本文
平成23年度4月知事定例記者会見(4月14日)の要旨
日時 平成23年4月14日 11時00分から
場所 知事会議室
(知事)
愛媛県では、これまで、被害のなかった地域の使命として、市町をはじめとして関係団体等のご協力をいただきながら、愛媛県被災地支援本部を中心とした全庁体制で、被災地への物的・人的支援、避難者への受け入れ支援等に取り組んできたところでございます。
物的な支援については、お話しさせていただきましたとおり、宮城県に対しまして、3月15日から4月8日までの間に、県・市町の備蓄物資や民間企業からの提供物資、県民の皆さんからの救援物資を、13トントラック20台でお届けをいたしました。大変多くの方々から物資の提供をいただいたことに対しまして、お礼を申し上げたいと思います。
現在は、宮城県、そのほかの県もそうなんですけれども、受け入れの一時停止の申し出がございましたので、本県でも4月8日から、現地の声に基づきまして、一時停止をさせていただいているところでございます。今後、在庫状況等々によりまして、支援再開の申し出も十分考えられますので、皆さんにそのときには呼びかけをさせていただきたいと思いますので、ご協力をよろしく申し上げたいと思います。
次に、人的支援につきましては、4月13日現在でございますけれども、これまでに、医療チーム、緊急消防援助隊、養護教諭、一般行政職員等々合わせまして594名を派遣しているところでございます。これも今なお続いておりますので、今後も、被災地からの要望に基づきまして、できる限りの協力を行って、効果的な支援に努めていきたいと思います。
また、災害ボランティアにつきましては、県社会福祉協議会が中心となりまして、第一陣に、先般、出発していただき、4月8日から11日までの間、宮城県の、これもよくテレビに出るところでありますが、女川町、ここは愛媛県の医療班が要望に従って活動していた地域でありますが、そこでつながりができまして、ぜひ、一般ボランティアに愛媛県から、もし人手があるならば、来ていただきたいということもございましたので、登録を受け付けまして、派遣をさせていただいています。引き続き、これからもどんどん出てくると思いますので、希望者の登録を受け付けておりまして、現地の要請に応じて派遣を計画していきたいと思っています。県としても、災害ボランティアの方々を現地まで輸送するバスを用意して、その活動を支援することといたしております。
次に避難者の受け入れ支援でございますが、被災地から本県に避難して来られる方々については、空いている県営住宅、また県職員住宅等を無償で提供しておりまして、これまでに30戸106名の方々を受け入れ、帰られた方もいらっしゃいますので、4月13日午前9時現在の入居者数は25戸92名となっております。
入居された方々に対しては、安心した生活をスタートできるよう、見舞金を贈呈しているところでありますが、避難が長期化した場合に生じるさまざまな支援ニーズにもきめ細かく応えていくために、地方局県民相談プラザが窓口となりまして、市町や保健所と連携して訪問相談を実施しているほか、実は来られた方については、すべて職員が全戸訪問させていただきまして、何かありましたらということで、声も聞いているところでありますが、皆さん、非常にスムーズに地域に溶け込んで生活をされているという報告が上がってきております。
また、先般、「えひめ愛顔の助け合い基金」を設置しまして、支援策を検討していくこととしたところであります。この助け合い基金につきましては、県民の皆様方からご支援の温かい申し出が多数ある中で、県において、そうした気持ちを形にする仕組みを創設し、その受け皿として設置したものでございます。
このたび、金融機関の支店等での受け入れ体制の構築など、専用口座開設のための準備が整いましたので、本日、4月14日から募集を開始することといたしました。
専用口座は、配布させていただきました資料のとおり、県の指定及び指定代理金融機関である伊予銀行、愛媛銀行、愛媛県信用農業協同組合連合会に設置しており、金融機関のご配慮により、同一銀行の本店・支店からの窓口での振り込み及び県下の農業協同組合窓口から県信連への振り込みの場合は、手数料は無料となります。
また、個人寄附については、個人住民税及び所得税の寄附金控除の対象になるほか、法人寄附につきましても、寄附金相当額全額を損金算入できるなど、税制上の優遇措置も受けられることになっています。
