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平成25年度7月知事定例記者会見の要旨について
日時 平成25年7月25日(木曜日)11時19分~11時59分
場所 知事会議室
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
1点目は、四国電力が伊方3号機の運転再開に向けた審査の申請を行ったことについて、県としての評価及び再稼働をめぐる今後の県のスタンスはどうか。
2点目は、伊方原子力発電所環境安全管理委員会原子力安全専門部会委員への原発業界からの寄付に関し、他県では情報開示している例もあるが、今後、本県でも開示する考えはないのか。以上2点伺いたい。
(知事)
まず1点目ですけれども、今回の申請は、福島第一原発事故の教訓を踏まえて関係法令が改正されたわけでございます。国の方で改正された関係法令に基づきまして、新規制基準ができて、それに適合しているかどうかの審査を原子力規制委員会に求めて、安全性を確認していくと。新規制基準が法律に基づいてできていますから、それをクリアしているかどうなのかというものを審査してもらうための手続きなので、これは安全性を確認していくものでありますから、必要な手続きであると認識しています。
今後、この委員会は透明性や公正さを十分に確保した上で、新規制基準に基づいて厳格な、そして的確な審査を一つ一つしっかりと実施していただかなければならないわけであります。専門的な部分も多いわけですから、分かりやすい形で、是が非でも国民への丁寧な説明を行っていただきたいと思っています。
県に対しましても、国への申請と同日に安全協定に基づきまして、事前協議書の提出がございました。県としては、今後の国の審査を見極めながら、並行してその内容を確認していく必要があると思っております。このことから、先日7月17日及び19日に伊方原子力発電所環境安全管理委員会等を開催しまして、まず国や四国電力から新規制基準の概要や申請内容について説明を受けて、確認作業を開始したところでございます。
一方、再稼働というのは別問題であります。今の県知事の立場というのは、これは福島原発事故以降、2年半前から言い続けていますけれども、あくまでも再稼働というのは、総合的なエネルギー政策、これには原子力政策も含まれますけども、これをつかさどっている国の方針と、それから実際に事業を行っている電力事業者たる四国電力の姿勢と、この二つをもって、立地地域を含めた地域の判断というものの議論が起こってきますので、それを鳥瞰図的に見ながらどうするかということを決めていくと、これが基本のスタイルでございます。となると今の段階での知事の役割というのは、県民の皆様が判断するための前提条件である国の方針と、電力会社の姿勢というのがどうなっているのか、どういうものなんだということを引っ張り出すという役割だと思っています。
ですから、国に対しても言うべきことは言い、そして、電力事業者に対しても気が付いたことはどんどん要請を続けているというのは、まさにそこにあるわけで、国がこういう方針のようですと、電力事業者はこういう体制ですと、さあ皆さん、どういう判断、議論されますかというのが次のステップ。そこで決まって、いろんな議論があると思います。それを最終的に判断して再稼働うんぬんというものに合意するかどうかを自分の判断の中で最後は決めていくというステップを踏んでいくということでございます。
ですから、結論から言うと、再稼働がどうだということに関して言えば、今の現時点での知事の役割は、国の方針と電力事業者の姿勢を引っ張り出すということにありますので、再稼働そのものについては白紙から一歩も出ていないということになります。
それから次に、委員さんの問題でありますが、まず一つ申し上げさせていただきたいのは、ルールはそれぞれですけれども、こうした委員さんに自己申告を求めて、それから委員除外要件、こういう場合は駄目だという除外要件を設けて、公表しているのは現在のところ、原発立地道県というのは現在12道県ですが、本県を含む3道県のみでございます。ですから、こういうそもそもの除外要件を設けているところ自体は12分の3しかない。その中に愛媛県は入っているということを、まずはご理解いただきたいと思います。
