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令和元年度11月知事定例記者会見(令和元年11月5日)の要旨について
日時:令和元年11月5日(火曜日)
11時22分~12時04分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
台風19号の被災地に対して、本県から先遣隊の職員を派遣するなど、被災地支援を行っているが、現時点での支援状況と、今後の見通しはどうか。また、今回の台風では、浸水想定区域外や土砂災害警戒区域外等の地域で大規模な被害が発生しているが、今後、どのような点に力を入れて本県の防災対策を進めていくのか。
(知事)
台風19号の広範囲にわたる甚大な被害、ニュース等の報道に触れますと、昨年の西日本豪雨災害、これはわれわれが大変な被害を受けたエリアだったわけでありますが、本当に全国から多大なご協力、義援金やボランティアや一般の皆さんにも大変大きなご協力をいただきました。それを受けた立場として本当に可能な限りの支援を行わなければならないという思いを持っています。そういった気持ちは、総務省であるとか知事会であるとかこういったところにも伝えていましたが、総務省から本県を含めた四国3県、愛媛、高知、香川に対しまして、福島県本宮市への対口支援要請が正式にまいりましたので、速やかに対応させていただいた次第です。
本宮市は阿武隈川の氾濫により7名の方がお亡くなりになっています。いまだ被害の詳細は判明していない中で、まず要請があった翌日、(10月)18日でありましたけれども、すぐに防災局長をトップとする先遣隊3名を派遣させていただきました。この先遣隊は被災状況の把握、本宮市幹部への支援ニーズの聞き取り、そして応援職員の派遣調整、さらには罹災(りさい)証明書の発行事務に関する助言等を行ったところでございます。
次に、先遣隊を通じて伝えられた本宮市からの要請を受けまして、4日後の22日には避難所運営や災害廃棄物の集積業務に従事するため、応援職員第一陣として県職員10名を派遣しています。さらに28日から派遣した第2陣からは、市町の職員も加わっていただきました。12名体制で避難所運営等の業務のほか、新たに住家被害認定調査および応急仮設住宅の受付・相談にも従事しておりまして、今月末までの予定で第7陣におよぶ県41名、市町職員41名の合計82名の派遣を予定しています。
そのほか、別のルートで厚生労働省からの要請がありましたので、27日から保健師等4名を被災住民の健康管理支援のため本宮市に派遣しており、今後も交代要員を派遣することとしています。
災害対応が進むにつれまして、本宮市のニーズも、われわれの経験からもそうですが日々刻々と変化をしてまいりますので、経験を生かして「オール愛媛」体制によって、昨年全国からいただいた支援に対する恩返しをできる限りしていきたいというふうに思っています。
次に防災対策でありますが、愛媛県においても昨年の西日本豪雨におきまして、浸水想定区域を指定していない河川、あるいは土砂災害警戒区域外で被害が発生しています。それを受けまして、現在、洪水浸水想定区域図の策定や土砂災害警戒区域の指定を推進しているところです。
それ以外の箇所についても、過去の浸水実績などを示した水害リスクマップの公表、水位計や河川監視カメラの増設、土砂災害の緊急速報メールの配信に取り組むとともに、防災意識の向上のため、砂防学習会に加えまして、今年度から新たに水害学習会を開催しているところです。
台風19号では、堤防決壊や越水により甚大な被害が発生していますので、堤防の整備や補強、そして河床掘削などのハード対策をさらに推進する必要があると考えますが、これはお金にも限りがありますので、できるだけスピードアップしていきたいと思いますが、時間はかかるということは残念ながら現実でございます。そういう中で、まずは県民の命を守るということが最優先ということで、情報についても、伝えるという感覚ではなくて伝わる、「伝える」から「伝わる」、そしてまた「住民自らが行動をしていただく」ということを目標にした防災情報の発信、そして避難を促す支援策などのソフト対策を充実・強化するとともに、今後、新たな知見による対策も、いろんな災害の度に出てくると思いますので、これも検討しながら県民の安全・安心の確保に努めていきたいというふうに思っています。以上です。
(南海放送)
かねてから自主防災組織や防災士の方の役割が非常に大切と言っているが、防災士の数は東京都が今1位で、愛媛県は2位だったが、現状はどうか。
(知事)