県民の皆様方からいただいた寄附については、災害見舞金、被災地への災害ボランティアの派遣費用や被災者の受け入れ経費をはじめ、本当に長期にわたる支援となりますので、いろいろな事業が考えられると思います。この具体的な使途、事業につきましては、今月中に市町や県社会福祉協議会、それから学識経験者等で構成する基金運営委員会を設置したいと思っておりますので、そこでご審議をお願いしたいと考えております。
基金は、あくまでも皆様方の善意によるものであり、目標額は設定しておりません。ただ、これを契機に県民の皆様方の支援の機運がさらに高まって、継続してご支援していただけるよう念願しているところであります。
今回の震災被害は、観測史上最大規模の地震と巨大津波による未曽有の大災害であり、その復興には膨大な時間と労力が必要になることが予想されます。今後は、人的支援と避難者の受け入れ支援を中心として、被災地の一刻も早い復興を願いつつ、本県としても可能な限りの支援を続けていきたいと思います。なお、避難の受け入れに関しては、前もお話したとおり、やはり避難者の皆様方の心情というものを最優先すべきと考えています。福島県に対して、バスの手配、受け入れから全部こちらでということを申し入れさせていただきましたが、現地の皆さんは、ふるさとへの思い、身内あるいは親族の方々の行方がまだわからないという現実がございまして、できるだけ戻りたいと、そしてまた、戻るためにもできるだけ近くにいたいという声が圧倒的だそうであります。ですから、そういったニーズというのを常に連絡を取りながら、これから先はどうなっていくかわかりませんので、いつでも対応ができるようにしていきたいというふうに思っています。
次に、愛媛県地域防災計画の見直しについて触れさせていただきます。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故を教訓に、愛媛県民の生命、身体及び財産を守るため、愛媛県地域防災計画の見直しに着手したいと考えております。
本県の地域防災計画は、風水害等対策編、震災対策編、原子力災害対策編の3編で構成されています。
まず、風水害等対策編及び震災対策編については、各部局にまたがる計画であることから、今回の震災被害の現状を踏まえて、新たな課題の洗い出しを行った上で、今後の対応策を検討していくために、近々、庁内に検討会を設置したいと思います。また、特に今回、甚大な被害をもたらした津波に対しては、早急に何らかの対策を講じる必要があると思っておりますので、関係市町や専門家といっしょに避難場所や避難対応の検証、さらには住民意識の向上を図るための対策等について検討していきたいと考えています。
また、原子力災害対策編の見直しの着手については、今回の福島原発に対する事故の検証を踏まえた国の指針の見直しが必ずなされると思いますが、これとの整合性をとる必要はございます。ただ、県民の安全・安心を確保するため、この見直しがいつ行われるか皆目わかりません。ですから国の見直しを待つことなく、現時点で考えられる対策はとりあえず全て講じていく必要があるというふうに思っています。
例えば、今回の事故では、原発から半径20キロから30キロの区域は、屋内退避区域として設定されたほか、今般、新たに計画的避難区域や緊急時避難準備区域が設定されるなど、原子力防災対策を実施する区域が、今までとは大きくかけ離れ、拡大している事実がございます。
本県の地域防災計画は、国の原子力防災計画がもとになっていますけれども、ここではどういうことが示されているかというと、ご案内のとおり、原子力防災対策を重点的に充実すべき地域、いわゆるEPZでありますが、8キロから10キロというふうに設定されています。愛媛県の場合は、これを大きく上回る半径20キロの区域まで、原子力防災対策地域の範囲としているところに特長がございますが、今回の事故を教訓に、この範囲については、当然、国も見直しますけれども、県でも見直しを行う必要があると考えております。
また、範囲の見直しに伴いまして、市町の避難計画を広域的なものへと見直す必要や、原子力防災訓練の実施に際しては、これまで以上の複合災害の視点導入や訓練参加市町の拡大などが想定されると思います。
