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平成22年度1月知事定例記者会見(1月6日)の要旨
日時 平成23年1月6日 13時から
場所 知事会議室
(知事)
皆さん、明けましておめでとうございます。
昨年の12月に就任して、瞬く間の1カ月が過ぎまして、そして初めての新年を迎えさせていただきました。選挙の後の就任までが2日しかなかったということもありますし、また、翌週には初めての県議会という日程も組まれていましたので、本当にあわただしい中で、がむしゃらに走り続けた日々ではなかったかなというふうに思いますけれども、しかし逆に言えば、ゆっくりする暇もなくですね、充実した日々を1カ月余り過ごさせていただいたような気持ちでもございます。
特にこれまで12年間、地方行政、市政という舞台で仕事をさせていただいた経験もありましたけれども、逆に言えばフィールドが違うということ、それから同じ地方自治体におきましても、役割というのが異なるということもありまして、戸惑うところや、あるいはこれまでの経験が生かせるところ、両方が相まった形で目の前の仕事が展開されていくというような気持ちで向き合ってきました。ただ自分自身、県議会議員からスタートしまして、国会議員、そして市政、県政と、それぞれのフィールドでの経験がございますので、こうしたことをトータルで生かせるような場面も多々出てくるのではないかなというふうにも感じています。
就任式ではですね、これは年頭の所感でも同じことを申し上げたのですけれども、何よりもまずは組織で仕事をしていくということが重要でありますから、自分自身の公約、そして考えていることをしっかりと職員の皆さんにまず伝えるということ、そしてまた、自分がこれまでの組織、人数的には松山市も3,400人の組織でありましたから、その組織のマネージメントをしていく上において、重要な意識改革の問題について、ポイントを絞って職員の皆さんに投げかけてきたところでございます。あいさつから始まって五つの職員の意識改革、こうしたことは徐々に、徐々に浸透していくのではなかろうかと大いに期待しているところでございます。
最初はですね、就任前には皆さんに「印象はどうですか。」というふうな質問を受けた記憶がございますけれども、そのときには思いつくままに一人一人の職員の皆さんのパフォーマンスが非常に高いけれども、暗いイメージがあるというようなお話をさせていただいたのですが、本当に目に見えてあいさつをしていただける職員も増えてきていますし、こうした前向きな空気というのは意外と早くでき上がっていくのではなかろうかなというふうに思っています。
また、自分自身も課題がたくさんありまして、先ほど言ったようなスケジュールでのスタートを余儀なくされましたので、組織全体の体系の問題、それから特に財政的な、鳥瞰図(ちょうかんず)的な状況、そしてまた職員さんとの人間関係、また仕事の各事業の中身、こうしたことをたった1カ月で、とてもではないけれども、自分自身が取り込んでいるわけではありません。今回の予算編成作業を進めながら、今申し上げたような課題について、自分の中に取り込めるよう、年初めから全力を尽くしていきたいというふうに思っております。ただ、いずれにしましてもですね、国の動向も混沌としていますから、こうした変化に対していかに的確に、そしてスピーディに対応するかが求められていると思いますので、全知全能を傾けて努力をしていきたいと思います。以上です。
(テレビ愛媛(幹事社))
平成23年度政府予算案への評価はどうか。
(知事)
政権交代後、2回目の編成になると思いますけれども、ある意味では、前回が政権交代後2、3カ月という初期段階の対応でしたから、今回が新政権にとっての、ある意味では、さらからの予算編成になるのかなというふうに思っていました。もちろん個々にはですね、努力や工夫をした跡は見られると思います。例えば、元気な日本復活特別枠、あるいは事業仕分け等々による予算の組み替え、無駄の削減、こういったことを基本方針にしていたということは間違いないと思います。また一方でですね、新規の国債発行額がトータルで見ますと、昨年同様に税収を上回るというふうな状況でございますから、将来や全体を考えると手放しでは喜べないというふうなことになりますけれども、ただ少なくとも、越年しなくてよかったなと、年内に閣議決定されたということは、ひとまず安堵したところでございます。