1万4,000人ぐらいですね。これはもう本当にこだわり続けた愛媛ならではの取り組みではないかなと思うのですけれど、元々これは松山市長時代に松山市で始めたことなんですけども、やはり大きな被害が起こると、消防にしろ、消防団にしろ、人数が限られていますから、大規模災害の時というのは初動で駆けつけることは、人数的にも無理であります。となると、これまで起こった震災を見ても、一番初動で力を発揮するのはやはり隣近所の助け合いにあると。その隣近所の助け合いにあるのであれば、それが組織化されて日頃から訓練を積み重ねることができれば、そしてまたそれが継続するためにリーダーが誕生すれば、より一層救命率等も高まるんじゃないかというところの議論からスタートしました。当時も防災士はまだ産声を上げてそんなに経ってなかった時期だと思いますけども、これはいいなと思ったんですけれども、当時は東京でしか試験ができない、(講座で)4日ぐらい拘束をされる、最後に試験を最後受けていただく、費用がかかると。これでは四国で防災士を増やすことは無理だろうというふうに思いましたので、その防災士を束ねている団体と交渉しまして、初めて東京外の松山市で試験を行っていただくということがスタートしました。その時に大問題になったのが、それでも松山で受けても日程の関係や試験、費用を考えるとなかなか難しいのかなというので、公費助成ということを検討しました。その時に当初の案というのは半額助成だったんですけども、半額助成でもこれを受けてくれる人いるんだろうかと。でも個人の資格に公費を入れるというのはやはり慎重にならざるを得ないところがありましたので、一つのルールを作りました。それは、自主防災組織の推薦を条件にすると。自主防災組織の推薦を条件に受けていただいた方々に対しての費用は公費負担全額という制度にしたんですけども、地域の推薦があればそれは個人の資格ではあるけれども公の資格になるのではないかという考え方だったんですね。その結果、松山市は当時、今もそうだと思いますけれども、全国の1700市町の中で一番多い、横浜や名古屋よりも多い防災士数を数えるに至りました。県でも、全県下でできないかということを考えたんですけれども、そこで同じ方法でさらに受講費を安くしてくれという交渉を県職員がやってくれまして、かつ、県だけじゃなくて市町との共同事業にしようということで、費用については、県と市町で分担する制度を作りまして一気に呼びかけを行ったところ、大変多くの方々がそれを受け止めていただきまして、(養成講座の)受講・受験をしていただくようになりました。ですから、人口比で言ったら東京都、人数だけで単純に比較できないと思うんですけれども、突出して多い防災士数になっています。(最新の防災士の)数字分かる。言って。
(防災安全統括部長)
今年の10月末の数字でございますけれども、東京都が1万5,228人、愛媛県が1万3,571人で第2位という状況でございます。
(知事)
3位は。
(防災安全統括部長)
3位は大分県で1万509人でございます。
(知事)
4位になるとドンと下がるでしょう。
(防災安全統括部長)
4位は大阪府で6,385人です。
(知事)
そんな感じなんですよ。突出して多い人数になっていますので、そこの地域力こそが初動体制において一番大きな力になるんじゃないかなというところを狙って呼び掛けを行っているところです。
(愛媛新聞)
派遣の予定は今月末まで行われる予定だが、その後は何か(支援の)予定はあるのか。
(知事)
もちろんその後も含めてですね、ただ先ほど申し上げましたようにニーズがどんどん変わっていきますので、初動段階の救命から次の段階の復旧になってくると避難所の運営であるとか心のケアであるとかこういったことが必要になってくる。復興段階に入ると今度は技術職のニーズが出てくると思いますので、その被災地域のニーズを的確に把握して、タイムリーな人材の供給、われわれもまだ復興途上ですから限界があると思いますけれども、可能な限りの応援をしたいと思っています。
(朝日新聞)
日韓直行便に関して、土曜日に弊誌などが、県幹部が、職員に直行便の搭乗を依頼していて、その規模が600人程度に上っているという報道をしたが、それについての受け止めは。
(知事)
これの何が問題なのかよく分からなかったんですけども、「やりすぎだ」とか、新聞に出ていますが、やりすぎというのは、こういう時に、例えば、県の職員の渡航に公費を投入した、これはやりすぎだと思います。それからもう一つは、「行った」、「行かない」で不利益が生じた、というのならやりすぎっていうのは分かるんですけども、呼び掛けをすることがやりすぎだと言われたら、何もできなくなってしまうのではないかな、というのが率直な気持ちです。もう一つは、ちょっと気になったのがですね、確かにそういう趣旨ではなかったかと思うんですが、活字にされると誤解されてしまうのですが、「苦境はわかるが、県職員の私費で搭乗率を上げるのはおかしい」というコメントが載っているんですが、これ違うとは思うんだけど、一般の人が見るとですね、じゃあ公費で行かせろということかと取られてしまうんですよ。私費で搭乗率を上げるのはおかしいっていう発言は、あの公務員としては絶対言わない方がいいなと感じました。やはり言い方があるのではないかと思うんで、その辺は気をつけなきゃいけないんじゃないかなっていうのが率直な感想です。