このため、関係市町と協議を行って、合意を得たものは、当面の方針と位置付けて、可能なものから速やかに取り組んでいくとともに、地域防災計画の見直しの際に、この積み重ねた実績というものを反映させていきたいと考えております。
以上でございます。
(愛媛新聞)
防災計画は、いつまでに見直すのか。
(知事)
これはまず、関係市町、関係機関との協議が必要になってきますので。それともう一つ悩ましいのが、現地の詳細な、国でいうところの想定外の状況というものの詳細データというものが手に入らないんですね、まだ、つまびらかなものが。それと同時にもう一つは、根幹に関わる国の基準の見直し、これがいつ着手され、いつ行われるかもまったく見通しが立ちません。ですから、見切りで、もう県でできることをやってみようということなので、この時点でいつまでというのは、正直言って、お示しできないです。
(愛媛新聞)
近々の検討会は、庁内の検討会でよいか。
(知事)
庁内の検討会と、関係市町と学識経験者等々も交えた検討会が必要ではないかと思っています。
(愛媛新聞)
新しくできると。
(知事)
そうです。
(愛媛新聞)
いつ頃の予定か。
(県民環境部長)
庁内の検討会はもうすぐに。原子力の関係の見直しは、少し時間がかかると思います。
(毎日新聞)
先ほど、原子力防災計画について、広域的なものと発言したが、例えば、八幡浜市と伊方町が一緒になった防災計画のようなイメージか。
(知事)
これも市町の意見を伺わないと何とも言えないんですけれども、少なくとも今までは国の指針のとおり、重点的な地域8キロから10キロと明確に文言として書き込まれていたわけですよね。それに従って各地域は防災計画を立て、愛媛県の場合は、お話したとおり、20キロまでは広げていましたけれども、今回のような事態を受けて、どこまで対象を広げるのが一番いいのか、その中では、例えばキロ数によって、入ってくる場所、入ってこない場所が出てきますから、その辺りも議論を積み重ねた上で見つけていく必要があると思っています。ですから、今この時点で、「こうだ」と、「10キロです。20キロです。30キロです」とかいうふうなことを、私の方から押し付け的に言うような状況ではないというふうに思っています。
(テレビ愛媛)
(県の地域防災計画の見直しは)原子力災害対策編を早急にという感じになるのか。
(知事)
やはり津波もありますから、あまり優先順位は付けたくないんですよね。でも、原子力は原子力で、国の問題とかなり絡んできますので、その辺りはできることには限界があると思いますけれども、いずれにしましても、そこに濃淡というのはないと思いますので、可能な限り同時並行してがんばっていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
助け合い基金で市町にも呼びかけると発言したが、現段階で申し入れはあるか。
(知事)
市長会会長、町村会会長からは、何らかの形で参画というか、一緒になってやっていこう、やっていきたいというような声はお聞きしました。それが具体的に、いくらとかいうふうなことではないですけど、できれば、そういう事業というのは、愛媛県全体で取り組んだら、より力強いものが生まれますので、例えば、その運営委員会の中に、市長会会長や町村会会長なんかもお入りいただくと、連携がスムーズに行くのではないかなと思います。
(愛媛新聞)
伊方町と県との安全協定で、八幡浜市が入りたいというようなことを発言していたが、その後、何かあるか。
(知事)
まだ、八幡浜市の方からは検討したいという発言があっただけで、具体的な作業というのはまだ聞いていません。
(愛媛新聞)
国の見直しなどのめどが立たないので、基金など、地方としてできることを先行させることが目立っているが、国に対して、どう思っているか。
(知事)
こういう場合というのは、大きな方向性をリーダーが示す。冷静にそれをみんなが受け止めて、それぞれの役割を認識する中で肉付けを行っていく。それが一体化する中で、組織で対応していくというのが、すべての基本だと思うんですけど、そこの基本のフレームの姿が、確たるものが見えていないという印象があります。いろいろな組織がぽこぽこできているんですね、この1カ月の間に。いろいろな方がスポークスマンとして登場されて、それぞれの立場でものを発言する。ときには、その発言の中身が食い違っていたりする。こういった体制の基本のところをしっかりと構築するということを考えた方がいいのではないかというふうな、そういう印象を持っています。
