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平成26年度6月知事定例記者会見(6月16日)の要旨について
日時:平成26年6月16日(月曜日)
11時10分~12時01分
場所:知事会議室
(あいテレビ(幹事社))
安倍総理が来年度から法人税の実効税率の引き下げを明言していて、検討、調整が進められている。地方の法人関係税収は行政サービスを支える重要財源になっているが、引き下げの是非についてどのように考えているのか。また、引き下げる場合の歳入や財政運営への影響、代替財源などについてどのように国に求めるのか知事の見解を伺いたい。
(知事)
法人税の問題というのは、最終的に国会の議論で決まっていくものですけれども、非常に難しいハンドリングだと思います。一方では、近年、ドイツやイギリスで法人税の実効税率の引き下げが実施をされています。こうした中で、国際競争力という視点から考えて、日本の立地競争力、企業の国際競争力を強化していこうという発想からの引き下げ議論というのは一方で理解できるものです。その反面、先般、4月から消費税が増税されまして、今後の10パーセントの議論も控えてますので、こうした個人への増税、一方で、法人への減税という、この辺をどう国民の理解を得るかということを丁寧な議論をしていかないと、多くの方々の理解は得られないのではないか。それを国会が、どのように国民の前で議論していくのかということを注目していきたいと思っています。
ただ、一方で、企業はその企業活動において、インフラ整備など様々な行政サービスを地方から受けているのも事実でございます。それを支えているのが、企業の納める法人二税ということになるんですが、また、国と地方を通じた法人課税の税収のうち、ここは重要なんですが、地方交付税原資分も含めると、約6割が地方の財源になっているということは、国会で減税議論をするときに決して忘れてはならない角度・視点だと思います。このことを踏まえると、税率の引き下げは、今、申し上げた視点を軽視して進んでいった場合、地方財政に大きな影響を与えるということを強く申し上げておかなければいけない。導入に当たっては、その影響が出ないように、国が決めることですから、地方への影響をしっかり見据えた上で、恒久的で、安定的な、代替財源をしっかり確保するということが大前提になると考えます。
例えば、本県の26年度の当初予算では、県税収入が約1,276億円あります。このうち、法人二税、これは法人県民税と法人事業税ですが、約315億円すなわち約4分の1を占めている、愛媛県の実数ですけれども、他県も大体こういう状況になっていると思います。実効税率の引き下げによる代替財源の確保がもしなければ、今後の人口減少や高齢化の進展による社会保障関係費の地方負担分の増加の問題もあります。このようなことが避けられない中で、地方の産業政策や雇用対策のみならず、住民生活に必須の行政サービスを安定的に供給することが、困難になることは間違いないという現実があります。これは国会での議論の中で、この視点を必ず持っていただかないと地方は大変な状況に追い込まれるということを申し上げておきたいと思います。このため、先月、新藤総務大臣と直接お会いする機会をいただきまして、こうした旨を要望したところでありますし、全国知事会を通じて、政策減税の見直しによる課税ベースの拡大等により、地方交付税原資の減収分も含めた地方税財源の確保等を全国知事会として要望しているところです。このような地方の要望を受けて、今月10日に総務大臣と地方6団体が意見交換をした際、大臣から「地方の税収に穴が開くようなことは絶対に受け入れられない」と、閣僚の一人として力強い言葉をいただいておりまして、当然のことながら、地方税財源に十分配慮した議論が展開されると期待しております。
いずれにしても、今回の実効税率の引き下げが、かつて三位一体改革時に、本当にもう、どさくさにまぎれて、言葉は悪いかもしれませんが、受け止める側は、地方サイドは本当にそういう印象で、地方交付税等の大幅削減が三位一体改革の名の下に、半ば強制的に実施されて、地方財政が一気に危機的な状況に陥った過去があります。そのようなことの繰り返しにならないよう国の動向を注視するとともに、危機感を持って地方税財源の確保を強く求めてまいりたいと思います。以上です。
