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平成24年度2月知事定例記者会見(2月14日)の要旨について
日時 平成25年2月14日 11時00分から
場所 知事会議室
(南海放送(幹事社))
伊方原発全基停止に伴う燃料費の増加により、四国電力が今月中の電気料金値上げ申請を表明したが、県内経済へ与える影響についてどう考えるか。また、原子力規制委員会が示した原発の新しい安全基準の骨子についての評価はどうか。
(知事)
まず、電気料金の値上げは、県民生活はもとより、電力多消費型の産業を中心に企業活動にも非常に大きな影響を与えるものと考えています。
既に東京電力においては値上げが実施され、関西電力や九州電力でも国への申請がなされていますけれども、四国電力においても、具体的な値上げの検討に着手するとの発表がありましたことから、県では先般、本県企業への影響を把握するため、急きょ、県内企業・団体に対しアンケートを実施いたしました。そして先月、108社からの回答を取りまとめたところであります。
これは、既に公表したところでありますが、10パーセント値上げの場合に約7割の企業が悪影響を受けると回答し、20パーセント値上げの場合には約8割が悪影響を受けるとし、特に20パーセントの値上げでは、5割の企業が甚大な悪影響を受けると見込んでいます。赤字見込みとなる企業が半数近くに上るなど、予想以上に厳しい結果となっているわけでありまして、県内経済への影響を憂慮しています。
一方で、火力発電所の燃料費につきましては、原発の停止に伴って、その燃料費の調達コスト、量が上がってきていますので、年間約1,400億円増と大幅に増加しまして、四国電力の今年度の決算が500億円の赤字と見込まれているそうでありますが、こういう流れの中で、これは原発の問題が出てきたときに、この点については、いつも懸念しておく必要があるということは申し続けてきたんですが、そういう状況になってきたということであります。電気料金の値上げというのは、そういう意味で避けては通れない状況まできているのかなと思いますけれども、県では、先ほどのアンケート調査の結果を四国電力に伝えまして、あらゆる面において、徹底した経営の合理化やコストの削減等に取り組んで、極力値上げ幅を圧縮するように強く要請するとともに、家庭向けの電気料金の値上げ認可を行う国にも、こうした状況を報告したところでございます。
四国電力においては、できる限り値上げ幅を圧縮するよう努めるとともに、その積算根拠等について、丁寧で分かりやすい説明を行って、県民や事業者の理解を得ることが重要ではないかと思います。
骨子案についてですけれども、規制委員会では、7月18日までに原発の新たな安全基準を策定することとしておりまして、有識者による検討会合で基準骨子案を取りまとめ、2月6日に開催された原子力規制委員会において、骨子案が決定されたところであります。
示された骨子案では、ケーブルの難燃性化などの火災防護対策、長時間の電源確保対策など、これまでの基準が強化されているほか、事業者の自主的な取り組みとされてきた過酷事故対策が追加されまして、フィルター付きベント設備や第二制御室などの設置が求められています。また、地震対策については、活断層の認定方法の明確化や敷地内地下構造の詳細把握などの基準が強化され、これまで詳細に規定されていなかった津波対策については、既往最大を上回る津波を基準津波として策定した上で浸水対策等の要求が示されており、福島原発事故の教訓や国際基準との比較等を踏まえ作成されたものと認識しています。
本基準骨子案については、今、パブリックコメント中でありまして、現時点では、骨子として決定されていない段階でありますから、県としては、引き続き国の動向を注視していきたいと思います。また、原発の基準については専門性が高いことから、原子力規制委員会においては、今後、骨子案の内容を国民に分かりやすく説明していただくことが重要ではないかと思います。
四国電力においては、骨子を踏まえ、7月に策定される新安全基準への対応は当然ながら、安全対策に終わりはないとの考えのもとに、常に安全性向上に努めていただくとともに、県としても、引き続き、国の基準を上回る対策を求めてまいりたいと思います。