(愛媛新聞)
国から愛媛県など各地方に、きちんとした情報が来るルートはあるか。
(知事)
分かりません。形の上ではあるんですよ。例えば、今回でも、こういう事態が起こった場合は、経済産業副大臣が、原子力災害の場合、現地入りして陣頭指揮を執るというふうには書かれているんですよ。でも、やっているんですかね。分からないです。見えないんですよね。いるのかもしれないですよ。そういうところの基本のところが何となくおざなりにされて、日々入ってくる新しい事象にあわてて対応するというのが繰り返されているような感じがしてならないですね。
(日本経済新聞)
地域防災計画の見直しに関連し、1点目は、南海地震を含めた被害想定についても見直すのか。2点目は、県内の市町の防災計画の見直し、点検についても指導をするのか。3点目は、被害想定の科学的な根拠をどう担保するのか。
(知事)
まず、被害の想定についてはですね、実は、例えば津波一つをとって見ても、国の想定した、例えば南海、東南海地震のときに、愛媛県に押し寄せる津波がこうであるという高さとかですね、愛媛県がさらに調査をして、愛媛県として採用している高さというのは違うんですね。どちらかというと愛媛県の方が厳し目に見ている数字を前提にしていろいろなことを考えています。ですから、当然のことながら、その厳し目に、国の基準より厳しく見てはいるんですけれども、それが果たしてどうなのかという検証というのは、当然、やることになろうと思います。
それから、県内の市町についてもですね、当然、県が音頭を取っても、できるわけではないですし、県下の市町との連携というのが大事になってきますし、また、僕は逆に、県下の市町、マスコミ報道でなされたようにですね、今回でも、避難指示に基づいて、実際に動かれた方は、非常に一部地域では少なかったというようなことも言われていますから、当然のことながら、自発的にも、これではいかんということで、県下の市においても、町においても、そういう気運は高まっていると思いますので、呼び掛けることも呼び掛けますが、そういったような現実を前に、自発的な空気というのも生まれてくると期待しております。
それから、根拠というのは本当に難しいですね。例えば、先ほども議論していたんですけれども、体系的にですね、避難、防災計画というのは作る必要があるんですけれども、縦軸でいえば、時間的な問題がありますよね。それから横軸では、中身の問題がありますよね。これをどう捉えるかということを議論しないといけないし、また、起こりうる災害の規模によっても対応は、全然、変わってくるわけですよ。それをどこまで細分化できるかというのは、なかなか今までというのは、初動態勢限定とかですね、考えられる最大の被害におけるところの想定、対処であるとか、限定になっているので、果たして、それを今言ったような軸とですね、それから規模、細分化してどこまでできるかというのは、これから詰めていかないと答えが見えないというのが実際の感想です。
(愛媛新聞)
県の原子力関連部署の組織改正は、具体的に進んでいるか。
(知事)
申し訳ないですけど、まだ、この段階では、明示できる段階ではありません。
(テレビ愛媛)
シンガポールの輸入禁止措置について、その後、どうなっているか。また、県内企業の風評被害などの影響をどう把握しているか。
(知事)
まず、シンガポールの解除はまだなされていません。おとついも、中国四国農政局長とお会いしまして、こういうときは、しつこくやっていかないと困るということで、申し入れをしたところで、「必ずそれはやります」ということで別れました。ですから、その効果が出てくることを期待しています。
県内企業もですね、分からないんですけど、県ごとに状況が全然違うんですね。例えば愛媛だったら、タオルの問題にしても、いろいろありましたから、安全の証明書の発行のニーズというのは、県内企業からもいただいて、それなりに動いているんですが、他県にいくと、「いや、うちはまだそこまで出てないから、知事会全体で上げるテーマではないんじゃないか」とかですね、もう全然ばらばらなんですよ。だから、愛媛県はそういう中で、他県と比較すると、企業家の危機意識というか、それが高いというふうに思っていますので、できるだけそういったものに対応できるように、細かくこちらも対処していきたいというふうには思っています。