また、地方自治体の立場から全体を眺めてみますと、三位一体改革の作業の中で、大幅に削りこまれてきた地方交付税につきましては、平成22年度と比べますと、約4,800億円増の金額が確保されております。むりやり削られたところが少し戻ってきているということは、良しとできるのではなかろうかと思っておりますけども、一方でトータルで見るとですね、確かにこれも難しいところなんですが、臨時財政対策債、ご案内のとおり、これは県債においても、この比率が飛躍的に年々高まっているんですね。もちろん臨時財政対策債ですから、後々、交付税で国から補てんされるというふうなことになるんですけれども、決して健全な姿ではないということで、臨時財政対策債に頼らない財源の充実策というのを求めてきたわけですから、結果として臨時財政対策債は減ってきています。減っているからそれはいいんですが、先ほどの交付税の増と臨時財政対策債の減少というものをトータルで考えると、約1兆円の減少なんですね。これがどういうことかというと、今年は、去年、おととしより景気が良かったはずだと、だから法人関係税が上がるはずだと、その分はそれでカバーできるはずだと、全部、「はず、はず、はず」できていますから、その辺りがトータルで最後どうなるのか、今の段階ではちょっと読みにくいところがあります。特に財政力が弱い地方、愛媛県なんかはですね、影響が懸念されているところだと思っております。
こんな状況ですから、あらためて、先ほど申し上げたような消費税を含めた税制改正の必要性というものを論議することが大事だと思っております。ただ、消費税というのは、かつて私も申し上げてきたんですが、国民に負担を強いることになりますから、もし国がそれを打ち出すときには、まず自分の贅肉をそぎ落とすというのを徹底して国民の皆さんに示さなければ、なかなか受け入れられない部分もあると思います。少なくとも2年前の衆議院選挙、そして昨年の参議院選挙で、与党・野党問わず約束したことに関しては、両方が約束しているんですから、身を削るという行為について、まず速やかにやるべきではないかなというふうに思います。それは国会議員の定数の削減であり、地方分権の基本法の成立による法定協議機関の設置であり、そしてもう一つ約束したのは、格差の問題をまず政治から改めようということで、世襲制限の問題も踏み込んだはずですから、この三つについては、もう与野党が約束したことですから、速やかにやったらいいのではないかなと、そういうことをやった上での国民負担というふうにしないと、また社会が混乱するのではないかなということを懸念しています。
それから次に歳出面なんですけれども、社会資本整備は、皆さんご案内のとおり、四国、本県は全国的に見て、まだまだ遅れておりますから、そういう中で公共事業関係費が5.1パーセント削減をされておりますので、このことについては大変、影響を懸念しています。
また、社会資本整備に関連して、九つの交付金・補助金が地域自主戦略交付金、仮称ですけれども、こういう名前で予算化されまして、府省の枠を超えて自由な事業選択ができるようになったことは、地域主権改革の取っ掛かり、あくまでも取っ掛かりとして評価するものでございます。が、今のこの時点でもですね、枠は5千数百億円となっていますけれども、どういう形で配分されるのか、まだわからないんですね。ともかく当初の予算編成作業に間に合うかどうかも不明なんです。ですから当初予算編成作業に間に合うように制度設計を行ってもらいたいということと、それからあらためて地方の自由度を増すこと、それから社会資本整備の進捗率、これはいくつか懸念があるんですよ。例えば先ほど言ったように、全国で満遍なくいっているわけではないですから、その社会資本整備の進捗率にそれぞればらつきがありますから、こういった点。それから、地域によって産業基盤が違うことによる財政力の強弱、それから、愛媛で言えば、国体などがありますけれども、こうしたある地域で行われる国家的な事業、あるいは、これも愛媛が該当しますけれども、中山間地や離島、こうした地理的なハンディキャップを持ったところに対する配慮、こういったところの配慮がしっかりなされるような制度を作ってもらいたいというふうなことを求めていきたいと思います。もうこれだけあげるから、人口割りであげたから、後は知らないよというようなことでは意味がないと思いますので、その部分もありながら、今言った特殊事情というのをきちんと別枠というふうな考え方は必要だと思っております。