以上です。
(テレビ愛媛)
新基準の骨子に関連して、全国の原発から見て、伊方原発が比較的再稼働の条件が適しているのではないか、再稼働が早いのではないかという報道が一部されているが、見解はどうか。
(知事)
私は全くそれは考えていません。今まで言ったように、当初の方針どおり粛々と対応していくということに尽きるので、確かに報道で伊方が早いとか見たことがあるんですけれども、それは全然聞いてもいないし、今の自分自身の思いでは、そういう記事が出たからといって、どうだということはありません。
(テレビ愛媛)
知事から見て、条件的にという言い方というのはどういうふうに。
(知事)
どういうところを見たのかは分からないですけれども、ただ一つ言えることは、伊方の場合は、津波の心配はほどんどないというところはあるのかもしれないですね。
(産経新聞)
PM2.5が問題になっているが、現時点で、県が受けている影響と懸念される影響はどうか。
(知事)
環境基準というのが国によって定められていまして、きめ細かく数値については測定をし、公表しているところです。1月、2月の前半では、環境基準を上回る数値というものが測定されている日もあるんですけれども、これはこれまでもそうだったと思います。この環境基準というものが一体いかなるものなのか。国の今の発表では、あくまでも環境が悪化しないようなところを目的として策定している指標なので、健康被害ということとはまた別の問題なんだと。ですから、この環境基準が少し上回った段階で直ちに健康がどうのこうのというものではないというのが今の国のコメントなんですね。今、議論はまだしている最中で出ていないんですが、われわれの側からすると、では健康に影響がある基準というのはどこにあるんだということに関しては、国はまだ示していないです。そこが出てこないと、いたずらに混乱を招く可能性もあるので、これはしっかりと打ち出していただきたいと個人的には思っています。
(産経新聞)
特に対策を講じるとかは。
(知事)
そうですね、今の段階ではそこまで深刻ではないと。ただ、これからもしっかりと数値の変移というものを見極めて公表していくのは大事だと思っています。
(愛媛新聞)
先日の北朝鮮による核実験に対する所感はどうか。また、県も放射性物質のモニタリングを始めているが、結果がある程度出ていたら教えてほしい。
(知事)
北朝鮮の核実験というのは、国際社会に対する挑戦と言ってもいいほど許し難い行為だと思います。同じ人類として、自国のことのみを考え、ある意味では、まっとうな国際交渉、あるいは対話というものを閉ざす中で孤立化し、そして無謀な実験を強行したということについては、全世界から非難の声が上がるのは当然のことだと思っています。わが国も毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。
それから、測定値については今のところ、この実験について、何か数値が変動したということはまだ全くございません。
(愛媛新聞)
衆議院の区割りが見直しされたが、その概要について、特に伊予市議会が意見書を出しており、伊予市は、あっちに行ったりこっちに行ったりしているので、反発しているのも仕方がないとは思うが、その辺を含めて教えてほしい。
(知事)
伊予市の皆さんのお気持ちはもう本当に十分に受け止めるべきものであり、理解ができるものであると思います。それは過去の経緯からいっても、伊予市が1区から3区へ、3区から2区へと翻弄(ほんろう)されてきた歴史があるからにほかならないと思います。一方で、較差の是正、これは憲法違反の問題に関わりますし、これはやむを得ない措置、しかもそれを行った場合に、最低ラインが鳥取県に基準が置かれましたから、それを下回ったところについては、何らかの措置をしないと選挙ができないということになってしまいかねないので、何らかの措置が必要なのは多くの方が理解しているところではないかと思います。その中で、意見聴取したら、特に小田町につきましては既に内子町との合併というのが実施に移されていますから、その関係もあって、編入という選挙区の変更というのはおおむね受け入れられているのではないかなと思いました。一方で、伊予市については、今申し上げたような背景もありますので、首長さん、あるいは市議会で、ああした決議が出た。こうしたことが意見としてあるということを、当然のことながら、国に対して申し上げているところであります。