(テレビ愛媛)
県として、農水産物に対し、独自に厳しい基準を設けたり、安全ですという表明をするというのは。
(知事)
それはないですね。今、安全ですから。この前も、すぐさま検査も実施し、それからそののちは、きめ細かく空気中の大気の数字とかも出していますから、全くそこから何か起こるという状況ではないですから。もう根本が安全なんです。
(愛媛新聞)
県は、県産品の海外への輸出に力を入れていると思うが、今回のレベル7という状況を受けて、今後の影響をどのように見ているか。
(知事)
あります。あると思います。それは先ほどのご質問にもありましたように、レベル7というニュースというのは世界を駆け巡ります。その結果、海外の方が、われわれがそうであるように、日本という国の地域で、どこがどういう状況にあるかというのは分からないわけですよね。ですから、日本全体に対する製品、農産物も含めた製品に対する見方というものが、非常にナーバスになっている現実があると思いますので、その点の影響はあるというふうに思っています。ただそれが、いつまでも続くわけではないですし、努力をしながらですね、例えば先ほど申し上げたように、愛媛県産の産品の安全性を伝えていく努力を続ける。それから、影響がありますから、当然、タイミング、ビジネスですからね、これは、タイミングはすごく大事だと思うんですよ。やはり、その強弱というのも考えていく必要があると思いますので、その辺りの微妙なさじ加減をしながら、長い目で見たら必要な事業ですから、決して諦めることなく、追い続けていきたいと思っています。
(読売新聞)
今、EUに向けた農産品は証明書を発行している。県レベルで、どこの国が何を求めているかを把握するのは難しいと思うが、風評被害に対する国の対応について、何か考えはあるか。
(知事)
本当に今回もですね、例えば、低レベルの、当初は高レベルか、海水に放流するということについても、いわばもうアップアップの状態だったと思うんですよね。ともかく流すということを優先させてですね、対外的な説明というのを放流後に行ったことによって、大変な非難を浴びたのは、もうご案内のとおりだと思います。そういう状況にあるわけですから、今、何が起こっているか、確かにそういうことが配慮不足じゃないかというふうなことの議論は大事なんですけれども、今、国会議員がその揚げ足取りにエネルギーを集中し過ぎていると思うんですね。言うことは大事なんだけど、今まさにそこにある現実をどうするかということが最優先の状態なので、だからこそ、本当に繰り返しになりますけれど、国会議員はやることいっぱいあるんですよ。今の話にしたって、それこそ与野党問わず、班編成して、それぞれの議員が各国に飛んで説明に行くとかですね、そういうことだって可能ですよね。僕は絶対できると思いますよ。何々議員さんのチームはシンガポールに飛んでくれと、何々さんはアメリカ飛んでくれとかね。現実を知らせてきてくれと。それで工業製品にしたって、農業製品にしたって、こういう状況なんだと。そういうことを国会議員たちが手分けしてね、僕は何でやらないのかなということが非常に疑問です。
(読売新聞)
対外的な安全アピールが足りないということか。
(知事)
足りないですね。
(愛媛新聞)
今回の震災が、今後のTPPの議論に与える影響はあるか。
(知事)
ないとは言えないと思いますけれども、それが、ではどういう形で出てくるのかというのは、私には今の段階では分からないですね。
(愛媛新聞)
大連立の可否について感想があれば。
(知事)
こういった危機というものを前にしたときには、期間限定でもいいじゃないですか、あるいは、目的限定でもいいじゃないですか、目的限定、期間限定で、国民の安全・安心を守るということが、これはもうイデオロギーや党派を超えた共通課題、共通項目ですよね。共通テーマ、その一点で、時期、あるいは中身を区切って力を合わせるというのは、僕はありだと思います。
(毎日新聞)
一部に菅首相は退任すべきとの意見があるが、その動きについてどう見ているか。
(知事)
それも政治家としてね、いろいろな選択肢があると思いますけれども、例えば、そこまで言うんだったら、「分かりました」と、「ともかくこの期間というのを乗り切ったら、私はやめます」というぐらいの意思を示して、まとめていくというのも一つの政治家の姿だと僕は思います。
(愛媛新聞)