それから、本県の基幹産業である農林水産業についてはですね、経営基盤の充実・強化が求められているんですけれども、今回ですね、畑作物や養殖業が戸別所得補償制度の対象になっております。これは要望してきたことなので、実現したということは前向き、一歩前進だと思いますが、また果樹についても、セーフティネット措置として新たな経営安定対策が、これはまだ検討ですけれども、検討される見込みであるということでございますので、ここには期待をしておきたいと思っています。
教育関係ですけれども、これはかねてから県としては要望してきた事項ですが、学校の耐震化、実は校舎の耐震化については、現在、国の制度というのは小中学校が補助対象になっていますけれども、高校の校舎は補助対象外でございます。すべて県の単独事業になってしまいますので、なかなか今の財政事情から言うと、一気にということが難しいので、高校も対象になるようにと呼びかけてきているんですが、残念ながら、これは実現しませんでした。ただ公立小中学校については、耐震化事業計画の5,200棟につき、補正と併せてすべてが予算化されたことによりまして、本県の校舎整備、小中学校中心にですね、進むものと期待しております。
次に、個別課題ですけれども、就任以降、関係者に働きかけを始めました山鳥坂ダム関連の水没地域住民の方々は一刻の猶予もないという状況にあるということを、関係者の皆さんに12月以降、ずっと伝え続けています。残念ながらこの段階では、その経費は就任直後でしたから間に合わなかったようには思いますけれども、行った先々では、私が現場で見た実情というのを伝えていったつもりでありますから、関係者の皆さんがどういう判断をされるかわかりませんけれども、「それは非常によくわかる。」という答えを信じたいと思っています。必ず国も受け入れてくれるものと信じているところでございます。
また、高速道路料金の見直し関係では、無料化社会実験が今年度と同等規模で継続されるものと考えておりますが、無料化や新たな料金制度で影響を受けるフェリー、高速バスなど、競合する公共交通機関に対する支援制度の創設を今後も求めていきたいと思います。
なお、JR四国については、鉄道・運輸機構の利益剰余金等を活用した計1,800億円の支援策が別途決定されたことは、これは四国4県の共通要望事項でございましたので、関係者の御尽力に感謝を申し上げたいと思います。
さらに先般、皆さんもお聞きになられたと思いますが、フリーゲージトレインのJR予讃線での新たな改良台車による走行試験が初めて行われることになりました。今までは九州だけでやっていたんですけれども、四国で初めて走行実験が行われるということは、大いに評価をさせていただきたいと思っております。
ただ一方で、子ども手当でありますけれども、この地方負担分が相変わらず十分な地方との協議もない状況の中で継続されたことは、誠に遺憾と思っております。
問題はですね、皆さんも実感されていると思いますが、地方経済はまだまだ厳しい状況が続いています。国全体でも決して、“グン”といっているわけではなくて、デフレ状況から脱却できているわけでもありませんから、非常に厳しい時代が続いていくと思います。地域経済は疲弊しておりまして、ぜひ、着実な経済雇用対策が必要でありますし、その回復というのが大切な課題となっていますから、ともかく与党においては、こうしたことをしっかり踏まえた政権運営を進めていただきたいと思いますし、また、対立軸があるのは当然なんですけれども、今の経済情勢、雇用情勢については、もう与野党関係ないと、本当に現場の状況をしっかり受け止めて、やるべきことはやるというふうなことで、与党・野党の垣根を越えて、決してこの予算というものを政局に利用しないでいただきたいなと、速やかな実施につなげられるように力を合わせていただきたいと心から思っています。
以上です。
(南海放送)
先ほどの(年頭所感で述べた)課題の中に、組織全体の問題や体系についての話があったが、今後、県の組織を見直すことはあるか。
(知事)
