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平成26年度8月知事定例記者会見(8月21日)の要旨について
日時:平成26年8月21日(木曜日)
11時19分~11時36分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
先週の伊予市の少女遺体遺棄事件について、県児童相談所も被害児童と加害者の双方に関わりがあったとのことだが、このことについての知事の所感を聞かせてほしい。また、今後、このような事件を防ぐため、県として関係機関とより一層連携していく必要があると思うが、どのように対応していくのか考えを伺いたい。
(知事)
まずは、何よりも被害者の大野裕香さんの御冥福を心からお祈りしたいと思います。
本件につきましては、これまで中央児童相談所が、事件の被害者、加害者の双方に何らかのかたちで関わっていただけに、結果として、こうした事件を防ぐことができなかったことは大変残念に思っています。
中央児童相談所の対応につきましては、事件が発覚した当日に事実関係を公表、説明させていただきましたけれども、改めて申し上げますと、被害者については、両親から中央児童相談所に対し3回相談がございました。直近の26年4月の家出相談では、警察への保護依頼等の助言をいたしていたところでございます。
また、加害者宅への家庭訪問を行う中で、25年12月、被害者が同宅に居ることを確認いたしましたが、当時は、家出相談がなされる前で、特段の指導等は行っておりません。
中央児童相談所としては、被害者に対する家出相談はありましたが、暴力を受けているとの相談や通報がなかったこと、加害者宅を訪問した際にも、被害者に対する、その時点では、暴行等の兆候は見受けられなかったことから、児相の段階で事件性の認識がなかったものでございます。その当時ですね。
しかしながら、今年6、7月頃から頻繁に近隣住民や市あるいは警察へ通報がありながら、こうした情報を中央児童相談所が把握しておりませんでした。こうしたところは大きな問題だと思います。関係機関との連携やさらに踏み込んだ対応ができなかったのかなどについて、課題を残していると思います。
県としては、今回の事案を踏まえまして、明日22日の金曜日に各市町、警察との緊急連絡会を開催しまして、各市町に設置しています要保護児童対策地域協議会における機能や連携の強化について改めて徹底するとともに、今後のあり方について関係機関の間で協議、検討するのが、まず一つ目。
また、伊予市の行う今回の事件の検証に、これは昨日ニュースでも流れておりましたけれども、中央児童相談所も参加しまして、関係機関の連携のあり方などについて検討するのが二つ目でございます。
それから、知事部局のことでございますが、児童相談所本体で踏み込んだ対応ができなかったか、こうした結果を招いた要因は何であったかなどについて、児相単独に委ねるのではなく、知事部局、庁内に検証チームを立ち上げます。そして、県としての検証を行い、今後の対策の強化に生かしたいと思います。これが三つ目でございます。
こうしたことを積み重ねて、このような痛ましい事件が二度と起こらないよう、児童の安全確保に万全を期して、関係機関が連携して地域全体で取り組む体制づくりに不断に取り組んでいきたいと思います。以上です。
(NHK)
検証チームを立ち上げるということだが、メンバーはどうなるのか。
(知事)
メンバーは、現在、保健福祉部生きがい推進局長をリーダーに考えております。その下に子育て支援課、それから県下3カ所の児童相談所、それから教育委員会の義務教育課長などを横断的に組織化しまして、チームを立ち上げて、中央児童相談所については、所長ではなく次長ぐらい、その他の児相については所長というのが良いのかなと思っています。まだ、コンクリートしていませんが、イメージとしてはこのようなかたちで検証チームを立ち上げたいと思っております。
(NHK)
外部の識者が入ることは検討しているのか。
(知事)
これは、県庁内の連絡体制の問題も非常に大きいので、今の段階では、児相にまかせきりということはできないということで、知事部局が乗り出して、県全体の組織として考えるということで今回は立ち上げていきたいと思っています。
(南海放送)
人数としてはどれくらいの規模を考えているのか。
(知事)
9人です。
(共同通信)
県内の関係機関で情報共有できずに、踏み込んだ対応ができなかったことについて、どう考えているのか。
(知事)
役所の組織、これは県だけではないですが、国も含めてとかく縦割り的なところが強い傾向があると思います。そこにどう横串を入れるかは、常に課題になっていると思います。
この問題についても、先ほど言ったように、警察、伊予市の住宅、生活保護、あるいは児相、いろいろなところが絡んでいるのですが、そういったところが縦割りで動いているところが一つの原因なのかなという感じもします。もちろん、今、伊予市でも検証されていると思いますので、その実態というのはまだ我々は確認できませんから、一番の基礎自治体の現状と、児相の県側から見た問題点、いろいろなものを組み合わせながら、どうしたら一番理想的な情報共有ができるのかを追求するきっかけにしたいと思っています。
(共同通信)
各組織の横串を入れるための器として、要対協があると思うが、今回、機能していなかったことに対してはどう考えているのか。
(知事)
全く機能していないとは言いませんけれども、実際こういう結果が起こってしまった以上は、やはり問題があったと認識した上で考えるべきだと思っています。
(あいテレビ)
聞くところによると、児童福祉司一人で80件、100件とかなりの案件を抱えているということだが、負担をもう少し軽減するようなことは検討しているのか。
