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令和2年度2月知事定例記者会見(令和3年2月18日)の要旨について
日時:令和3年2月18日(木曜日)
12時00分~12時17分
場所:知事会議室
(愛媛朝日テレビ(幹事社))
先日総務省が公表した2020年人口移動報告によると、東京都の転入超過が前年から5万人以上減るなど、新型コロナの感染拡大による転入者の減やテレワークの普及などの影響が見られた。地方にとっては移住者を増やす大きなチャンスだと思うが、県としてコロナ禍における移住施策に今後どのように取り組むのか。
(知事)
今お話のあった先月公表されました報告では本県の昨年の社会増減は、依然、転出超過にあるものの、東京圏および大阪圏への転出者数が大きく減少しております。一昨年と比べまして転出超過はまだ続いておりますが、1,059人改善をされているのが数値として出ております。
また、今年度の移住者数は速報値でありますが、先ほど申し上げましたとおり、年度当初はコロナの緊急事態宣言で減少が続いておりました。ただ、夏以降は前年同期比で25パーセント伸びている状況でございます。大きな特徴としましては、移住者数が年間1,000人を突破した平成29年度以降、初めて20代の割合が30パーセントを超えまして、全体でも40代以下が6割を超えております。コロナ禍を契機に大都市圏住民や若者世代を中心とした地方移住がこの数字を見ても流れになってきているんではないかなと推測されます。
本県としてもコロナ感染回避の動きが東京一極集中の社会構造を転換して、人口の地方分散を推進する転機になることを期待しております。コロナ禍で高まった若者世代の地方への関心やテレワーク普及の動向を的確に捉えた上で、ポストコロナ時代に向けて愛媛県の魅力を情報発信して、さらなる新しい人の流れや企業の流れを作り出していきたいというふうに思います。
このため、今年度、東京や大阪等で予定していた大規模移住フェアが中止を余儀なくされておりますが、そういった中で、新たに6月から市町と連携してオンラインでの移住フェアや常設相談を実施いたしました。来場者に当たるサイト訪問者数は平均で632名と従来フェアの来場者数は平均98名でありましたので、サイトなので来やすいというのもあるんですけれども、大きく上回っている状況で手応えを感じているところでございます。
また、8月以降は、新たにテレワーク移住者やサテライトオフィスの誘致に向けた取り組みに着手し、これまで、特設サイトでの情報発信の強化に加えまして、市町によるテレワーク可能なお試し移住住宅の整備、こちらは4市町。そして、県内のコワーキングスペース運営事業者によるテレワーカー受け入れモデルの構築、こちらは5事業所。それから、先ほどもお話がありました民間事業者のサテライトオフィスの誘致に向けたシェアオフィス等の整備、こちらは10カ所。こちらへの支援を行うなど県内各地において、ポストコロナを見据えたテレワーカーや企業の受け入れ態勢を着実に整えているところでございます。
さらに、来年度は今年度の成果を生かしながら、新たに県内コワーキングスペース事業者等との協働の下、移住者が他の移住者や地域の人々との交流を通じて、幅広い分野で活躍できるコミュニティを県内に広めていくとともに、首都圏の経済界と連携した企業テレワーカー移住の実証実験や、県内外の企業の交流促進によるサテライトオフィス誘致に取り組むため、必要な経費を当初予算案に計上しているところであり、体制づくりとしては、県外での情報発信と県内での受け入れ、この両面から攻めていく。誘致ターゲットとしては、個人と企業の両面から攻めていく。どちらも戦略的な施策展開を図っていきたいと思います。
また、特に人口減少が著しい南予地域においては、現在、地域おこし協力隊OB団体が県の支援を得まして、内子町に整備を進めているテレワーク移住支援拠点施設がございます。ここに新たに「南予移住マネージャー」を配置しまして、きずな博開催やワーケーション誘致を契機として、南予への持続的な移住者誘致に地域が一体となって取り組む体制づくりを構築するなど、将来を見据えた施策を推進したいと考えております。
今後とも、部局間はもとより、市町やジョブカフェ愛work、地域おこし協力隊などとも連携しながら、オール愛媛で仕事やお試し住宅の紹介も含めたワンストップのきめ細かな受け入れ体制をつくることで、激化する全国自治体との移住者誘致競争を勝ち抜いて、先ほど申し上げました令和4年度の(移住者数目標)3,500人を達成するよう全力を尽くしていきたいというふうに思います。以上です。
(愛媛朝日テレビ)
先ほど話にあった内子町に整備している拠点施設とはどういったものになるのか。
(知事)
地域おこし協力隊が主体となってですね、今申し上げたような移住促進に本格的に取り組むということで、その中でやっぱり拠点が必要ということで、南予全域を視野に入れますけども、内子町の商店街に、「Nanze(ナンゼ)」という施設があるのはご存知ですかね。商店街組合が整備したところなんですけど、そこの2階に整備しています。これは、県の補助1,000万円を出しております。本施設は2月末、今月末に完成予定で、このOB団体は一般社団法人になっております。地域おこし協力隊のOB団体、一般社団法人になっています。ここの法人では、南予移住のハブ拠点として位置付けて、さっき申し上げたように、「きずな博」や南予ワーケーション事業とも連動しながらですね、移住相談、それから現地案内、併せて継続的な南予移住の促進に集中的にここが取り組むということになる予定でございます。
(愛媛朝日テレビ)
全国の地方自治体がコロナを契機に移住促進に力を入れる中、県としてはどう差別化を図っていきたいと考えているのか。
(知事)