(あいテレビ)
先日、身元不明の認知症等の高齢者について、今年4月1日現在で、松山市が男女3人を保護していると公表されたが、身元確認の仕組みづくりを今後どのように取り組んでいくのか伺いたい。
(知事)
今、お話しがあったように、全国で認知症高齢者に関する問題が相次いでいるという報道が流れています。身元が分からず施設等に保護されている高齢者の県内の実態等を把握するため、これを受けまして市町に照会したところ、4月1日から2カ月ほど経って、3人の内の1人は身元が分かりましたので、現時点では、2人を松山市で保護している状況であります。認知症高齢者対策について、県ではこれまで市町を主体として、警察等を含めた高齢者の見守りネットワークの構築や認知症の人や家族を支援する認知症サポーターの養成等によりまして、地域で認知症高齢者を支える体制整備を図ってきたところでありますが、改めてその対策に力を入れておくことの必要性を痛感しているところでございます。
愛媛県では2人ということですけど、ゼロではないのでしっかりと対応していきたいと思います。
身元確認の仕組みづくりとしては、現在、警察庁や厚生労働省等により、国の方で検討が行われている段階ではありますが、本県独自の取り組みとして、他県と違い市町との定例的な連携協議会がございますので、この連携施策の課題に、今年度新たに認知症問題を取り上げまして、市町間の連携を図り、市町域を越えた身元確認のネットワークづくりを進めるとともに、認知症施策推進会議のメンバーに、警察職員を加えまして、身元確認に関する仕組みづくりに向けた検討を開始することとしています。今後とも国の検討結果等を踏まえながら、こうした取り組みを着実に推進することによりまして、認知症の方や家族が住みなれた地域で安心して暮らせる社会づくりに努めていきたいと思います。以上です。
(時事通信)
2人を松山市で保護していたということだが、今後、身体的特徴とか、男女の別の情報を出すとかは考えていないのか。
(知事)
詳細情報については、松山市の方で対応していますので、県で言えることは、性別とか、いつごろからの施設入所なのかということぐらいまでに留めさせていただきたいと思っています。
(時事通信)
あとは、松山市の方でということか。
(知事)
はい。
(毎日新聞)
ネットワーク等の仕組みづくりは、いつ頃までに取り組むのか。
(保健福祉部管理局長)
市町連携のネットワークづくりについては、今年度中でやっていきたいと思います。それから、認知症施策推進会議については、これは警察職員を加え、6月26日に第1回の会議を行うので、そこで検討を開始していきたいと思っています。
(あいテレビ)
キウイフルーツかいよう病で、JA東予園芸ゼスプリゴールド部会が全伐採だけではなく、部分伐採も選択肢に加えるよう、県に要望があったが、県としてどのように受け止めているのか。全伐採方針の要請を見直す考えはあるのか。
(知事)
まず、Psa3型かいよう病の発生園地での全伐採につきましては、ともかくこれは、拡大を防ぐというのが生産量日本一を誇る愛媛県での絶対的な課題であるという角度から、産地を守るために、苦渋の決断と協力をいただいた生産者の皆さんに対して、改めて、心から敬意と感謝とそしてお見舞いを申し上げたいと思います。
なぜ県が全伐採にしたかということでありますが、Psa3につきましては、先ほども触れましたように、感染原因が不明であるということ、この現段階ですね。
それから、2010年にニュージーランドで発生した際は、その感染力の高さから、産地が壊滅したと。半分近いですかね、産地が壊滅しました。その感染力の強さということを鑑みて、日本一の産地を守るためには、病原菌を根絶する緊急対策は必要であるというふうに判断して、5月2日に発表した「病害虫発生予察特殊報」で発病園地は全伐採することを基本といたしました。
発生園地での全伐採のお願いにつきましては、これまでも申し上げているとおり、国内で初めて発生したPsa3型に対する知識や情報が十分でない中にありまして、「病原力が強いこと」、「かいよう病に弱いゴールドキウイ産地である東予地域で発生したこと」、「地元生産者も早期の封じ込めに取り組もうとしたこと」等から、現時点の対処方法として、最も感染拡大のリスクが少ないと考えられる対策として、生産者の皆さんと協力して進めてきたものでございます。