もちろん当然、見直しというのは常に社会全体も変化していますから、それに従って見直しというのは常にあると思っています。ただ、まずはですね、既存の組織を知らなければですね、どこを変えていけばいいかというのが自分なりに沸き起こってきませんから、まずは現状認識というのが第一歩だと思います。ただその中で、組織はそのままなのですけれども、会議の中身であるとか、会議の開催回数であるとか、今の組織の中であるものについての新しい対応というのも、当然のことながら、まずは必要だと思っていますので、そこからやっていきたいなと思っています。
(南海放送)
具体的にこの組織をこういうふうにというのは、今の段階ではないか。
(知事)
まだないですね。ひょっとしたら、一番大きなところはですね、メニュー選択型行政から政策立案型行政への脱皮ですから、既存のシステムの中でも対応できるところもあるかもしれないし、そうでない場合もあるかもしれないし、それは少し進んで、仕事をしながら考えていきたいなと思っています。
(南海放送)
知事に就任したこの1カ月間で、予想外だったことはあるか。
(知事)
予想外だったのは、県庁の皆さんが明るかったということですね。
(南海放送)
例えば、「財政的に、もう少し余裕があったのでは」というような。
(知事)
大体、数字が出ていましたから、ある程度は見えていた、見ていたつもりですから、予想の範囲内かなと思っています。ただ、これは構造的な問題ですよね。今の日本全体の社会保障システムというのは、高齢化が進むたびに利用者が増え、そしてそれに従って自動的に地方自治体の負担が増加していくという構造になっていますから、ここの部分が根本的な改革がなされないとですね、いつかは全国の地方自治体が、にっちもさっちもいかなくなるという状況になることだけは分かり切っていることだと思うんですよ。だからこの高齢社会を迎える中での日本全体の社会保障システムの抜本的な改革と、それからもう一つは、市町村はご案内のとおり固定資産税中心の税収構造ですから、景気の波にあまり左右されない。都道府県の場合は法人関係税が中心になりますから、非常に景気の動向に左右されやすいという、この体質の違いがあると思うんですけれども、日本経済がかつてのような右肩上がりの高度経済成長が、なかなか今の世界情勢の中で望めない時代に入ってきていますので、こうしたような状況を踏まえますと、やはり地方の安定的な税収確保、財源の確保について、どうすればいいのかという本格的な議論、これは税制改正とも絡んでくると思いますけれども、ここが必要だということをあらためて認識をしました。ということについて、やはり国に対して、はっきりと発言をしていく必要が、今までの市町村以上にですね、今の県の仕事をさせていただく中で、大きくなってくるなということを実感しています。
(愛媛新聞)
ダムの生活再建について、(国を)信じるということを超えて、もう少し実現の可能性というのは何か見えているか。
(知事)
正直言って、僕が就任したのが12月1日ですから、すぐ議会がございましたように、アクションを具体的に関係者に起こせたのは12月の後半になってからですから、もう予算編成直前でした。ですから、どうしてもあのタイミングでは、なかなか予算編成に間に合うような日程ではなかったと思います。
ただ、このことについては、県選出の国会議員さん、与党・野党問わずですね、それから中央の国会議員の幹部の皆さん、そしてまた国交省のそれぞれの幹部の皆さん、すべてにお伝えをしてきました。皆さんからは「実情はよくわかった」というような共通するようなご返事をいただいています。これがきっとですね、実を結ぶと思いますし、私は本当にこれは人間として、ささやかかもしれないけれども、早くなんとかメッセージだけでも送りたいなと思っていますから、その姿勢には変わりありませんけれども、実際にその議員さんも、それから役所の皆さんも政治が動かないとなかなか動けないところがあるので、与党・野党問わずですね、このことについては受け止めてくれていると思っていますので、そこに期待をしたいと思います。
(愛媛新聞)
県として手当てするときに、地元自治体の要望を踏まえていきたいということであったと思うが、大洲市などからヒアリングし、要望が上がっていないか。
(知事)
