのかというとこが今後出てくると思いますので、極めて、現実というものをしっかりと見極めたうえで判断していく必要性があるんではないかなと思っています。それで、悪い状況の中でどんと上げたらですね、これはもう本当に経済の失速につながりかねないんで、その辺の見極めを的確に行っていただきたいと思っています。
ただ一方で、どちらかといえば上がるかもしれないというような前提で予算が膨らんでいる部分も出てきてるのかなという気もするんで、その辺が今後本当に地方の経済情勢にも大きな影響を与えてきますから、あえて今回の予算編成の前置きに不透明な財政事情という言葉を入れさせていただきました。
(愛媛新聞)
先日松山市議会の方で、市長に在任していた当時の分水の署名に関して、開示を市側に求めるというなことになったと思うが、署名に関わった、受け取られた方としてどのように考えているか。
(知事)
署名は、市民の方々が、市政の置かれている状況を受けて、善意の行動として行ってこられるものですから、当時の市長としては、そこは信頼ということを重視してました。
というのは、実は前例があるんですよ。当時、就任したときに、山鳥坂ダム分水というものが引継ぎ事項としてありました。そのときもやっぱり、肱川流域の皆さんに市民の声が届いていないということを受けて、署名が行われています。ですから、今回の黒瀬ダムからの分水を求める決議の5年くらい前だったと思いますね。そのときに署名を行ったのは、実は自民党市議団なんです。その署名も数十万、ジャンルが違いますから、残っているので、同じ土俵にあげて議論するべきじゃないかなというふうに思いますね。
(愛媛新聞)
全国学力テストについて、今回、愛媛の小学生が22位、中学生が8位という結果であり、県として28年度までに全国トップ10入りを目指しているということで、中学生がそれを果たしたわけだが、そのことについての所感、また、教委が出した20市町の成績一覧では、中学生だと上と下との差が17ポイント開いたということだが、この点どのように改善に生かしてほしいと思っているか。
(知事)
義務教育段階というのは、いろんな意見があると思うんですけれども、やっぱり社会にいずれ出ていくわけですから、そのための基礎というものをしっかりと教え伝えるということが大事だと思ってます。具体的に言えば、読む力であり、書く力であり、計算する力であり、こうした基礎学習というのはすごく大事だと思います。スポーツでも、やっぱり基礎練習をおろそかにしてしまったら、その後の成長には結び付かないのと同じだと思うんですけれども、学力というのも、基礎というものをしっかりと伝えるということが大事ではないかなと思っています。そのためにですね、賛否両論はありますけれども、一斉テストで、今どのぐらいの段階にいるんだろうかというのを確認し、それを生かすということは極めて有効ではないかと思っています。
そういう観点から、個人情報に十分配慮しながら、できるだけ広範囲なエリアでの公表に踏み切っているところですけれども、もちろん、小さいところは、学校別に公表しますと、個人が特定されてしまいますから、それは市町の意向というものを優先させます。
ですから今回も四国中央市さんは入ってないですけれど、これは四国中央市さんの考えですから、それはそれで尊重しています。公表に踏み切られた市町につきましては、確かにいろんな差がありましたけれども、それこそが、なるほど、ここのレベルにいるから、改善しないといけないんだ、もっと頑張らなきゃいけないんだ、こういうふうに工夫しなければいけないんだ、というふうな改善策に、それぞれの地域で必ずつながっていくと思っていますので、何も点数だけではないんですけれども、小中学校という義務教育段階においては、基礎学力というのは、将来のことを考えるとすごく大事なんで、それを充実させるというためにも、10位以内という目標に向かって、みんなで力を合わせて、子どもたちのために力を合わせていきたいと思います。