一方で部分伐採の要望についてでありますが、今回、JA東予園芸ゼスプリゴールド部会からの要望は、依然として感染拡大が続く中で、全伐採後の営農継続への不安感からなされたものと受け止めていますけれども、全伐採の対応というのは、あくまでも強制ではなく、農家の同意を前提に進めてきたところでございます。今後とも、県としては、やはり、病原菌の感染拡大防止を第一に、今この段階では、新しい解明というのが出てきてない以上は、全伐採の方針で臨むこととしておりますことから、今後とも産地を守るためにですね、協力をいただきたいというふうに思っております。
今後の対応でありますけれども、県では、5月19日に独自で調査チームを立ち上げました。その他先ほど、触れさせていただきました、6月15日から職員をニュージーランドに派遣して調査するなど、感染源や感染ルートの解明に取り組んでいるところであり、今後、感染源の解明や新しい有効な予防対策等の検討が進めば、現在、お願いしている全伐採の対応も含めて、新たな対策を再検討することも可能となり、産地全体が継続的に取り組むことが出来る効果的な予防対策などをお示しできるのではないかと考えています。
なお、県としては、本県の要望を受けて、国が実施することとした同一品種への改植や未収益期間の支援等の円滑な実施に加え、経営再建に必要な借入資金の金利負担軽減を目的とした利子補給制度の6月補正予算での創設など、全伐採にご協力いただいた生産者に対する営農継続の支援に今後とも全力で努めていきたいというふうに思います。以上でございます。
(愛媛新聞)
部会から要望を出されてから全伐採が止まっているようだが、その点についてはどう考えているのか。
(知事)
先ほども申し上げたとおり、これは強制ではありませんから、ただ、今、複数県で発生していますけれども、全伐採の方針を立てているのは生産量の多い地域、愛媛県と福岡県です。生産量の小さい地域、1位、2位以下は下がるんですけれども、全伐採したら全部無くなってしまうような、キウイが一つも取れなくなってしまうような小さいが故の悩み、それから、小さいが故に拡大という心配が少ない、そういう条件の違いがあると思うんですね。
この段階、解明ができていない段階で苦しいですけれども根絶というものを優先させて、実は残したことによって感染が止まらなくなって取り返しのつかないことになってしまうという観点でこの段階では物事を考えた方がベストであると思っていますので引き続き、強制はできませんけれども粘り強くその趣旨というものを生産者の方々にお話ししていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
こういった意見書が出てきた背景には、先月29日の説明会で農林水産省が現状では部分伐採でも構わないとしたところがあるのではないか。
(知事)
小さな県、生産量の少ない県では先ほど申し上げた背景で、拡大の恐れがないから部分伐採でいいじゃないかという意見があるのは当然なんですね。そういった意見が生産量の小さい県から出てきているんで、そこは認めようというというのが国の判断だったかもしれませんが、生産量の多い、愛媛県と福岡県は今後ともしっかりと生産量を守っていくんだという強い意志を持っているが故に全伐採に踏み切っていると。その県の規模の違いというのがそこに表れていると思います。
(NHK)
感染ルートについて、調査は進んでいるのか。
(農林水産部長)
今、調査チームの方で検討、分析をしているところです。発生園においての穂木、苗木、花粉、それから剪定器具等の生産資材の保菌状況の有無など、それから調達ルートあるいはその剪定器具の共有の状況、こういったことについて今、調査を進めているところです。
被害園地が増えたということもあって、若干日数はもう少しかかる見通しである状況でございます。
(NHK)
ニュージーランドが原因の一つではないかということについて、どういう意味として捉えればよいか。
(知事)
