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令和5年度9月知事定例記者会見(令和5年9月4日)の要旨について
日時:令和5年9月4日(月曜日)
11時37分~12時01分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
記者クラブからの代表質問は1問です。四国新幹線の実現に向けた知事の考えと、県の方針について伺います。
先月30日に四国4県の知事などが、四国新幹線の導入に向けた国への要望を行うなど、岡山ルートでの実現に向けて、一丸となって動き始めたように見えています。
一方では、四国新幹線の実現には、県内での機運の盛り上げが不可欠だと考えるんですけれども、四国新幹線の実現に向けた知事のお考えや県の方針はいかがでしょうか。
(知事)
はい、先週の四国新幹線整備促進期成会の東京大会は、四国4県の知事、また、多くの市長や町長、四国選出の国会議員、県議会議員、経済界、約600名が東京に集まって行われました。コロナ禍にあった前年度大会はもちろん、コロナ前の令和元年度を上回る規模で盛大に開催されたところであります。
1973年から、この基本計画は国の方で立ち上げているんですけれども、それから50年、いまだにそのままでありまして、整備新幹線の計画路線への格上げに向けた、法定調査の実施、これを求めていくことで参加者の思いは一つになったところでございます。
これを受けまして、同日午後には四国新幹線整備促進期成会として、鈴木財務大臣、国土交通省古川政務官、自民党高木国会対策委員長に要望活動を行ったほか、四国選出の自民党国会議員で構成する四国ブロック両院議員会と四国4県知事との意見交換会も、同日実施いたしました。各県の整備促進に向けた取り組み方針を共有して、4県知事と選出の国会議員が一丸となって、フル規格新幹線の導入に向け、取り組みを強化していくということで、意見が一致したところでございます。
また同日、首相官邸にも伺いまして、われわれ4県知事と岸田首相との面会もしていただきました。岸田首相にも、その思いを直接われわれの方から伝えたところでございます。
実現に向けては、新幹線の必要性や効果を多くの方々に理解をいただいて、機運を盛り上げていくことがカギとなります。そのため、県や市、町、経済、観光、農林水産団体などで構成する愛媛県新幹線整備促進期成同盟会において、11月4日に県内の大型商業施設で、ファミリー層をメインターゲットとした体験型イベントを開催するほか、愛媛県の経済同友会においても、小学生から大人まで幅広い層を対象とした、新幹線俳句コンテストを実施するなど、民間団体とも連携しながら、四国新幹線への理解を深めていただくための取り組みを展開しております。
また、この東京大会でも話題になりました、新幹線生みの親と呼ばれる元西条市長、十河信二氏、その妻キクさんを主人公としたNHK連続テレビ小説の放送の誘致活動。これ「非常にタイミングも良い。四国新幹線導入の起爆剤にもなる。」ということで、四国各県でも署名に協力をいただけるということになりました。
5月から西条市長、新居浜市長に、「こういうことどうか。」という投げ掛けをさせていただいたところ、非常に前向きに立ち上がっていただき、署名活動を開始されておりまして、8月末日時点で、約5万8千筆の署名が集まっております。
今週7日木曜日に、両市長とともに上京しまして、東京のNHK本部を訪問させていただきます。十河氏のドラマチックな人生や偉大な功績、また署名活動の状況等を報告しまして、地元の熱意をみんなで伝えたいと思います。ドラマ実現を強く要望、そして、先ほど申し上げたように、この動きが四国新幹線実現に向けた大きなうねりになることと期待します。今回、岡山ルートでの実現に向けて四国が一丸となったこと、そしてこの6月に国の方で閣議決定されました「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太の方針」本文に、「基本計画路線の今後の方向性について調査検討を行う。」という記載がなされました。こうしたタイミングでもあります。これを追い風に、今年度は明らかに潮目が変わり、機は熟してきていると、今までとは若干違うステージに入っていると、いうふうに考えております。
また、本会のあいさつでも、各大臣、あるいは関係者の要請活動でも私の方から申し上げました。収益事業となる新幹線事業がなければ、将来、四国から鉄道そのものが消え失せるということもあり得ると。こういったことを危惧しているということを伝えております。そういう意味では、これからオール四国の体制で全力で四国新幹線実現に向けて取り組んでいきたいというふうに思います。