県職員のOBが、四国電力に再就職した事例はあるか。
(知事)
ないでしょう。知らないです。
(愛媛新聞)
把握していないということでよいか。
(知事)
聞いたことない。いるんですか、逆に。
(愛媛新聞)
いえ、だから伺っている。
(知事)
多分いないと思うんですけどね。
(毎日新聞)
四国電力の原子力本部の移転について、副社長がこちらに常駐するということだが、こういうことをやってほしいということがあれば。
(知事)
一番はですね、非常に速やかに責任者とお会いできる状況が生まれると、これを有効に使いながら、例えば定期協議とかですね、そういったことも考えられるんじゃないかと。もう一つの中身については、本当にいろいろなテーマがこれから出てくると思うんですよ。具体的な安全対策、ハード面もあり、ソフト面もあるでしょうし、それから、先ほど議題に上った安全協定の問題、これは市町が絡んできますけれども、そういった問題についてもそうでしょうし、避難についても、どういった区域まで広げていくか、お互いが話し合いながらやっていく新たなテーマが目白押しですから、そういう意味においては、いちいち高松にですね、伺いを立てて待っているということがなくなるということは、大きな前進だと思っていますので、これを有効に生かして、スピーディに、そしてきめ細かいあらゆる対応を、連絡体制というのを築き上げていきたいというふうに思っております。
(愛媛新聞)
原子力本部の県内移転後に、県職員を常駐させてはどうかという提案が、自民党にあるようだが、現段階で何か考えはあるか。
(知事)
どこにですか。原子力本部内ですか。
(愛媛新聞)
派遣のような形で常駐させてはどうかと。
(知事)
議論の余地はありますね、でも一長一短あると思いますね。だから、それで何がメリットなのか、デメリットはないのかという議論をした上でないと結論は出せないと思います。
(愛媛新聞)
県も原子力の専門家を育てる必要があると思うが、今後の人材育成の方針について教えてほしい。
(知事)
推進監、スタッフ、私も1カ月間やり取りしていましたけれども、非常に勉強していますので、すでに人材は育ってきていると思っています。より一層そういった研修をですね、機会も手厚くして、人材育成には常に気を配っていきたいというふうに思っています。
(南海放送)
県議会の議長・副議長人事など、実質的に過半数を占める自民党が握っている。ここ数年順送りで、議長・副議長が決まっていることについて、こういった手法が時代にそぐわないのではないかとの県民の声もあるがどうか。
(知事)
これは議会に聞いてください。議会人事は、私は完全にノータッチでございますので。チェックされる側なので。
(南海放送)
ただ、議会が決めることであっても、議会と知事は二元代表制の両輪なので、その片側が時代にそぐわない状況であるというのは、知事にとってもよくないと思うが。
(知事)
人事ということについては、僕は議会が決めることなので、何のコメントもないんですけれども、あえてコメントを言うとすれば、今まで申し上げたように、立ち位置の変化ということですよね。そこにすごいこだわりがあるんです。これだけ劇的に変化していますから、地方議員の立ち位置はいったいどこにあるんだろうというところについては、大いに議論してもらいたいなと思います。
(あいテレビ)
原子力本部の移転について、機能や人員など、これから詳細を詰めるということだが、最低このラインまで移ってこないと実効性が担保できないというレベルは、何か考えているか。
(知事)
やはり、責任者の方が誰が来るのかというのに尽きると思っています。例えば、県にしても地方局があるようにですね、例えば、今までだったら原子力本部があっちにいて、こちらが地方局みたいな形だったんですね。でも原子力に関しては、今度は権限とトップに立つ人によって、こちらが原子力本部に関しては本部機能で、あちらが支部機能ということになりますから。全部丸ごとくれば、それがいいということだけではないと思っています。要は、大事なことは、意思決定の権限と、それを担保するために誰が来るのかというところが一番ポイントになるんじゃないかなと思います。昨日、聞いた範囲においては、副社長というふうなことを考えているということでありましたから、副社長となりますと、これは今、四国電力さんは、社長と3人副社長体制ですから、かなりの権限を持っていますので、本部長兼任ということになりますと、そこでさまざまな決裁が可能になってくるのではないかというふうに思っています。