年月のことをから分析すると樹体そのものが潜伏期間も考えると考えにくい。すると受粉ということに感染原因があるんじゃないかと。その受粉の元は全部ニュージーランドから来ていますので、そこら辺りを分析しているところです。
(NHK)
知事としては、そこから感染した可能性が高いという考えか。
(知事)
僕は専門家ではないですから、ここはちゃんとした調査チームで分析して、結論を待たないと確定したことは言えないです。
(NHK)
昨日からニュージーランドに調査チームを出しているが、全伐採の方針をもし変えるとしたら、その情報収集の状況を見てということになるのか。
(知事)
何か対策があるのであれば可能だと思いますが、今はそれが見えていない段階ですから、特に雨期、気温が上がってくると活動を停止しますから、そこで気を緩めるということが目先の発生はなかったとしても、じゃあ1年後はどうなるのかといったいろいろな問題につながってくると思うんですね。非常に強い菌ですから、短期で物事を考える場合と、日本一の生産地を守っていくんだという中長期で考える場合とおのずから対応策も考え方も変わってくると思います。今の段階では発生原因が不明、対策も明確なものがないという以上は、根絶ということを優先させるべきじゃないかなと思っています。
愛媛県は素直にどこの園地で何本が発生し、その結果何本を切ったというのを全てオープンにしているんですが、県によってはそのあたりの情報開示が非常に不透明、不十分なところも場所によってはあるんですね。ですから実態というのはよく分からないと思います。愛媛県は全てをオープンにしながら、生産地、生産量日本一を守っていきたいからオープンにするんだという気構えで向き合っていきたいと思っています。
(NHK)
そういった対策が見えるまでは、全伐採の方針で協力を呼び掛けるということか。
(知事)
はい。呼び掛けていきます。
(愛媛新聞)
全伐採に応じない方の気持ちとして、営農継続への不安感があるとのことだが、今後の追加の支援策についてはどう考えているのか。
(知事)
できることはどんどんやっていくという方針を約束していますんで、例えば、愛媛県の場合は他県に先んじて伐採の費用を市町と協力して予備費でやらせていただいたこと、それから今回の利子補給体制の整備、それからネット等々の支援、こういった気付いてやれることはどんどんやっていくと。この方針は一つも変わりません。
しかし、一方で国に対する働きかけも重要ですから、樹体の共済制度への加入の問題であるとか、同一品種への植え換えを認める話であるとか、こういったことも働きかけを今後とも現地、現場の声を聞きながら行動していきたいと思っています。
(愛媛新聞)
先ほど、全伐採の生産者に対する支援に努めるという発言があったが、部分伐採の農家については今回の緊急対策は適用外ということになるのか。
(知事)
特に色分けはしていません。ともかく、今は、愛媛県は全伐採が基本ですから、応じていただけるというこの思い、要は短期では無く長期で、苦しいけれども、守っていくために今の段階ではこれがベストであるという思いを伝え続けるのみですから。
(愛媛新聞)
先日、規制改革会議の答申が出され、農協改革について盛り込まれているが、改革の必要性など意見があれば伺いたい。
(知事)
規制改革会議の中身を拝見しますと、農業者の所得向上と、農業の成長産業化を目指すために議論が行われたというふうには思います。その中で農協の問題が出てきてますけども、単位農協については、理事の過半を認定農業者や販売農業系のプロとすることで、創意工夫によりサービスの自由度が高まること、それから農業生産法人については役員構成要件の緩和等によって、企業参入や6次産業化が促進されること等が期待されてまして、JAグループ革新に向けた意欲というものがうかがえる答申だというふうには感じております。
一方で、唐突に打ち出されたいきなりの中央会の廃止であるとか全農の株式会社への転換という議論については、一体その結果何が起こるんだろうということも現場の現実それから混乱というのも十分に踏まえた上で、議論するべきだと考えておりましたので、こういう話がぽんと目立つのが出るとですね、もうそれをするのかしないのかっていうですね、二者択一の議論に陥りかねないという危険性を感じますんで、そういうふうなことからしっかりとした現場を見据えた議論をしていただきたいということを申し上げてまいりました。
