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令和2年度3月知事定例記者会見(令和3年3月22日)の要旨について
日時:令和3年3月22日(月曜日)
11時43分~12時02分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
44年連続全国1位を誇っていたかんきつの収穫量について、2018年は和歌山県に抜かれ2位であったと先日発表があった。これは西日本豪雨災害による一時的な影響であり、すぐに1位奪還が見込まれるとのことだが、「柑橘王国えひめ」として揺るぎない安定した地位を確立するため、県ではどのような対策を講じていくのか。また、かんきつ農家からは高齢化による深刻な担い手不足という声もよく聞くが、若手農業者などの育成や確保につながる「魅力あるかんきつ産地づくり」に向けた取組みについても併せて聞きたい。
(知事)
ごく僅差の2位でございまして、数字で言うとですね、この年、(平成)30年度は愛媛県19万8,933トンの中で、和歌山との差は122トン、率にして0.06パーセントの差でございます。面積換算で言うと6ヘクタールぐらいの差で全国2位なんですが、44年連続1位が維持されてきただけに、それは関係者の皆さんも私も含めて結果としては残念には思いますけども、ただ、平成30年7月の豪雨災害の年の順位でありますから、これはもう致し方ない点もあります。ただ、やはり将来ともに「柑橘王国」の地位を維持していくためには、災害にも強く、生産性も向上させる、生産性の高い産地づくりが重要でございますので、復旧はもちろんのこと、生産基盤の強化が課題であるということを十分に意識しながら、三つの対策を進めていくことといたしております。
一つ目は「被災園地の復旧・復興」でございます。抜本的な対策が必要な園地を除いては、ほぼ被災前の状況が取り戻されてきています。また、崩落園地についても、もうずっと説明させていただきましたが、「原形復旧」・「改良復旧」・「再編復旧」というパッケージで順次災害に応じて進めていますけども、特に「原形」・「改良」を行う園地では、工事が完了した園地から順次植栽が開始されておりまして、再編復旧でも、4地区のうち玉津地区でこの夏着工が見込まれています。着実に復旧が進んでおりまして、これからも総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
二つ目は「産地全体の生産基盤の強化」でございますが、これは被災していない園地も含めて産地全体で園内道やモノレールの整備、それから園地の緩傾斜化、担い手への園地集積、こういったことを進めることで生産性を高めるとともに、特に本県収穫量の7割を占めているのが温州みかんといよかんでございますが、これについては改植による園地の若返り、そして適切な栽培管理、土づくり、こうしたことで生産力アップに結び付けていきたいと思います。
そして、三つ目は「魅力ある農業の実践」でございます。今後とも、若者がかんきつ農業を収入面でも魅力的なものとして捉えて、担い手として産地を支えていくことが重要でございます。このため県としては、「紅まどんな」、「甘平」、さらに期待の新品種「紅プリンセス」、他県ではまねができない、こういった高収益品目を拡大するということ、それから高収量・高品質の生産が可能となるマルドリ、マルチドリップ栽培など先進技術を導入して、しっかりと利益が出る、もうかるかんきつ農家のモデルを1戸でも多く育成して、その農家の子弟だけではなくですね、県外からの移住者、非常にかんきつ農業に関心高い人が増えていますので、こうした人たちが魅力を感じる産地づくりを今後ともしっかりと行っていきたいというふうに思っています。以上です。
(NHK)
豪雨災害の被災園地の復旧の「原形復旧」・「改良復旧」・「再編復旧」の進捗状況は、今のところどのようになっているのか。
(知事)
これは現場。農林水産部長。
(農林水産部長)
「原形復旧」・「改良復旧」につきましては、県下で316地区、復旧しておりますけれども、約9割で工事着手、完成は約3割、98件になっていまして、一部の園地では定植に入っております。「再編復旧」につきましては、先ほど知事も言いましたように4地区のうちで、玉津地区は今年の7月ごろに工事着手、それから松山市興居島の由良地区と今治市大三島の上浦地区につきましては、令和3年度から事業に着手いたしまして、令和4年には工事着手の見込みとなっております。それから、残る宇和島市吉田町の立間地区につきましては、令和4年度に事業着手を目指しまして、計画づくりを進めているところでございます。