(読売新聞)
県内企業の求めがあれば、安心であるというような県独自の証明書を発行する考えはあるか。
(知事)
原産地証明を出しています。
(読売新聞)
それはEUの農産物限定であり、工業製品や、他地域向けではないが。
(知事補佐官)
まず求めているものが、EUがまず原産地証明を求めていますので、今度は中国が、また新たに規制をするということになっているので、それに対しては、その都度、対応していかないといけない。それぞれの国で違いますので。
(読売新聞)
私が取材した中で、アメリカでも荷が一週間止められたというケースがあった。県内企業でも具体的に向こうが求めてきているというケースもあり、これから、いろいろな国で出てくると思う。どこまで通用するかというものもあると思うが。
(知事)
今おっしゃったように、きめ細かく対応します。
(読売新聞)
相談に応じて対応していくと。
(知事)
はい、やります。
(知事補佐官)
それぞれの国によって、今度は中国が、放射能検査証明と原産地証明というのを発表していますので、それは、まだ農林水産省どうするのかとか、いろいろわかっていないですけど、そういうふうに、今、個別に言ってくることに対して対応していると。
(読売新聞)
相手国から言ってきて、農水省に情報が入った段階でということか。
(知事補佐官)
企業から言ってくる場合と、農水省から言ってくる場合といろいろなケースがありますね。企業が困っているから相談にいくものと、あるいは外交ルートで農水省の方から、決まったからこうしてくれと、いろいろなものがあります。
(知事)
測定器なんかも全然足りないんですよ。国の方の機関が、もう全然こんなことを考えていなかったのか、今、県内で測定するところが、日本海事検定協会と新日本検定協会の2カ所。しかも機材がないんですよ。
(読売新聞)
EUが求めているような基準に準じるような形で、愛媛県のものは大丈夫というような独自の証明書を県で作らないか。
(知事)
サイン証明の実施などは、商工会議所に要請をしています。
(読売新聞)
独自に別に出すということはないか。
(知事)
根拠がないですから、先ほどおっしゃったように、どこまで通用するかという問題もあるんですけれども、だからその中で、今、県ができることは速やかに全部やってあげますと、対応しますよと、その中でどうかという話になると思うんですね。その中の一つに、先ほど言った、今、こういうレベル7という状況が、ばーっと広がっていきますから、放射線の検査機関の役割というのも重要になってくるんですが、先ほど申し上げましたように、機器すらもってないと言うんですね、国の機関は。だから、うちから貸し出しているという状況です。県の原子力センターの方から、検査機器、先ほどの海事検定協会、新日本検定協会に1台ずつ融通しました。これが今の実態なんです。
(読売新聞)
1回当たり数万円の検査費用を払っていては、商売にならないと思う。通用するかどうかは別にして、県産は安全ですというサイン証明に準じるようなものを県が独自に出すというのはどうか。
(知事補佐官)
県が独自に出すというよりは、個別に対応を余儀なくされていますので、中国だったら、EUだったらこれがほしい、放射能検査証明がほしい、原産地証明がほしい、福島県とかああいう都道府県じゃないよとか、今、だいたいその二つです。それで今、国に対して、こんなことではいかんのじゃないかということを要請しているんです。
(読売新聞)
申し入れはしていると。
(知事補佐官)
はい、要請しています。
(愛媛新聞)
EU以外の国でも、日本の農産品に対して不安の声が上がっているので、和歌山県では、県単独でEU以外にも産地証明書を発行すると決めたが、県として、独自に産地証明書を発行する考えはないか。
(知事)
それは効力があるのかどうかも踏まえてですね、確認します。それで効力があるのであればやります。
(知事補佐官)
少なくとも今、企業の要望とか、外国の要請とかでやれることは全部やっていますので、これをしないというのはありません。すべてやる。だけど、それは国の責任でやらないと、1県だけではいけないので。
(知事)