その前提で、先日新聞各紙におきまして、伊方原子力発電所環境安全管理委員会の専門部会の二人の委員さんが、日本原子力発電、原子燃料工業、関西原子力懇談会から研究助成の寄付を受けていることが判明したという記事が掲載されました。各委員さんについては、それぞれの専門分野に深い見識を持っていらっしゃる方ばかりでございます。ですから、委嘱をさせていただきました。また、本年3月に旧技術専門部会を原子力安全専門部会と環境専門部会に再編して、委員を追加委嘱いたしました。より緻密に審査をしていただくという目的でございます。その際に、従来からの委員さんも含めて、四国電力等との利益相反の自己申告を先ほどのルールに基づいて12分の3の県の一つとして求めたものでございます。この自己申告内容は、原子力規制委員会における外部有識者の委員要件に準じて定めていますが、このうち一つには、四国電力等の役員、従業員等の経歴があるのかないのか。二つに、四国電力等からの、個人として、1年度当たり1事業者・団体につき50万円以上の報酬等の受領があるのかないのか。この2項目に該当しないということが委員要件であることを公表してきたところでございます。
なお、寄付については、これも非常に難しい判断があるのかもしれませんけれども、何らかの見返り、報酬とですね、それから奨学、研究ですね、これは全く意味が違いますので、そこはしっかり見極めておく必要があるのではないかなと思います。三つ目には、個人の研究又は所属する研究室等に対する四国電力等からの寄付については、透明性確保の観点から、国と同様に参考として自己申告を求めているものでございます。
従って、今回の記事の寄付については、県が委員除外要件としている四国電力等の役員や報酬受領等に該当はしていないと判断をしておりますので、そもそも自己申告は必要はないですけれども、こうしたような制度を設けていますから出てきた話であって、委員の委嘱上問題はないと思っています。
また、先ほど申し上げましたとおり、12立地道県のうち、本県を含む3県だけがこうした除外要件を持っていますが、さらに委員の利益相反の有無について透明性を確保する観点から、今後専門部会委員からの個別の自己申告書についても、ホームページ上で公開をすることに至したいと思います。以上です。
(NHK)
確認だが、ホームページで公開するのは、四国電力からの寄付についてのみか。例えば、今回の問題の原電からの寄付等についても公開するのか。
(県民環境部長)
要件として先ほど申しましたとおり利益相反ということから考えまして、四国電力等というそういう縛り、国も同様ですが、かけておりますので、その範囲の中での自己申告、これにつきましては公表させていただきます。
(NHK)
ホームページの公開はいつから始まるのか。
(県民環境部長)
これはできるだけ速やかに、ちょっと技術的な作業もございますが、できるだけ速やかにやりたいと思っています。
(テレビ愛媛)
現在の基準で公平性は確保されていると考えているのか。
(知事)
はい。
(あいテレビ)
四国電力に限らず、電力業界からの寄付であれば、利益相反ではないかと見る意見もあると思うが、それについてはどう考えているのか。
(知事)
大学の先生は、そうすると例えば、原子力の研究をあまりしなくていいという社会になってしまいかねないので、すごく判断難しいと思います。先ほど言った報酬というものと学問研究というものの線引きっていうのは、明確にはできないのかもしれないけれど、だからこそ、その辺り明確に役員報酬であるとか、あるいは1年間に考えられない巨額のお金とか、そういうものが動いている場合は、それはもう論外だと思いますけれども、ある程度の許容というのは、僕はあると思いますけどね。一つ一つ1円たりともとなったら、原子力は安全確保のために研究が必要なわけですが、その研究を進めるということについてまでブレーキをかけてしまいかねないようなところまでいく可能性もあるので、そこはすごく難しいハンドリングだと思いますが、そういったことを踏まえた上で、物事を判断していくべきと思います。
(共同通信)
規制委員会の審査の関係で、3グループのうち伊方が入っているグループの中では、伊方3号機がおそらく審査が先行するだろうという見通しが出ているが、今後、四国電力が審査に臨む上で、このような姿勢で臨んでもらいたいという要望があればお聞かせ願いたい。
(知事)
これは、懸念事項に対する速やかな対応ということが大事だと思いますが、これについては審査以前に、この2年半に先ほど申し上げた一つの柱として、電力事業者としての姿勢というものを挙げましたので、見える形で要求を次から次へと突き付けてきたつもりでございます。ですから、それに対して四電さんが、これは評価というのはそれぞれですから、その評価を良しとするかしないかというのは、それぞれの判断だとは思いますけど、個人的には県の独自の要請に対しては、非常に可能な限りのスピードで真摯に対応してきた2年半ではなかったかなと、もちろん100点ではないですよ。報告漏れのようなことも実際あったわけですから。
それについても、公の場で、これは信頼関係の根幹を覆すような話ということを強く申し上げて、その重みを受けてまた対応していくという、これを積み重ねていくという姿勢というのが、やはり大事だと思います。これは審査というフィールドが違う分野においても、その基本はなんら変わらないわけで、問題点に対するスピーディかつ真摯な対応というものを、こうした審査の過程を通じても示すべきではないかなと思っています。