このことについても、記者会見でも幾度か申し上げさせていただきましたけれども、そもそも、分割民営化の議論の前提である、人口増加、経済成長、5~6%の金利に基づく安定化基金の収益、この3条件が分割民営化の条件でありましたけれども、その条件があっても、当時から収益事業である新幹線を持たない北海道、四国、九州は大丈夫なのかという意見がありました。しかも今、この30年経った今日、3条件は全て崩れさりました。九州は新幹線の収益事業を持ったことによって、そこからその懸念から脱却をいたしました。
このままいけば、収益事業のない四国、北海道はひとたまりもないと、先ほど皆さん申し上げた、放置していれば四国から鉄道がなくなってしまう。あるいはどっかと分割民営の逆、合併の話をしても収益事業のない四国は土俵にも登れないということで、ぜひ多くの県民の皆さんにも、新幹線事業、便宜性の向上、経済拡大はもとより、四国の将来を考えた視点でも、受け止めていただけたらというふうに思っています。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただいまの答弁に関しまして、質問のある社はお願いします。
(NHK)
NHKです。よろしくお願いします。取材していても、四国新幹線というワード自体は県民からも非常に関心があるんですけど、よくあるのは「本当に実現するんですか。」という声はよく聞かれます。
改めて今回、要望も行かれましたが、知事として実現に向けてどういうふうに今後も要望を働きかけていきたいか、もう一度お願いします。
(知事)
新幹線が整備計画に格上げされて、本格的な事業が決定し、着手して、工事して、何十年という長い月日が、どこの新幹線でもかかります。だから、僕が生きてる間に、見れるようなスケジュールではないかもしれませんけども、芽を出さなかったら実現しない。だから、将来的な均衡ある国土の発展ということを考えても。考えてみたらですね、例えば、新幹線が松山まで伸びていたら、もう今の人の流れとは全く異質な流れができると思います。もちろん人口の問題はありますけども、何よりも、関西圏の交流人口は飛躍的に増加するのは、誰が考えても明白ではないかなと思います。現に、金沢が北陸新幹線で、あっという間に人の流れが変わりました。それだけの力というものが新幹線にはありますので、そういった長い目で見た取り組みを今を生きる我々が、未来のことを考えて地道に動いていくというのが重要だと思いますので、実現に向けて、力を合わせてしっかりと歩みを進めていきたいと思います。
(NHK)
もう一点なんですけど、今後のまちづくりについても、新幹線が例えば松山どこに停まるのかとか含めて、新幹線という構想も入れながら考えていきたいっていう、どこに停まるのかとか。
(知事)
そうですね、例えばJRの高架事業やってますけども、将来、当然そのことをにらんだ設計というものをやっておりますし、あらゆるところでそれを想定した先の長いタイムスケジュールでもありますけども、考えていけばいいんじゃないかなというふうに思っています。そもそも、本四架橋自体がそうですから、将来新幹線を通すというふうなことを前提に設計された橋でありますから、そういったことがあればこそ、今の運動が起こせるわけで、やっぱりすぐに効果が実現しなくても、早い段階で必要なところは手を打っていくっていうのは重要だと思ってます。
(愛媛朝日テレビ)
すみません、愛媛朝日テレビです。四国新幹線4県知事、先日の期成会でも要請されて、非常に県の間では、機運の盛り上がりを感じる部分があるんですが、関係する基礎自治体についての盛り上がり、知事の目からどのように映ってますでしょうか。
(知事)
そうですね、やっぱり例えば、直接新幹線が通らない地域と、可能性として通るかもしれないという地域では濃淡が当然あると思います。やっぱり、通る地域、明白なところについては、機運が高いんじゃないかなというふうに思っています。
(愛媛新聞)
すみません、愛媛新聞です。少し話は戻るのですけど、先ほど「明らかに潮目が変わってきている。」というお話があったと思うのですが、岡山ルートで4県一丸になったことであるだとか、骨太の方針に基本計画路線の方向性が載ったこととかあると思うのですが、知事の中でですね、何が大きく変動させた要因になっているのか。
(知事)
はい、やっぱり何といってもですね、肝心の四国で意見が、ルートが一致していなかったと。だから、そういった状況のもとで熱意というのは、相手にはなかなか伝わらないと。それが具体的には、徳島県が淡路ルートの必要性を訴えていたんですけども、岡山ルートだというふうに方針転換をして、4県知事、4県の意見が一致したというのが一番大きいと思います。
(南海放送)