それを受けて、今、国の方では、中央会は自律的な新制度に移行とされるなど、適切な時期を設けて自己改革を実施するという方向になりましたので、JAグループは今回の答申の趣旨というものを受け止めて、それぞれの地域における役割や、制度のあり方等について十分に議論をしながら、ともかく農業者の所得向上と農業の成長産業化これを目途にした改革に農業改革を取りまとめてほしいと思っております。
なお、国においては今回の答申を踏まえて、「農林水産業地域の活力創造プラン」を6月末に改定すると聞いておりますので、それをちょっと注視していきたいなと思っています。
農協というのは、先ほど申し上げましたように加入者、農業者の所得向上というものが最大の目的で存在していると思うんですけども、ともすれば本業以外の事業への拡大がここ最近顕著になっていてその最も大事な、例えば新品種の開発であるとか販路拡大であるとか、ちょっと弱いな、弱くなってるんじゃないかなというのは個人的にも感じておりました。そこをカバーするために愛媛県では、これは別に農業だけではないんですけども、側面的な営業、補助エンジンとしての営業支援というものを、営業本部の活動によって打ち出しているところなんですけども、これは本来農協が自ら行っていくべき問題だというふうに本来は思っています。ようやく海外にも目を向けていただけるようになりましたので、大分そういった方向性が出てきているような実感はあります。ですから本来の目的である農業者の所得向上のために全力を発揮できるような農協の改革に向かって、言われるまでもなく進んでいくことを期待しているところでございます。
(あいテレビ)
県政最大与党の自民党の知事選に対する対応が今、ちょっと止まっている状況だが、知事自身はどう受け止めているか。
(知事)
いやいや、僕はまだ出馬表明しているわけではありませんので、特にございません。
(あいテレビ)
知事自身、次にやりたいことが見つかればということであるが、出馬要請に対する検討、準備の状況はどうか。
(知事)
本当に正直言って、多くの方面から、今、出馬要請をいただいています。これはこれで大変ありがたいことで、ともかく公約の実現を目標にして、一生懸命やってきたつもりなんですけども、もちろんできなかったこともあるんだろうし、足らざるところもあるんだろうと思います。
そういう中で、評価いただいたってのはこれはもう素直にありがたいなというふうに思っています。そのときに申し上げたのは、やっぱり公約が全てですから、じゃあ4年というタームの中で本当にそれを描き切れるものがあるか、描き切れるだろうかということにおいての自分への問い掛けをしないといけない、やりたいんですけども今、全然時間がなくて、今日、明日まとめられるかっていったら全然そんな状況ではないんで、もうしばらく時間をいただきたいなと思ってます。
(あいテレビ)
野志市長が事実上の出馬表明をしたが、その辺はどう考えているか。
(知事)
それはもう個人のことですから分かりません。僕でもまとまれば早い段階で前向きに出馬の方向でと言ったことも市長時代ありましたから、それは個人、個人の違いなんで、その心情というのはご本人に聞いていただけたらいいんではないかと思います。
(南海放送)
公約ができた段階が出馬表明のタイミングということか。
(知事)
そうですね、はい。
(南海放送)
出馬要請が集まっているということに関しては、それはまた別の話ということか。
(知事)
その気持ちがあればこそ、考えるんだっていう気持ちにはなる、それが大きいですね。
(南海放送)
公約がまとまる時期はまだか。
(知事)
分かりません。
(愛媛新聞)
野志市長が出馬するであろうということについての感想、考えは何かあるか。
(知事)
政治というのは誰が立候補しても自由ですからそれは特にはないです。ただ本当に野志市長さんはスタートしたときに、私も11年松山市政をあずからせていただきましたけども、「継承と発展」というのを一つのベースに掲げられていたんですが、そういう意味では自分が11年やった市政改革というものは、引き続きバトンタッチしていただいたなと。それから市長時代に培った色んな人脈も、ちゃんと松山の財産として、引き継いで上手く生かしていただいてるなという実感はあります。