(共同通信)
しまなみ海道のサイクリングプレ大会については、好評で、既に申し込みがいっぱいになっているということであり、今後、多くの人が愛媛県、しまなみ海道を訪れるということになるが、まず、いっぱいになったことへの所感と、今後本番まであと約3カ月どういった姿勢で臨んでいくのかお聞かせ願いたい。
(知事)
5日目で定員締め切り、募集締め切りという状況に至りました。そして、応募された方々の中身といったら失礼なんですけれども、分析を行うと半分が県外ということでございます。都道府県でいうと、43都道府県の方々に広がりを見せた結果になりました。これは何を意味するかというと、まだまだですけれども、2年前から追い求めてきた自転車新文化の土俵、基礎というものが、徐々に日本全体にできてきているのではないかということが感じられる結果ではなかったかなと思っています。
もう一つは、県外が半分ということは、自転車の活用を通じた観光振興というものに確実に結び付くと、実需に結び付くということも示した中身ではなかったかなと思っています。今回、3ヶ月という取り組みで進めてまいりますが、これを成功させることが次のステップにつながっていく、いわば成功できなかったら次のステップにいけないということになりますので、関係職員を挙げて、また地域の皆様にも協力をいただきながら、今、申し上げたような新たな可能性というものを秘めた分野、そして、県外の方々が多いということは観光振興にも十分つながり得る道のりであるということを共有しながら、取り組みを強めていきたいと思います。
(愛媛朝日テレビ)
関連して、条例も施行されたが、今後、自転車の安全性、マナー向上についての取り組みについてどのように進めていくのか。
(知事)
これはまだまだですが、今日も僕は自転車通勤でヘルメットかぶってきましたけど、ヘルメット(をかぶる人は)はなかなか増えていないように見えますが、ただ、実際お店なんかに聞きますと、ヘルメットの売り上げは伸びているということでありました。今治のジャイアントのストアに行くと3割くらい伸びていると。また、例えばあるスポーツ店でいくと、昨年1年間で378個だったのが、今年半期、約7か月ですけどもう330個になったということは非常にいいペースで売れていると。別の店では、昨年はヘルメット販売が15個しか出てないですが、6、7月で130個売れたというお店もあります。それからもう一つのお店では前月比で30パーセント増加と、だから多少ですけどもそれぞれの販売店の状況を見るとその趣旨に基づいて着用しようということで購入される方が着実に増えてはきていると思います。あとは、ヘルメットを着用することはどういうことなのか、それは何かがあったときに自分の命を守ると、実際に自転車で亡くなられる方というのは去年も9名くらいいらっしゃったと思いますけれども、中にはヘルメットさえ着けていれば命は守られていたというケースもあるわけで、それはもう誰のためでもない、乗り手の方の命を守るんだということを浸透させること。
もう一つは、ヘルメットは重いというイメージがあるのですが、今のヘルメットは、非常に手軽で軽くて、帽子感覚の製品が世の中にどんどん出ていますし、さらにデザインも豊富になってきていますし、それからそこに需要が膨らんでくると、もっとおしゃれなもの、おしゃれの一つとして活用できるツールになり得る可能性がありますので、そこまでいくとある一定のおしゃれという要素が入ってきたらドーンと伸びる可能性を秘めているので、そういったことも含めて追いかけていきたいと、目的はあくまでも乗り手の命を守るために普及させるためにはどうすればよいかということを常に考えながらいろんな啓発運動を行っていきたいと思います。
(南海放送)
参院選についてだが、衆議院、参議院合わせて県内で自民党が選挙区で6議席を取って、野党の存在感が薄い状態になっており、このような状態をどのように思っているのか。
(知事)
これは特にはコメントないです。県民の皆さん、有権者の皆さんが選挙を通じて決めていくことですから、それについては結果を受け止めて対応するということなので、特にコメントはありません。
(南海放送)
先日の会見で、健全な政治情勢をつくるためにもという話もあったが、もう少し野党が力をつけてもいいという感じはあるか。
(知事)
これは一般論として言った話であって、やはり民主主義というのはいろんな意見を戦わせる中で物事が決まっていくのが健全な姿だと思うので、そのためには健全な野党というのは常に必要だと思います。