すみません、南海放送です。官邸で総理と面会されたということですけど、総理の反応というか、そういうのはいかがでしょうか。
(知事)
いや、それはやっぱり、「そういう意見があるのは、承ります。」というぐらいですけども、ただ、そのときもですね、この新幹線の問題、ただ要望したわけではなくて、私の方からは、さっきの鉄道のそもそも論の話、JR四国と収益事業を持たないJRの問題。総理も、地元は広島ですから、その悲哀というのは、実感としてないと思うので。ともかく国の責任でそういった議論をしてほしいと、こういうふうなお願いをしたので。その中に新幹線事業もあるという位置付けでお話させていただきました。それについては「理屈の上ではよくわかった。」というふうには、おっしゃっていただきました。
(南海放送(幹事社))
他によろしいでしょうか。それでは代表質問以外で質問のある社はお願いします。
(NHK)
先週金曜日に発表されたコロナの定点把握、若干ではあるんですけども2週連続のやや増加傾向にあるという点がありました。改めて現状のコロナの受け止めとですね、もう一点、9月20日から国が新型のワクチンの接種を開始せよというような方針を示して、市町の方にもお話を伺ってはいますが、なかなか対応に苦慮される声も伺っております。そのあたり県の支援だとか、知事の考えあれば教えていただけないでしょうか。
(知事)
本県は7月以降、当初この辺りではですね、全国平均を上回るペースで感染が拡大しておりました。これ西からずっと上がってきたと思うんですけども、最初に沖縄県が爆発的に感染拡大しまして、その後、九州、四国、中国と同じような傾向で、西日本が中心でありました。ただ、今、沖縄は、かなり収束の状況に入ってきてまして、ダントツで都道府県別の感染状況1位だったのが、今47位で一番低くなってるんですね。
本県も7月末がピークだったとデータ上では見極めています。お盆明けで懸念してたのですが、顕著な増加には結び付いておりません。先週公表された直近の定点報告では、全国で愛媛県は47番中31番。平均を下回っている状況になってきました。ただ、入院患者はですね、8月4日がピークで372名。そこから減少していたんですけども、この2週間程度はやっぱり下げ止まり、200(人)台の前半で推移していまして、また高齢者施設等での集団感染例、これも継続して発生している状況でございます。ですから、引き続き県民の皆さんには基本的な感染回避、感染対策に留意をしていただくことをお願いする段階だと思います。ただ、今、医療の現場の状況も担当と現場でしょっちゅうやり取りしてますので、逼迫(ひっぱく)しているという状況ではない。ただ、やっぱりバッと来たらどうなるかということは、いつも考えておかなければならないと思ってます。
ワクチンなんですけども、お話にあったように9月20日から秋接種が始まりますが、国から連絡があったのは、10月の上旬までに、県全体で約27万回分のワクチンが供給されると報告がありました。先般、各市町にそのうちの配分量や配送時期等を通知はさせていただいているところであります。ワクチン接種は市町の事務になりますので、これを受けて9月20日の接種開始に向けて、それぞれ医療資源も異なりますので、各市町で接種券の発送、住民向けの啓発、準備を進めていただいているところであります。
なお、65歳以上や基礎疾患をお持ちの方を対象として実施されている春開始の接種、こちらは実は8月27日時点で県は50.5%で、全国平均を下回ってます。全国平均が55.4%でございます。ということは、冬場の感染を懸念しなければならないので、接種率の向上も課題と考えております。春開始接種分については、各市町で利用していただけるよう、県においても住民向けの接種勧奨チラシを作成して、これを市町へ配布してバックアップをしております。また、今回の秋開始接種に当たっても、効果的な啓発資材、これは県の方で作成して市町にお渡ししようというふうに考えております。今後、市町によって状況が違いますので、何か県でお手伝いするものが具体的に示されたら、支援に当たっていきたいというふうに思っています。
(愛媛新聞)
愛媛新聞です。福島第1原発処理水の海洋放出を巡る中国による日本の水産物の輸出停止についてちょっとお聞きします。放射線検査強化の段階でも県内の水産事業者にも影響が出ていましたが、今後も影響の長期化が予想されます。この中国の輸出全面停止という措置に対する受け止めと、あとできることは少ないかもしれないんですけども、県としての対応は何か考えているかお願いします。
(知事)