いや、まだないです。ただ、大洲の皆さんにもはっきり申し上げたのは、今の県の財政事情からいって、県単独でできることは、もう高が知れていますと。でも少なくとも、一生懸命、僕もその生活補償関連の事業の進捗について努力をするし、絶対忘れていないんだと。忘れていないということをお伝えするための、ささやかかもしれないけれども、何らかのアクションを起こしますというふうな範囲でありますから、その辺りの実情も十分地元の皆さんもお分かりいただいているのではないかなというふうに思っています。
(愛媛新聞)
一括交付金について、額はわからないが、いつぐらいに来そうか。
(知事)
全然わからないです。
(愛媛新聞)
実際に来たときに、庁内での配分の方針について基本的な考え方はあるか。
(知事)
正直言って、最初の段階では、一括交付金はですね、ほぼゼロに近い状況だったんですね。ここは官邸の巻き返しだったと思います。そんなんじゃだめだということで、これは政権としての方針であるというふうな発言をもとに、約5,100億円が積み上がったんですね。そういうぎりぎりの政治主導の中で決まった案件ですから、まだ配分方法とかが全く見えてきていないんですよ。ただ、この期間の問題や額の問題から推計するとですね、おそらく今回は芽出しぐらいなのかなと。ということは、大半が継続事業に充てざるを得ないのかなというふうに思います。これも全然確証はないですよ。確証はないんですけれど、新規で考えられるのは、例えば1割とかですね、もうそのぐらいの金額になってしまうのではなかろうかなという感じが個人的にはしています。ですから、その金額によってもできること、できないことが全然変わってきますので、今の段階で、こうだということは、私の中にはアイデアとしては、まだありません。
(あいテレビ)
山鳥坂ダムについて、国が新たな対策をする場合、山鳥坂ダム個別の話にはなかなかなりにくく、ほかにも計画段階の公共事業が凍結されており、その手当てをどうするのかという問題が起きてくると思うが、何か新たな仕組みづくりのようなものを用意することになるか。
(知事)
そうですね、場合によっては法改正も必要になってくると思います。ただ、山鳥坂の場合は、国とその補償基準の合意をしているわけですよね。そこまでいっていますから、その後パーンと変わったわけですから、ちょっと他と事例が違うのではないかなという気がしていますね。
(あいテレビ)
その一般的な仕組みづくりではなく、何か山鳥坂ダムの個別の対策というのを国がしてくれるのではないかということか。
(知事)
結局、補償基準が合意している以上は、本来だったらそのまま話がどんどん進んでいくはずなんですよね。それが止まっているから、そこが他と違うんじゃないでしょうかということだと思います。ただし、国がそういった事業展開をするに当たっては、場合によっては法改正が必要になってくる可能性もありますので、トータルの中で考えるのか、個別で決めるのかというのは、国の動向を見極めない限り、まだこの段階では見えてこないですね。
(愛媛新聞)
12月議会で、新しい長期計画の着手を年度内にという答弁をしたが、現段階での着手の状況について教えてほしい。
(知事)
まだです。
(愛媛新聞)
いつごろどんな感じかというのは。
(知事)
今から予算編成始まりますのでね、やはりそれをまずは目先の仕事としてやらなければいけないと思っていますので、4月以降、体制を作って肉付けしていくってことになろうかと思います。
(愛媛新聞)
着手に当たっては、まず、この10年で満了になる古いものの総括から始めるということか。
(知事)
私自身が加戸県政の継承・発展ですから、当然、そこのベースの中で総括をしながら、さらに終えたもの、あるいは変えていくもの、あるいは新しく入れていくもの、それは自分自身の公約も担当の職員さんが消化する中で、肉付けを行っていくということになろうかと思っています。
(愛媛新聞)
今月、年末に立ち上げた二つのPT(地域主権改革・行政改革プロジェクトチーム)の戦略本部が知事をトップに立ち上がると思うが、この方向性やPTと外部の有識者の委員会との役割分担など、その大きな考え方について教えてほしい。
(知事)