それともう一つ言えば、僕は、今は県の立場ですけども、これは松山市だけではないんですが、自分のテーマに「市町連携、県と市町の連携」があったんですけども、例えば、自分が市長時代にやってなかったことで言えば「産業まつり」の共同実施によって2日間で10万人を超えるような大きな県内産業の活性化にも寄与するようなイベントに結び付いたということもあります。
それから、県・市共同で、例えば松山・成田線の就航等、あるいは10年ぐらい前に掲げた台湾松山・愛媛松山の就航、これなんかも、やはり県と市が協力して役割分担しながら働きかけたことによって実現したのではないかなと思いますけど。
(南海放送)
野志市長の3年半については、評価、ある程度評価しているというようなことか。
(知事)
そうですね。評価というか、何ていうんですかね、失政はないですよね。と感じますけどね。一生懸命動いて、特に一番、僕ができなかったのはタウンミーティングです。何周になるんですかね、二周目に入ってるんですかね。土日も全部潰れていきますから、市民と対話をしながら、その声をくみ取って市政に生かしていく、きめ細かい対応というのは自分にはできなかったですね。
(南海放送)
市長が出馬表明し、次に求めることはどういうことか。
(知事)
やはり、どんなビジョンを掲げるかに尽きますよね。
(南海放送)
今までにない新しいことに取り組むとかか。
(知事)
そういうことも含めてです。でも基礎自治体の場合は、やはり市民生活に密着した課題が多いですから、非常に地味なテーマも沢山あります。それもきめ細かくやはり網羅するというのが基礎自治体の首長、これは松山市だけではなくで、全ての市長さん、町長さんに挑戦する方々が対応すべき公約の基本ではないかなと思いますけど。
(南海放送)
先日、また県職員の不祥事があり、副知事の訓示もあったが、知事としての所感を伺いたい。
(知事)
そうですね、これは繰り返しになってしまうんですけども、県の組織も大変、大所帯でございます。行政改革で非常に、類似として比べたら少ない人数なんですけども、組織としては大人数ですから、一人一人の私生活、それから考えまでなかなか踏み込んで統率をとることは難しいところもございます。だからこそ何か不祥事が起こったときは、繰り返し繰り返し本当に基本的なことをお互いが確認し合って再発防止に努めようという呼び掛けを続けていかなければなりません。それでも、そのときに一人の不祥事というものが組織全体の信頼感を崩していくということにもなります。そのことと、それから公僕としての自覚、この二つを常にどんなときでも言わなければいけないんですけども、それでも構成する職員が人である以上、やってもやっても絶対にこれで起こりませんと言い切る自信はありません。
だからこそ、何か起こったときにはそれは絶対に隠さない。起こったときにはオープンにしてお叱りも受ける、それでお詫びもする、そのときの考えられる対策を取る、さらに起こった現象を分析して、もし新たな制度が必要だったらそれも行うということを積み重ねて行く以外ないと思ってます。
ただ今回は、不祥事が続いた昨年もありましたので、その防止を呼び掛けている最中に起こったことですから、厳罰をもって対応していきたいと思います。
(毎日新聞)
知事もかつて顧問をしていた社会人野球の松山フェニックスが、初めて都市対抗野球に出場が決まったが、このことについての感想と、あと県として支援、応援等する予定があるか伺いたい。
(知事)
これはもう本当に皆さんにお願いしたいことで、一応私も今、名誉顧問になっておりまして、他県から来られた記者の皆さんもいらっしゃるんでちょっと触れさせていただきたいんですけど、かつて松山市の社会人野球も非常に盛んだった時期がございます。銀行や鉄道会社のチームがあったときもありますけれども、強かったのは、丸善石油のエースピッチャーの古賀さんという人は太平洋クラブライオンズ、それからNTT四国のエースだった渡辺氏は西武、それからその後のエースだった西山投手はジャイアンツと、いずれもドラフト1位、3位で輩出したという輝かしい歴史を刻んできました。