はい、まず冷静に分析する必要があると思うんですけども、ともかく日本の政府に求めたいのは粘り強く情報発信を世界にしていただきたい。中国と折衝を続けていただきたい。これに尽きると思います。それはもう科学的根拠に基づいた議論を進めていくに他ならないと思いますし、また絶対にあってはならないことは、この調査ですね。定点調査をしばらくやりますよね。これをきめ細かくオープンに、そして正しく、例えば数字が悪化したらそれもきちっと報告するという、これがつまずいたらもう全ての信頼が崩れますから、そこは電力事業者等々の大きな責任だと思ってますんで、正直に正しくやり続けるということを求めたいというふうに思います。
その中で、中国・香港・マカオで日本産水産物の輸入禁止措置が新たに講じられましたけれども、中国本体については、放出前から実質的に輸出不可でありました。これ処理水の放出前も前後も変わってないと、香港・マカオについては、最初は10都県に愛媛県は入ってませんでしたので、その段階では影響はなかったんですけども、全部全てがということになったんで、どうかなと思ったんですが、現場に調査、そして意見聴取いたしました。放出開始後、国内での価格動向を含めて、本県水産業における影響に大きな変化は今の段階では生じておりません。仕向け先を変更して、そもそも愛媛県の輸出の10%ちょっとが、中国向けでしたんで、大きなシェアじゃなかったということもあったんで、国内向けあるいは海外向けも含めて、別の仕向け先を見つけられているということなんで、在庫が積み上がっている状況はないという確認は、今の段階では取れてます。
ただし、問題が長期化した場合、海外市場の縮小あるいは国内の流通価格等への影響も懸念されますんで、これはもう本当に国の方で適切に対応すべきということで知事会からも、必要な支援等に万全の措置を講じるよう緊急の申し入れを行ったところでございます。
国では今週早々に消費拡大策、風評影響への対応など5本柱の支援パッケージをまとめるというふうに言っております。県としては具体的な内容まだ分かりませんから、情報収集しながら、関係団体水産事業者の実情を踏まえながら、場合によっては支援策の活用も検討するなど、本県水産業の振興に向けて力を尽くしていきたいというふうに思います。
まずメニューを見てからということになります。
(愛媛新聞)
一方で、県として水産物以外、中国の越境ECサイトに力を入れるなど、輸出強化を進めているかと思います。そうした施策への影響というのは出てますでしょうか。
(知事)
出てくるとは思いますね、このまま長引けば。なんて言うんですかね。なかなか正しい情報が、日本のようにインターネットが自由にという環境ではありませんから、なかなか全員の方々にそうした正しい情報が送れてないという現実もあります。
そういう中で、ともすれば、情報不足による誤解から不買運動とか、そういうことだって広がっていく可能性はゼロとは言えませんので、今たちまちというわけではないですけど、あり得ると思っています。ただ、やはり世界最大のEC市場から今の状況を見ますと、やっぱり日本のものを求めている市場もありますし、それから実態を知っている人たちもたくさんいますので、だからこそ地道な取り組みってのはあらゆる面で重要だと思っています。ただ今、あちらへ行って投資をするとかそういう環境ではないので、少なくとも、越境ECというものを活用して、誤解をされないニーズのある商品をセレクトして、必要なマーケットに提供していくっていうことはしっかりと続けていきたいなというふうに思ってます。
(愛媛新聞)
今おっしゃられた部分にかぶるかもしれないんですけども、この中国への輸出強化を進めることは今の時代、地方とか県内の企業にとってはどういった意味を持つと思いますでしょうか。
(知事)
そうですね、やっぱり商売ってのは物が売れて初めて成り立つなりわいですから、当然のことながらそこにマーケットがある以上、ニーズがある以上は、攻めるという姿勢は当たり前のことだと思います。
ただそこにさまざまなリスクが存在していますから、そのリスクをしっかり見極めながら絞り込んでいく姿勢も重要であります。そういう意味で、中国という人口、世界2番目の人口を抱えるマーケットで、日本産のものを欲している方々も大勢いらっしゃるという状況、ただ、先ほど申し上げたような特殊な環境で買えないとか、情報が足りないから誤解するとか、そういったところの誤解を解いて長い目で見た場合ですね、地道に続けていくってのは大事だと思います。
特に物を売って、そして稼ぐということについては、そう大きな、フィルターをきちっとやれば、リスクがあるわけではありませんから、そこはしっかり取り組んでいきたいと思っています。
(南海放送(幹事社))
予定時間も過ぎておりますが。それでは会見を終了します。
議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。