まずは、自分たちでやるということが大事だと思いますので、これは市政時代もその考え方でやってきましたので、職員の力を信じてプロジェクトチームを立ち上げました。二つのプロジェクトチームの位置付けというのは、一つは地方分権に関して、国からの提案を待つのではなくて、地方の側から提案をしていくというふうなことがあって初めて対等な議論ができると思いますから、こちらの強みというのは現場を持っていることだと思いますので、その視点から見た地方分権の論議というのを引き起こす一つのベースデータを職員の皆さんの力によって作っていただきたいというのが、この地域主権改革のプロジェクトチームの狙いです。行政改革というのは、本当に繰り返しになりますけど、終わりはないというふうに思っています。とことんやった、やるだけやったと思っていても、まだまだという余白というのは必ずありますから、しかも先ほど申し上げましたように、社会の変化や時代の変化によって業務内容というのも変わっていくということは当然だと思っていますので、その変化というものを受けた改革ののりしろというのを常に発見し、実行に移していくということが大事だと思っています。そんな視点からもう一回、今までも加戸県政で行政改革は徹底して行ってきたと思いますけれども、また私も民間出身の違った視点も持っていますので、そういう観点からもう一度、ゼロベースからやってみたいなというふうに思っています。
(毎日新聞)
先ほど、国会議員が身を削ってからでないと、消費税の話をすべきではないとの話があったが、国をどうやって動かしていくのか。また、それに関連して、参議院の比例選挙の仕組みについて、ブロックでというような試案を、どう評価するか。
(知事)
先ほどの身を削る話というのは、もうすでに選挙のときに与野党を超えて約束していた話なんですよ。だから何でやらないのかなという気持ちの方が僕は強いですね。定数削減は全政党が約束していましたよね。世襲制限を約束していましたよね。地方分権の推進も約束していましたよね。与党も野党も一緒に約束したはずなんですよ。でもあれから1年半たって、なぜできないのかは、僕には理解ができない。消費税をやるべきではないと言ったのではなくて、国民に負担をお願いする案件だからこそ、自ら身を削る姿勢を示していかないと、なかなか国民の皆さんは納得しないのではないでしょうかねという声を素直に上げていきたいなと思っています。そんな中で、多分その中の一環の議論なんでしょうけれども、今お話があった比例代表の提案がありましたけど、これは申し訳ないけれども、あまりつまびらかに見てはいないんですよ。ただ一つの方向性として、衆議院と参議院の2院制の機能性をより一層高めていくためには、また違った選挙制度というのが必要なのかなというふうに個人的には昔から思っていました。かつて国会にいたときも、例えば、衆議院は政権選択の小選挙区制、参議院は多様な民意を反映させる比例代表制というふうな形になると、違った形のカーボンコピーではない院ができ上がると思うんですね。ですからそこに初めて参議院の独自性やチェック機能が働いてくるのではないのかなと。今、実はこの段階ではですね、ほとんど衆議院も参議院も同じ選挙制度なんですよ。ということは、同じ選挙制度で、同じような選挙をやり、同じような組織が動くということは、ほとんどが先ほど言ったカーボンコピーみたいになってしまうんですね。与党・野党全く同じ構図、それがここ数年ずっと続いて、ある意味では、いろいろな問題にもつながってきていると思うので、この際、参議院の選挙制度がどうあるべきなのかということを議論するのは非常にいい兆候なのでないかなというふうには思います。ただ、そのブロック制がいいのかどうかというのは、僕もまだ判断できないですね。
(愛媛新聞)
年明けから菅総理は小沢氏の問題でいろいろな発言をしており、党内抗争が激化しているような報道もあるが、政権与党である民主党内のごたごた騒ぎについて、どのように感じているか。
(知事)
党内のごたごたというのは、一般国民の立場からすれば、ほとんどの皆さんの生活に直結していることではないですから、もうそれはそれでやってくれと、ともかく仕事してくれというふうなことに尽きます。
(日本経済新聞)
県内の雇用は徐々に改善しているとはいうものの、やはり全国的に見ると、まだまだ非常に悪い。知事は選挙戦で、「若年者層の就職支援に重点的に支援をします」とか、「特に人材を求める地元中小企業への就職を支援します」というようなことを言っていたが、2011年度の予算編成の中で、雇用対策について具体的に目玉として盛り込めるようなものはあるか。
(知事)