今日、経済産業省の方に緊急要望をすることになっています。輸出工業製品に関する証明等の対応についての要望ということで、国の方からですね、要は効力の問題で、今申し上げた商工会議所が行うサイン証明について、各国で、それが対応が可能になるように、国から各国に働きかけてほしいということ、これが担保されれば、ある意味では、商工会議所のサイン証明で全て通用するということになりますから、一番早い方法だと思うんですね。
(愛媛新聞)
それは、経済産業省が行っている工業製品である。工業製品もさることながら、食品は口に入れるので、外国からしてみれば、より信用の担保がほしいということで、要望が強いと思う。和歌山県では、企業や生産者からそういう声が多かったということで対応したと報道されたがどうか。
(知事)
うちは今のところ、今言ったような、上がってきてはいないんですけれども、もちろんそういう声が現場から上がってくれば、すぐ対応します。
(毎日新聞)
今回の地域防災計画の見直しに関し、例えば、伊方町の役場が実際に機能しない場合、どうフォローするかなど、広域的な連携も決まってくるのか。
(知事)
議論になってくるでしょうね。この場で確たることは言えないですけど、当然そういった最悪の場合とは何なんだろうという、その議論の中から出てくるんじゃないですかね。
(愛媛新聞)
先般、東温市で広島県知事と会談していたが、地域防災計画にしても県単独ではなく、関西広域連合のように、高知県よりは広島県の方が連携もしやすいだろうと思うがどうか。
(知事)
枠の問題というのはすごく難しいですよね。四国でやる場合もあれば、例えば今回、徳島にしても、四国の一つの県でありますけども、関西広域連合で、四国電力にアプローチされたり、その辺り、もう一回整理する必要があるのかなという気がしますね。ただ、その中で地理的な隣接県とのタイアップというのは、非常に大事だとは思っています。
(共同通信)
近く、全国知事会会長選があるが、出馬する予定は。
(知事)
全くありません。
(共同通信)
知事を推薦する予定は。
(知事)
全くありません。出てきた人たちが、何をやろうとしているのかが大事だと思います。要は、本当にしっかりと地方分権という一番大きな大枠のもとで、国と対等にものが言える人でなかったらお話にならないというのが、誰が選ばれるかというのは結果ですけれど、選挙だったら、自分が一票投じる判断基準です。誰かから頼まれたからとかいうのは、全く関係ありません。
(日本経済新聞)
防災計画の見直しは、一から見直すということか、あるいは、今ある計画をチューニングするような感じか。
(知事)
今ある計画というのも、長年の蓄積、費用もかけ、知恵も投入し作り上げられていますから、まず、そこからのスタートだと思うんですね。今回の予想を上回る災害が起こったものに照らし合わせて、いろいろな要因を加味して、本当にここはどうなんだろう、ここはどうなんだろうと、そういうたたき台になるのは、今までの計画だと思っています。
(愛媛新聞)
議員報酬のカットについては、各会派で温度差がある。復興支援に回すという条件で、継続することもできると思うが、感想があれば伺いたい。
(知事)
これは、もう本当に結果を見るしかないですよね。逆にいろいろな意見があって、どこに集約されているかというのは、県民がじっと見つめているということなんだろうと思いますよね。だから、それがどういう形で出てくるのか、例えば、要は、同じやるにしても、本当にこういう時期、厳しいからこそ積極的にやる場合と、本当はやりたくないんだけど、ちょっとここに形を作るという形で、期間限定とかで実施するのと、いろいろなパターンがあると思うんですよ。それをどこに集約されていくのかというのは、多くの人たちが見つめているということだろうと思うんですけど。
(愛媛新聞)
厳しいというのは、県財政が厳しいということか。
(知事)
県財政だけではないですよね。やはり、県財政も厳しいんです。だからこそ、今、われわれも管理職については、カット継続しているという状況ですし、それから、今の震災への対応でも、新たなる出費というのは、これは県民の皆さんもお許しいただけると思うんですね。やはり、もし愛媛に被害があった場合は、皆さんが助けてくれるという関係ですから、それについての支出というのは、ご理解いただけるんではなかろうかというふうにも思います。もちろん、しっかりとオープンにしながらやっていきますけど。それから、現下の経済情勢というのも含めての話だと思いますね。
(配布資料)