(愛媛新聞)
松山市の方が3月に入って、産業廃棄物処理会社レッグに対して、松山地裁に破産手続きの開始の申立てを行った。レッグの問題については、環境汚染防止対策に多額の公費が投じられていて、知事も、市長時代も含めて関わりのある問題であると思う。あらためて所感はどうか。
(知事)
そうですね、法定受託事務(当時は機関委任事務)という中でですね、許可し、事業が始まったんですが、この会社自体が途中から、あの時、こういう言葉を使ったんですけど、えたいの知れない状況を呈してきた。それは、責任者がどんどん変わって、10人以上社長が交代するとかですね、いろんなことがあって、さまざまなうわさなんかも飛び交って、当時、社会問題、報道でも流れたように、議員さんから問い合わせがあったりということもあったような事例でした。住民の皆さんから、異臭があるとかというようなところから、何かおかしいぞというふうなことで、幾度となく、指導をした経緯がございます。そういう中でですね、結局のところ、社長は、何か亡くなった方もいらっしゃったりですね、非常に責任追及が難しい状況に立ち入った経緯がございます。そういった中でですね、訴訟も含めて、いろんな対応をしてきたところでございますが、今回、代執行費用、特に巨額になりましたから、もう全く無責任な対応しかできない状況になっていた同社に対して、代執行費用、歴代社長に対して、69億円の求償を松山市においてしてきたところでございます。
ただ一方で放置もできないので、市、県も協力しながらですね、その公害、廃棄物対策を行って、今のところ、対策工事は(平成)30年10月末に完成をして、そして、水質検査等でも異常は確認されていませんので、この件をもっての有害物質等の流出等々は食い止められているのではなかろうかというふうに思っております。本来だったらこの関係者たちに全て掛かった費用は負担していただかなきゃいけない、そういう問題なんですけども、破産というふうなことで措置をせざるを得なくなったことは残念に思っています。この破産手続の開始をした背景というのは、これによってレッグの全財産の調査、もう全く調査すら協力できてなかったという背景がありましたので、そうした調査や処分もできるようになるということ。それから、社長がさっき申し上げたように死亡されている。同社の休眠状態等、全く不透明な状況に立ち入っていると。関係者は別会社を作ってやっているような方もあるので、非常にえたいの知れない存在になってきてました。もう一つは、市が対策工事を実施した土地を取得して処分場の安定的な管理、さっき申し上げたように、しなければいけなかったということ。こういったことで、破産手続開始の申立てが行われた経緯がございます。これはその処理については、市の審議会でもしっかりと適切にできているというふうに評価されたと聞いています。県としては、破産手続の開始によりまして、レッグの全財産が明らかになるとともに、活動の再開も完全に防止できるということにつながるものと考えておりまして、今後の状況を注視したいと思いますし、また松山市としては、処分場の水質管理、そして、引き続き事実関係の解明、原因者に対する責任追及を行うよう求めさせていただきたいと思います。以上です。
(愛媛新聞)
今後も、水質管理などに関しては費用が見込まれていると思うが、松山市に対する支援などの考えはどうか。
(知事)
まず、人の支援もこれまで、協定を結んでいますので、県と市の間で。まず、人的・技術的・財政的な総合的支援を実施しているところでございます。このうちの支援のうちの人的支援・技術的支援は、協定によりまして、今年度末をもって終了することとなります。もう一点の財政的支援は、令和16年度まで継続してまいります。毎年度5,800万円、県の方から市の方へということで、協定が結ばれていますので、必要な支援を行っていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
あと、結果として、これまで投じられた公費が回収できない状況になっているかと思うが、これまで、知事の市長在任期間中を含めて、これまでの市の対応は適切であったと思うか。
(知事)