まず雇用についてはですね、雇用というのは民間企業が採用して初めて発生する。公もありますけれども、一番大きなところは民間ですから。ということは、経済全体が活気付いてきて初めて雇用というのが増加していくというふうなことだと思います。
しかし、現在の時点ではですね、非常に日本経済全般が厳しい状況に置かれていることは言うまでもないことだと思っています。特に稼ぎ頭の輸出関連産業は、国力以上だと僕は感じているんですけども、特に昨年から今年にかけて、非常に高い円高水準で高止まりを示していますから、円高が悪いとは一概には言えないんですけれども、現実に見合った水準なのかどうかというと、今の中小企業の状況からしますと、この80円内外というのは非常に厳しいですね。ですから、この問題が一つ足かせになっているということと、それから、内需が弱いということ、この原因というのはいろいろな要素があると思いますけれども、一つには、先ほどの社会保障の問題につながってくると思うんですが、年金を柱とする社会保障に対する信頼が揺らぎ、未だに底も見えない。どうなるのかもわからない。こういうふうな状況が、多くの人たちに将来に対する不安感を植え付けて、消費を抑える傾向が出ているという点もあるでしょうし、それから、雇用形態が生んだ一つの姿なのかもしれませんが、若年労働者の賃金がなかなか上がってこない。それによって消費がなかなか伸びてこない。さまざまな要因があるので、一概には言えないんですけども、こういったようなところからくる内需の弱さが依然として続いていると思います。もう一つ言えばデフレですね。デフレ対策というのがなかなか進んでいないということもあるでしょう。それから、この状況の中で、確実な雇用を一気に生み出すというのは、はっきり言って難しいです。だからこそやれることをやっていくしかないんだけれども、それは、つなぎという意味も含めた緊急雇用対策であり、そしてまた職業訓練の実施であり、そしてまた、本当になかなか今難しいですけれども、諦めてはいけない企業の誘致であり、こうしたことを通じて、地道に雇用の場を作っていくという努力を続けていきたいと思っています。
ただ、先ほどの公約の中でお話したのは、特に東予地域を回った時に、鉄鋼関係や造船関係の事業者の皆さんから、紙関係もそうでしたけれども、いみじくも似たようなお話をいただいたんですが、技能訓練等々も含めてですね、求むべき人材がいれば採用したいんだという声を聞いたんですよ。だからそこにうまくマッチングするようなコース、人材育成コースというものがあれば、まだまだ採用の余地が残っているんだなというのを実感しましたので、例えば、今度新居浜にできる研修センター(新居浜市ものづくり産業振興センター(仮称))等々なんかは、非常に重要な意味を持ってくると思っていますので、単に研修するというのではなくてですね、地域の企業家、産業界の皆さんが求める人材に即した形の訓練というものをしっかりとメニューに組み入れていくということによって、今言ったようなマッチングというものが解消されていくのではないかというふうに思っております。
(愛媛新聞)
今年は4月に統一地方選があり、県議選もあるが、いろいろな地域課題がある中で、どのような論戦を期待するか。
(知事)
議会ですか。
(愛媛新聞)
県議選です。
(知事)
県議選は、私の今回、去年の選挙で、こういう公約で県政に臨みたいというふうなことを各党に、一部の政党は行っていないですけど、各党にお示しをさせていただいて、この公約だったら応援しようかということで、ご推薦やご支援やご支持をいただきました。ですから自分のやろうとしていることについて、大いに賛同もするし、足らざるところは意見も言うしという立場でいただいたものだと思っています。ですからそれに対して、それに従って選挙のご支援をいただきましたので、それに恩返しをするというのは、一つのスタンスだと思っています。
(愛媛新聞)
選挙戦でも応援していた野志市長も1カ月を迎えたが、松山市政のこの1カ月をどのように見ているか。
(知事)
あまり詳しくは見ていないですけれどもね。ただ、野志市長も明確な政策を打ち出して、私の継承・発展という立場で入っていますので、おそらくそれであるならば、市の職員がスムーズに野志市政の推進に入っていけるのではないかなというふうに思いましたので、極めて順調に離陸しているのではないのかなという感じはしております。