ただもう一つの問題は、これは暫定的な措置ですよね。やはり、解散の条件として定数削減の問題が3党合意にあるわけでありますから、これは今回のような1票の較差是正という、そこだけを目的にした変更ではなく、選挙制度や、それから定数等々全てをひっくるめた大掛かりな改革につながっていきますので、これをいつやるのかということが大きな問題だと思うんですね。ただこれは3党合意なので、一刻も早く行っていただいて、そして、その中で伊予市の問題も、また新たなステージで議論になっていくのではないかと思います。
(愛媛新聞)
解散の条件が今国会中だったので、今国会中にやらないといけないと。
(知事)
これはもう本当に厳しい、議員の立場から見れば、わが身を削るということですから、なかなか合意ができないんですけれども、これまでの行革、先ほどの交付税の問題、それから来年の消費税等々も考えると、早くやられた方がいいのではないかなと思いますけどね。
(愛媛新聞)
前回の会見で、去年の衆院選の誤解が多少あったということで、県民の皆さんにという話があったが、その後、自民党の国会議員から何かあったか。
(知事)
特にありませんよ。
(愛媛新聞)
何か向こうから言ってきたりとか、そういう形はどうか。
(知事)
いや、特にはないですね。
(テレビ愛媛)
マダニの件で、亡くなった人が一人いたが、それ以外に疑い例のような話は聞いているか。
(知事)
何か今、5人くらいの検査が行われているということなんですが、それがどこの方なのか、どうなのかというのを問い合わせたところ、一切それは公表していないということでありましたので、今の時点では全く分かりません。一部、愛媛県の可能性がとかあったんですけれども、それは(報道は)ちょっとやめておいた方がいいような。その可能性がゼロとは言わないけれども、絶対それは結果が出るまでは公表しませんよということでしたから。
(テレビ愛媛)
四国電力から、20日に値上げの申請をするとか、7月1日から値上げをしたいというような一報は来ていないか。
(知事)
それは来ていないですね。ただ、そういうことはいろいろやっているんだろうけど、例えば支店長と会合でお会いしたときとか、あと事務レベルでは、これぐらいのコストが増大しているんだとか、決算がこうなるんだというのは聞いていますので、それは、いずれはということは分かっていました。これは、原発が停止して長引くと火力へのシフト等々が大きくなっていくだろうと。当然のことながら、大きなエネルギー消費を行っている国が、ある一定の資源に集中してオーダーを出すとですね、価格は上がると。かつ、今の円安で輸出企業にとってはプラスだけれども、これだけの円安になると、燃料の調達コストは為替の関係で一気に上がりますから、それはもう理屈の上で考えても乗り切れるわけがないんですよね。
(NHK)
参議院選挙に関係することだが、ここのところ、一部で立候補を表明している人もいるし、他薦で擁立を求めるような動きもあった。あらためて、知事の次回参議院選挙に向けた応援のスタンスについて教えてほしい。
(知事)
私はあくまでもエールを送るのは個人の立場で、人、その人が全てだと思っています。
(愛媛新聞)
ここのところ、大阪の体罰の問題が全国的に出て、部活動を通じて自殺をしたというようなことがあった。何が体罰か、その線引きもなかなか難しいと思うが、体罰問題について、知事はどのような所見を持っているか。
(知事)
今、話があったように線引きが難しいんですよね。どこをもって体罰なのか。今、起こっている事件というのは、一般の常識から考えると、ありえないレベルの体罰で、それが引き金となって子どもの心に傷を負わせ、尊い命を失うというところまでいってしまってるから、これはもう時代の流れの中で、何というか、歯止めの利かないところが一部出てきているのが表面化したのではないかなと思っていますね。
(愛媛新聞)
教育問題は必ずしも知事部局ではないが、知事として、今後、特にえひめ国体など、スポーツ強化をしていくと、どうしても結果を求めて、体罰などが出てきかねないところもあると思うが、何か注意していきたいことは。
(知事)