ところが今から15年前、市長に就任したその年に、NTT四国野球部が廃部を決定し、グラウンドの売却も行なわれました。この瞬間、愛媛県内、松山だけじゃなく県内から、都市対抗野球を目指す公式チームは消滅したということになりました。そのときに当時のNTT四国の現役メンバーだけではなかったんですけども、彼らを中心に都市対抗に挑戦できる社会人野球チームの火を消したくないという思いが、当時の市長室に皆が集まって、私にぶつけられました。
できることとできないことありますけど、都市対抗に挑戦できる唯一のチームということで松山市からバックアップしようということで、ささやかながら企業に声を掛けたり、本当にかつかつの予算の中でなんとかやりくりしていきました。相手は企業チームですからほとんどの部員は午後3時までの仕事、3時以降はグラウンドに集まって会社のグラウンドで練習、費用は全部会社持ちという条件です。松山フェニックスの場合は、職種はばらばら、会社が終わった後に週に1、2回集まって合同練習。しかも、会費を払いながら野球が好きだからこそもっているというチームですけど、今から12年前に一度だけ奇跡を起こしました。それは、社会人野球には2つ大きな大会があるんですけども、大阪ドームで開催する日本選手権と、それから今回の東京ドームで開催する都市対抗野球ですけど、この大阪ドームの日本選手権の予選に奇跡的に勝って、四国代表に選ばれたことがあるんです。このときは勝ち進んでその切符を手にしたんですが、棄権をするという選択肢をしようとしました。遠征行くにもお金がない、しかも出場すると大阪ドームの場合はオーロラビジョンにチームが広告を出せという義務がある。出せない場合は50万円払って下さいと。そんなのクラブチームはお金がないですから。出す広告もないし、お金もない。そのときは松山市の観光宣伝でなんとかごまかしたんですけど。そんな状況でしたけど、松山市内の企業は皆さんお金を出してくれて、なんとか遠征に出場することができました。
以来、ずっと負け続けています。都市対抗については発足以来15年間、報告はいつも残念ながら、残念ながら、残念ながらの繰り返しでありました。今回、本当に彼らは奇跡を起こしたと思います。今、テレビのドラマで皆さん見てるかどうか分からないんですけど、昨日ありました「ルーズヴェルトゲーム」。社会人野球に焦点が当たっているんですけど、青島製作所という中小企業が持っている社会人野球がドラマの舞台になっていますが、厳しい、厳しい、環境が悪いっていうふうに言っているんですけども、あんなもの松山フェニックスと比べたら全然、恵まれていると僕は思うくらい、松山フェニックスの窮状というのは大変なものです。
今回、これも初めて知ったんですが、都市対抗に出た瞬間ですね、出場チームは700円の入場券を4,000枚購入する義務が課せられます。すなわち、出場料とみてもいいと思うんですね。280万円ですよ。どこにそんなお金があるんだ。企業チームだったらそれを丸ごと買って社員に割り当てていきますから簡単にできますけども、そこからもうきゅうきゅうの状態で今、活動は始まってます。昨日もメンバー全員が市駅前で街頭募金に立ってたそうなんですけども、これから松山市が呼び掛けて実行委員会を立ち上げていくと思いますので、私もですね、その当初の経緯から関わって、その厳しい背景も全部知っている立場からできるだけ多くの方々に支援の輪を呼びかけていきたいなと思っていますので、ぜひ皆さん出場チームの中では間違いなくトップクラスの金欠軍団ですから、ご協力いただきますようにお願い申し上げたいと思います。
(テレビ愛媛)
先月、自民党が発表した地域活性化対策の一つとして、プロ野球16球団構想というのががあり、四国も一つの候補地に挙げられているが、そのことについて率直にどう思っているのか。また、実現の可能性は知事の考えの中であるのか聞かせてほしい。
(知事)
誰もがですね、夢は大きくこれは大いに結構なことだと思います。ただ自分自身が松山市でプロ野球球団の誘致等に関わってきたので、そんな絵を描いて簡単に実現できるような世界ではないと思います。どう分析されているのかが、まだ全然情報が入ってないので、それをもし、国の方針でやるならばそれなりの裏付け、バックアップをしっかりしていただかなかったら、逆に混乱してしまうので、そこまで夢を出していただけるんであれば、ぜひ現実を知っていただいて、国で何ができるかまとめていただきたいと、これに尽きますね。