そうですね、背伸びする必要はないと思うんですけども、元々、暮らすことについては優位性があると思います。例えば、災害が少ない、気候が温暖である、雨が少ない、空港と街中が近い、家賃が安い、余暇時間が長い、通勤時間が短いというところについては、もう全国1位、2位の指標として既にあるわけでありますから、そうした実態というものを伝えていくことによって受け止められていくのではないかなというふうに思います。本当にどちらかといえば、過去の愛媛県というのは宣伝下手なところもあったとも思いますので、その良さというものを素直に出していけば、選択肢の上位に入ることは、僕は間違いないというふうに思っています。
(愛媛新聞)
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長の方が女性に関する発言で引責辞任した。辞任すべきだったかどうかなど受け止めはどうか。
(知事)
これは直接タッチしているわけではないですから、前も申し上げましたように、本当にどの状況の中でどのような流れの話の中でのことなのかというのは細かいことは分からないんですね。ニュース等で見る限りの断片的な情報しか分かりませんから、やっぱりその断片的な情報で、あれこれコメントするというのはちょっと自分としてはどうかなというふうな思いがあります。ただ、さまざまな批判というものが、総合的な情報を得ての批判が大半なのか、断片的な情報に基づく批判が大半なのかも分かりません。ただ、今SNS等々、インターネット等で自由に意見が言える時代で、その中でその批判が大きくなったということを受けて、組織の、オリンピックの開催のことも含めてですね、考えられてご決断されたのかなというふうには思いますけどね。
(愛媛新聞)
後任の会長選考も行われているが、具体的な名前というよりも、どういった人物像、どういった人が会長になってほしいというのがあるか。
(知事)
よくね、女性であるとかジェンダーであるとかアスリートであるとかとニュースでは見るんですけども、僕はそういうのはあんまり関心なくて、要は、会長ということになると何をやっても賛否両論ありますから、マネージメントがしっかりできて、そして、全員の賛同を得られるなんてことは難しいと思いますので、批判も責任者として一手に引き受けられる度量、こういったものが必要なんじゃないかなというふうに思いますけどね。イメージだけで選考されるのは危険だと思います。
(朝日新聞)
東京オリンピック・パラリンピックに関連して、島根県知事が聖火リレーに協力することは難しいというような発言があったが、そのことについて、どのような考えか。
(知事)
いや、どういう意図かが分からないので何ともコメントのしようがないですね。オリンピックが開催されるか否かというのは、これはもう国の行事、東京という名前が付いていますけど、国の大きな行事ですから、最終的にはそこが判断するということになろうかと思います。そういう中で、コロナの収束というのがこれは当然落ち着いているという状況が前提になるんだろうけれども、その中であと数カ月の間にどのような状況になっているか今の段階では国の情報は分かりません。それから、ある程度というのがどの次元なのかということも議論がまだ煮詰まってないと思いますし、このステージだったらどういうやり方があるんだろうかというのは当然委員会が決めていくんだろうと思いますけども、そういった中で開催するかどうかというのは決まっていくのだろうと思います。今の段階というのはまだ模索中ということで、ワクチンの問題も含めてですね、開催に向けての準備というのをしている段階でありますから、特に愛媛県としては今どうだということはございません。
(朝日新聞)
今後の国の対応、動きを待ってと。
(知事)
そうですね。オリンピックに関してはわれわれ権限があるわけではないですから。
(朝日新聞)
島根県の知事の発言の趣旨というのは、沿線の感染対策を含めたいろんな議論がなかなか前に進まないという中で、このままではリレーの開催は難しいんではないかというような趣旨の発言だったかと思うのだが、そういう感染対策を含めた議論としては、どういった受け止めか。
(知事)
具体的に、どの部分が進んでいないかというのを示していただけると議論になるんですけど、漠然と進んでいないという話以上のものがあったのかもしれないので、それを言っていただけたら議論、コメントのしようがあるんですが、漠然とした中の発言だけでどうだと言われても何とも言えないですよね。ただ、一般的に感じることは、ちょっと懸念しているのは、前々からも申し上げていますとおり、東京都と神奈川県については、保健所の濃厚接触者の調査がもうできないと、行われていないということは非常に懸念材料です。それは地方ではやれていますので、そこに大きな違いがあるというのは間違いないと思います。ですから、それらも含めて大都市でどうするのかというのを地方並みの安全度を高めるような取り組みをしっかりと見せてほしいという気持ちがあったのかなと。その点については一緒です。
(テレビ愛媛)
先日、東北の方で地震の方があったかと思うが、あらためて何か愛媛県の防災対策について思われることは。
(知事)
今回震度6という極めて大きな規模の地震で、本当に心からお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。ただ、規模が大きかったんですが、被害は最小限に食い止められているというような状況ももちろんあるんですけども、大規模な被害が拡大しているということではないようなことで、その背景にはやはりこれまでの経験が生きているのかなと。例えば、個人個人においては、倒れないよう家具をしっかり止めたりですね、防災グッズを整備していたり、企業においては速やかに立ち上がれるような耐震化の工事が施されたりですね、やっぱり経験が生きているからこそ、その被害の状況も変わってきてるんだなということは感じます。そういうことで、平時において過去の教訓を生かしながらやれるべきことをやるということが本当に大事だということをあらためて感じています。