先般の選挙ではこの前申し上げたとおり、非常に争点の明確化がうまくできなかったという点と野党というものがバラバラの対応をするという状況でありましたので、今の選挙制度の仕組み上、あのような結果になる。ただそれを受け止めて、衆議院、参議院と2回同じ経験を野党側は積んだわけですから、それに対してどう対応するのかというのを真剣に野党の皆さんが考えていかないといけない状況になっているのではないかなと思いますね。
(南海放送)
野党再編みたいな話もしていたが、これは県内か、あるいは全国を指しているのか。
(知事)
全国でしょうね。
(読売新聞)
松山市をはじめ、グループホーム等に対しての税金の算定ミスが県内で相次いでいるが、その県内で相次いでいることと、各自治体に求めることをお聞かせ願いたい。。
(知事)
これは本当にもうミスということに関しては、正直に、こうしたようなですね、仕事をしていくに当たっては信頼が大事ですから、それを損なうということにつながりますので、過ちは過ちとして、素直におわびをするということが大事だと思います。ただ、問題は、もっと悪いのは過ちに気付いたときに、隠してしまうということが最悪の選択だと思います。ですからそういう意味では、気付いた時点で公表したということは、良い、悪いということでは言えないですけども、隠すよりは良いんじゃないかと思います。
それで、大事の事は、ミスが起こったときに、オープンにする、おわびをする、速やかに対応する、二度と起こらないような体制をつくる、この3ステップを踏んでいくことによって信頼が得られるということをやるということが、信頼につながると思ってますので、県の方でも速やかに、松山市からの公表を受けて、すぐに調査に踏み切ったところでございます。
その結果として、いくつか同様のケースが出てきたわけで、これもそれぞれ同じように気付いた時点、分かった時点で速やかに公表して、お叱りを受けると、それをエネルギーにして改善していくということで、みんな同じ気持ちで一歩一歩進んでいくということが好ましいと思っています。
(時事通信)
自民党が大勝し、野党の党首は再編が必要だと言っている。
先の質問にも、野党が乱立状態でちょっと弱いとのことであったが、今後どのような形にもっていったらいいか、意見があれば聞かせてほしい。
(知事)
僕はないですよ。それは国政で考えることなので。政策、理念で再編するというのが基本ですけど、それをどうするかというのは実際にやっぱり議員バッチを着けられている方、政党の幹部の方が党員の方との議論を通じて決めていく。少なくとも今のままでいったらなんら事態は変わらないというのが見えているわけですから、それを受け止めてどうするのかということをもがき苦しんで議論されたらいいんじゃないですかね。
(愛媛新聞)
6月に復興予算の未執行分の返還要請がきていると思うが、現段階での状況が分かれば教えてほしい。
(知事)
復興関連予算というのは、あくまでも国の方針で示されたメニューに地方がそういうことであるならばということで申請して、国の方で認められて付いた予算です。まずこれが前提になります。ところが運営方法あるいは判断基準を付けた後に変えたので、こういうことが起こっていると。これが第二段階です。それを受けてそうであるならば、それに従ってやりましょうということで作業しています。
例えば、大きなもので言うと、本県の場合は森林そ生緊急対策基金、これがだいたい基金として11億5千万円。それからもう一つが地域自殺対策緊急強化基金。これが約800万円。この2基金の11億5千万程度が見込まれます。現在、国と返還額や返還時期等について協議をしている最中です。これがどういう背景で出てきたかというと、森林そ生緊急対策基金というのは、東北3県で壊滅的な打撃を受けた状況から復興に入ってくると、住宅の立て直し等で大変な木材需要が発生するであろうということを国が判断してますね。その需要に供給が間に合わないことがないように、全県の森林蘇生をしっかりしてくださいよという非常に広義な解釈の中で設けられたそうなんです。それが直接的でないということで今回俎上(そじょう)に上がったというのが背景にあるようです。自殺対策というのは、震災というのが全国ニュースでどんどん流れますから、これが被災地以外でもメンタルな面で大きな影響を与えかねないので、その面のフォローをぜひにということで地域に、東北三県以外でもその対策を強化せよということで示されたものだったのですが、これは地域限定にするんだという判断の変更があったそうなんです。ですから、今、言ったようなものが俎上に上がっています。
(愛媛新聞)
手続き上、議会を通して減額補正とかといった形になるのか。
(知事)
基金を返還するということになった場合に、減額予算なのか。
(総務部長)
これは、今年度予算のは返さなくていいです。
(知事)
計上した分は返さなくていい。これから基金として予定されているものが判断基準が変わったので、今後は駄目ですという。だから計上しなくていいということですね。
(総務部長)
来年度以降分ですね。