(南海放送)
松山市議会の清水議長が、分水と水需給計画の見直しについて言及し、西条市議会に話をするようだが、そのことについての所感は。
(知事)
これはもう松山市さんが決めることで、繰り返してきましたけども、19の方策の中で比較検討をし、どの対策にも一長一短があるんですね。実現性と安定性とコストの面から言えば、黒瀬ダムの分水が一番ベストであるというような状況だったんですね。例えば、コストで言えば、西条分水の場合は投資に対して得られる水量が4万8千トンであった場合、水道料金の影響が15パーセントアップという当時の試算ですね。海水の淡水化の場合は40パーセントアップ等、全部はじいていますので。最近、工事費なども変わってきているかも知れませんから、そういった微調整はあるかも知れません。
ただし、要は市議会がそれを議論して、松山市議会でこれを優先して、「市の理事者はこれを働きかけをせよ」という意思表示があって、そこからスタートしてる話なんです。ですから、元を市議会がやっている以上は、市議会がどうされるかというのは、市議会が決める話です。
ただ、算数の問題なんですけども、よく最近、数量を減らせばいいとか極めて単純な話が聞こえてくるときがあるんですけど、なんでこれ算数の問題なのに議論されないのかと思うんですけど、4万8千トンが6万トンになればコストは下がるんです。投資は変わりませんから。4万8千トンが4万トンでいいや、3万トンでいいやということになったらですね、投資金額変わらないですから、コストはドーンと上がるんですね。それは15パーセントの水道料金の値上げを、20パーセントにする、30パーセントにする、40パーセントにするという単純な算数の話なんで、そこら辺りをちゃんと議論されているのかどうかが全然見えてこないので、これからどうするのかというのを見極めていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
えひめ国体で、今回、7種目の競技を追加する可能性があるという話があるが、どのように考えているか。
(知事)
オリンピックをにらんだ国体種目の追加検討ということだと思うんです。まだ具体的にどうするかというのは向こうも決まってないですし、何となくどんな種目なのかということを見てみたんですけども、大半は女子種目の追加というところが半分以上だったと思います。もう一つは、新たな種目として、オープンウォータースイミングであるとかビーチバレーだとか、トランポリンであるとかこういったところなんです。
追加されたときにある程度の会場、整備が必要な種目は、オープンウォータースイミングとビーチバレーくらいかなという気はします。他は、体育館を使うとか器具を揃えるくらいなんで、会場の問題というのは、今の二つ以外はそう大きな話ではないなと、ただ受け入れてくれる余裕がそれぞれの市町にあるのかどうかというのが一番大きな問題になってくると思います。
運営面で特に女子種目を増やすとかそういうことになると、その愛媛県のその種目の協会が運営面で引き受けることができるかどうかというこの二つが一番大きな課題になってくるんじゃないかなと思います。
(愛媛新聞)
補正予算で、上海線の支援について実施することとしているが、搭乗率が低迷する中での公金の投入の必要性ということをどう考えているのか。
(知事)
ポイントは4、5、6月限定なんですね。要は3か月間、フライトキャンセルだったですね。これまでのいきさつからいって、4月再開という決断をした訳ですよ。
でも、これだけ3か月間空白があるとそれは急には難しいです。ですから、助走の軌道に乗せるまでの3か月間だけバックアップしましょうというような限定的誘導策です。
今のところ4月、5月は予想通りです。4月はもう本当に少なかったです。6月でやはり5割以上になってきていますので、そこで一つの効果は出てきているかなと。ここから7月以降は通常のバックアップ体制に戻りますので、そこで推移を見ていくということになります。だから、フライトキャンセルがあった後の限定的措置というふうに受け止めていただけたらと思います。