僕もずっと見てますから、法律の上でできること、できないことがあります。その法律の上に基づいてしっかりとした対応は取れていると思います。ただ残念ながら、国の、さっき言った法定受託事務であるということの限界、それから、こうした無責任な経営者による運営というようなことが、法律を超えた対応が取れない以上は、なかなか追い掛けられないという現実があるという壁は感じますね。だから、全国的にもこうした事例で公費を投入せざるを得なくなるというのは、まさにそういう法律の限界という、法律でできる行為の限界というのはあるのかも知れませんね。
(NHK)
LINE(ライン)の個人情報の問題に関して、愛媛県でも公式のアカウントやコロナネットを一時的に停止しているが、今現在、県が把握している状況とこれから県が行っていきたい対応、対策はあるか。
(知事)
LINE自体はもう本当に全国にも利用者が広まっている、若者を中心にですね、それから年代は幅広く活用されるようにもなりました。特に、災害の安否確認等々ではLINEが大きな力を発揮した現実もございます。いわば社会にとって定着した一つのツールになっているということは間違いないと思うんですね。ただ今回、その情報管理について指摘を受けるような事態が発生しています。これは国全体の問題にもなりますので、県としても、そこらあたりの対策、それから方針、これだけの広がりがある会社ですから、責任ある対応が取れなければ会社の今後の問題にもつながってきますから、そこはしっかりと対応すると思うんですね。これだけみんなが、全国から注目されていますから。そこの対応を見極めてやっていく必要があるというのが基本になります。そのため、そこが見極められるまでは、県としても今、利用の一時的な停止を行っているところでございます。県の職員にもですね、業務上の連絡も、こういったことが確認取れるまでは、機密性の高い内容はLINEには書かないようにという周知を既に行っております。それからコロナ対策でも、ここではですね、機密性の高い情報を取り扱っていますので、先ほど言った個人情報もありますので、こちらではLINEではなくチャットツールを活用していますので、そのあたりは万全を期していますので、お知り置きいただけたらと思います。会社の方からもですね、真摯に対応するという方針を公表していますので、そのあたりの動向をしっかり見極めていきたいというふうに思っています。
(愛媛新聞)
先日、札幌地裁の方が同性婚を認めない現行制度に対して、初めて違憲判断を示した。昨今、性的少数者の権利保護の意識が高まっているが、この違憲判断が示されたことへの受け止めと、また、地方自治体の間では同性カップルを公認するパートナーシップ制度導入の動きが広がっている。県としてのこの制度に対する考えがあるか。
(知事)
判決の内容についてはですね、司法の判断、特にコメントは差し控えたいというふうに思います。ただ、今回の判決はですね、性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質であるという指摘が判決の中で出されておりますので、そういう意味では、性的マイノリティに対する国民の理解を一歩深めていくきっかけにはなっているんだろうなというふうに思いますので、それが差別や偏見の解消に結び付いていくことを期待したいと思います。ただ一方でですね、同性婚を認めるかどうかというのは、国民の中でもいろんな意見があるのはご案内のとおりですし、それから家族等々の考え方、根本から、根幹に関わる大きな問題ですから、これはもう本当に国会でですね、オープンにどんどん議論して方向性というものを定めていただきたいというふうに思います。その議論を注視したいと思います。
それから、県としてのパートナーシップについてはですね、確かに都道府県レベルでも、取り入れているところは3(府)県ぐらいあるんですけども、ただこれもですね、地域によっては、都会と地方ではまたちょっと状況が違うところもあるのかもしれないなと感じるときもあるんですね。というのは、一方で導入を望む声があるんですけども、その一方で、制度ができてもなかなか利用するのが難しいんじゃないかと。社会全体、その地域ごとのバラツキもありますから、理解が進んでいない場合は利用が難しいんじゃないかと言った声。それから、地方ではこれが多いんですけども、当事者の方がむしろそっとしておいて欲しいという声があるのも現実なんですね。だから、このあたりのことも含めて、本当に賛否両論が渦巻いておりますから、これから県においてもですね、やっぱり議論をしていく必要があるかなと思います。それ以上に、まずは性的マイノリティに対する差別や偏見、これを無くしていく。理解促進、こういったことを啓発していく方を今の段階では重視すべきではないかなというふうに思っています。