当然のことながら、体罰をもった指導というのはこれはもう論外だと思いますので、十分気を付けていただきたいということは、教育委員会の方から指示が出ると思います。ただ先ほど言った線引きは難しいですよね。私も体育会系出身なんだけど、例えば、いい意味での厳しい練習が、ある人から見たら「しごき」になってしまうし、例えば、試合に負けたときに、先輩からパーンとやられて、「がんばらんか」と言われるのも体罰になってしまうのかとかですね、本当にその辺の線引きは難しいですよね。だからやはり一番大事なことは、指導者の方がですね、その教える子どもたちから尊敬されるような人材として、常に成長していただくということが一番大事なのではないかなと。そうすると、おのずから体罰もなくなっていくということではないかなと思います。
(愛媛新聞)
4月の組織改革でも、国体準備室で指導者育成を掲げていたが、そういったところも併せてやっていけばということか。
(知事)
そうですね。
(時事通信)
西条市議会で、先月、不信任決議が採択されて、今月にも投開票になる。市長と議会が分離し、あまりうまくいってないようだが、市長を経験した立場からどのように見ているか。
(知事)
今回は正直言って、よく分からなかったんですよね。特に、前にも申し上げたんですけれども、例の庁舎の再開をめぐって、当初、「議会、議長は聞いてない」、でも後でいろいろと報道を見ただけですよ、市長さんは「議長さんに説明した」、説明はあったやにも報道されて、何が真実かよく分からないので。要は今回は、公約うんぬんの問題も、立場が違えば、それぞれ受け止め方が違いますから、それぞれの主張の違いがあったのが一点と、それからやはり、選挙が二分するような激しい選挙でしたから、その影響があったのかなと個人的には思います。
(時事通信)
今後はどういう関係になっていったらいいと思うか。
(知事)
例えば、前にお話したかもしれないですけれども、松山市長のときに、与党3人しかいなかったんですけど、でもそれは、しっかりとしたいい仕事をするんだという姿勢を議会が是々非々で見つめていく、それを積み重ねていくことによって、信頼関係というのは生まれてくるんじゃないかと思います。
(時事通信)
今回はちょっと意思疎通がうまくいっていなかったのが。
(知事)
ちょっとどういう状況だったのかは私は分からないので、無責任なことは言えないんですよ。ただ、そこの中は分からない前提で言えば、ちょっと早かったんじゃないかなという気はしますね。もう少しスタートして仕事ぶりを見て、「どう」というのであれば分かるけれども。私も最初の議会のときに不信任案ではなかったですけれども、人事案件に対しての否決というような意思を伝えてこられて、「それは理由がないじゃないですか」と、「何をやったって言うんですか」と、「この否決する理由はどういうことなんですか」と、詰めて詰めて詰めていったところ、可決になったので、そういう対話も大事なのかなと思いますけどね。
(愛媛新聞)
知事の年頭の所感で、学力向上、体力、道徳と三つ挙げていた。教育委員会でも学力向上に向けて、戦略会議などいろいろ取り組んでいる。国では、学校週5日制を見直して、週6日、土曜日も勉強しましょうという議論が始まっているが、このことについて、感想があれば教えてほしい。
(知事)
本当に、特に基礎学力というのは、身に付けておくことが、子どもたちが社会に出た後に、大きな力になると思うんですね。ただ単に目先の成績というよりは、生きていくための力になると思っていますので、やはりそれは向上を目指すというのは大事なことだと思います。時間をかければよくなるという問題でもないし、中身、質、量ともに両面から考えていく必要があるんですが、その中で単純に量だけを考えて土曜日というのは、どうなのかなと思いますし、今までの体制というのはありますから、やる場合はですね、それがどんな影響をもたらすのか、。特に子どもたちの日常の生活への影響、あるいは家庭への影響、社会への影響、それから教育現場への影響、いろいろな問題が議論されるべきだと思いますね。ですから、丁寧な議論が必要ではないかなと思います。
そうですね。本当にそれが今、できるのかどうかという分析をね、現場での分析をしっかりと見極めた上でやっていかないといけない課題ではないかなと思います。