(保健福祉部長)
問題は山積みはしていると思いますが、一つのアイデアとして人数を増やすことがありますが、県庁全体としては人数が減っている中で、こういう分野については、人数はかつてに比べるとどんどん増えているところです。また、一方で、今回のような困難事例が起こりますので、職員一人一人の能力を高める、より専門性の高い職員を育てていくことが課題であると思っていますので、今後、検討していかなければいけないとは考えます。
(あいテレビ)
広島の豪雨災害についてだが、県の今後の応援体制等検討していることがあれば聞かせてほしい。
(知事)
こうした災害が起こったときのカウンターパートでもありますので、広島にはもう当日から愛媛県、隣県としてですね、何かありましたら遠慮なく言っていただきたいという連絡を入れております。今は、陸続きの中国地方が主体で動いていますので、今の段階で、広島県からこれを送ってくれ、人を出してくれっていう要請は大丈夫ですと、今は、中国地方でやりくりをしているということでありましたから、ある意味では、いつ、いかなるときでも連絡があれば、駆け付けられるような準備をしているという段階です。
もう一つは、できるだけ早く、大きな被害でありますから、見舞金を県民の皆さんの気持ちとして、代表して送らしていただきたいというふうに思っております。このときに台風被害を受けた高知、それから徳島も合わせて、隣県、あるいは四国という中で見舞金を送らせていただきたいと思っています。
(県民環境部長)
消防庁の方から、各県に要請が出てまして、今、現在は大阪、岡山、鳥取、高知の4府県に緊急消防隊の派遣要請があって活動していますが、本県に対しても連絡が入りまして、本日中に緊急消防援助隊、この派遣要請が出る見込みになっております。
(知事)
まだ出てないんですね。
(県民環境部長)
まだ出てません。まだ詳細、人員とか、枠組みとかまだ決まってないですが、出る見込みで連絡が来ております。
(知事)
その連絡が入り次第、派遣の体制を組みたいと思ってます。こういうときはやはり、現地の対策本部の要請に基づいて動くということを基本に置かないとですね、行ってもかえって足手まといになったり、そういうケースもありますので、地元の要請というのをしっかりと受け止める中で、速やかな行動を起こすというのを基本に置きたいと思います。
(愛媛新聞)
見舞金を考えているということだが、それは募金みたいなものを検討しているということか。
(知事)
こういう大きな被害が起こったときは、既定予算の中で送るというふうにしておりますので、例えば東日本大震災のときも、岩手、宮城、福島に送らしていただいていますので、その考えの中で見舞金を送らせていただきたいと思っています。
(愛媛新聞)
愛媛県にもかなり土砂災害であり豪雨災害が懸念される場所も多いと思うが、土砂災害の警戒区域の指定であるとか、あるいはインフラの整備に向けての今後の考え方を教えてほしい。
(知事)
危険区域の指定というのは、国のルールに基づいて行っておりまして、かなりの数があるわけですね。広島県が危険箇所が全国で一番多いところなんですけども、愛媛県も14位なんですよ。本当に理想論でいえば、お金さえふんだんにあればですね、これを一気にということができるんですけど、そうはいかないような財政状況もありますので、また、財政上こちらを削って、こっちに回すというものでもないので、ある程度の計画を持ちながら、優先順位をしっかり見定めて、土砂災害の防止工事については、進めていきたいと思います。
一方で、まだまだ実態が分からないんですけれども、今日、テレビのニュースを見た限りにおいては、例えば、避難勧告が分からなかったというような声が非常に多かったんですね。それは、あれだけの集中豪雨というのはこれまで考えられなかったと思うんですけれども、ゲリラ豪雨の音によって、あるいは雷によって、声が届かないとかそういうケースもあるような感じもしますので、その辺はしっかり分析をして、やはり何よりも、その声が届かなかったら避難しようにもメッセージが伝わらないわけですから、この点についてはどうなってるのかという現状を大いに検証していきたいと思っています。
(NHK)
本日、第1回目の人口問題プロジェクトチームの会議が開催されるが、1回目ということで、それに対しての期待やどういった会議になって欲しいかということを聞かせてほしい。
(知事)
これも先ほどの伊予市の問題の本質と同じなんですけども、人口減少というのは、これは本当に国の存亡に関わる問題なので、極めて重要な課題として位置付けていかなければいけないんですけども、先ほどの縦割りの中で、それに関わる事業をそれぞれの部署がやってますから、やはりこれは横串を入れることによって有機的な連携をすることで効果に結び付けるというふうなことにつなげていくことができればとここに期待しています。
それから先ほどの、今回これもまたいろいろ分析をしないといけないんですが、広島の場合、マサ土というんですかね、そこの分布状況が広範囲に渡っているので、表面的な地滑りが起こりやすいという特質を持っているところだったと思うんですが、同じようなマサ土の表層が、愛媛県内では今治と島しょ部辺りが中心であります。ただその他の赤ホヤという、これももちろん今回初めて分かった、僕も知ったんですけど、これも同じように流出がしやすい土壌らしいんですが、これは広く東予から南予にも分布してますので、マサ土に関しては非常に愛媛県の場合、広島と違って少ないんですけども、同じようにこの赤ホヤという地表も地滑りが起こりやすいということで、しっかりと全県に関わる問題だという認識を持つ必要があると思います。