ノルマもないですし、さっき言ったように行ったらどうだとか、行かなかったらどうだ、というのはないわけですね。そこまであったら「行き過ぎだ」というふうに批判は受けてもその通りだなと思いますけども。ましてやソウル便のいきさつというのは、非常に色んなことがあったんですよ。かってアシアナ航空が約20年、松山-ソウルを結んでいましたけども、その時に問題になったのは、他の地域ではこれぐらいの補助金が出るんですと、それを出してくれないと困りますというアプローチがあって、もうそうなったら赤字は全部補填しろという話なんですよね。他の地域でそういう判断で路線を維持するというのはありかもしれないけども、愛媛県ではそれはもうビジネスではないんじゃないか、付き合えませんというふうなことで、当然のことながら廃線になるわけですよ。そうなると当時も一部の方からは、県は何をやっているんだ、廃線で、というお叱りも受けます。でもわれわれとしては、そこまで税金を投入してやるべきことなのかという判断で、一時切りました。ただしわれわれの思いを受けてやっていただける航空会社がどこかにあるということを信じて、愛媛DMOに民間出身の方を呼んで、その人のネットワークで探してもらったんですよ。そこでようやく見つかったのが今のチェジュ航空なんです。ですから、そんな補助金の問題じゃないんだと、自分たちはフィットするところ、地方路線は初めてだったんですけども、その思いを受けましょうということで、(松山への)就航に(関しては)社内ではかなり議論があったんですけど、チェジュ航空ってそもそも成田や関西や、大都市しかやってなかったんですが、初めて地方路線を松山でやろうと選んでいただいたんですね。この2年間、韓国から7割、すごく斬新な経営をしていますから、愛媛県に大きなプラスをもたらしてくれた航空会社でもあります。それで、自己の責任によらざる理由、いわば国と国の問題で、今、全国的にも韓国からのインバウンドが激減していますけれども、例えば、よその地域はトップが向こうに行って、路線を維持してくださいよと(お願いしている)ようなニュースは見ましたが、実はチェジュ航空は逆でして、社長さんがすぐに愛媛に来られて、今までインバウンドが7割で、こちらからは3割で、どうもしばらくの間は厳しそうなので、でもいつかは戻ると、だからここは、愛媛から見たらアウトバウンドにぜひ力を入れて欲しいと、またわれわれも頑張るからという、信頼関係というものを積み重ねて路線というのができているんです。これは県庁の職員のほとんどは知ってくれていると僕は信じています。県庁の職員は、自分の仕事だけじゃなくて、職員たるものは全体の大まかな動きを把握して仕事してくれていると僕は期待をしているし、信じていますので、その仲間の部局が苦境であるならば、呼び掛けたら、行けるのなら私が行きましょう、という職員はたくさんいると思うので、全員じゃなくてもいいですよ、行ける人が行ってくれたら、それだけの話なので、公費を投入しているわけでもないし、行かなかった人にマイナスをもたらしたわけでもないので、どうなのかというのが率直な気持ちです。
(朝日新聞)
公費を投入してなくて、ノルマでもないが、結果として、その人数を割り当てて、課によって配分を決めた結果、強制というふうに受け取ってしまったと。
(知事)
人数割り当てと言うのではなくて、目標を掲げるのは当たり前じゃないですか。だって、相手さんがそこまで、これまでの積み重ねの上で、路線を開設してくれた、それで社長さん自らがここは厳しいので頑張って欲しい、じゃあみんなどうしよう、県職員だけではないと思いますけど、じゃあこれぐらいの人数があれば、アウトバウンドで言えば、何とかしのげるのではないかっていう目標を立てないんですか、そういう時。僕は立てるのが当たり前だと思いますけどね。かつ、何も県職員だけじゃなくて、県民の皆さんにも呼び掛けているわけですよね、こういう状況だから。まずやっぱりそれを呼び掛けるわれわれが汗をかくっていうことが僕は大事なんじゃないかなと思うので、その中で、それだったらたまたま行くから行こうかな、とか、そんなに苦しいのだったら、逆に行かなきゃと行く人もいます。それぞれでいいんですよ。その中で、これぐらいあったらいいねという目標を持つのは当たり前のことじゃないかなと僕は思いますけどね。
(朝日新聞)
今のお話だと、各課に割り振るというのは。
(知事)
そこ知りません。どういうふうにやっているかは僕は分からない。
(朝日新聞)
具体的な方法について知事は知らなかった。
(知事)
ないし、別にノルマでもなんでもないですから、これぐらいかなということ以外は別に。それでさっき言ったように、行かなかったら何か(不利益が)あるなら問題ですよ。そこはもうどんどん批判されても構わないんだけども、県の重要政策で、まずわれわれが汗かこうよと。この路線があることによって、旅館だって潤うし、レストランだって潤うし、お土産物屋さんだって潤うし、県のためになるんだったら、そのために汗をかくというのは、われわれ公僕の使命だというふうに僕は思っています。
(毎日新聞)
利用予定者の人数を国際交流課に報告させていたと聞いたが、それは何のためか。
(知事)
どこに報告。
(毎日新聞)
ソウル線の目標を割り当てて、この課からは何人行く、この課からは何人行くと国際交流課で集約していたそうだが、それは何のためか。
(知事)
全体の人数を把握するためのみです。それが駄目だったからどうとか、そんな話じゃないし、全体の人数、おたくはどれくらい行けた、おたくはどれぐらいだった、というので全体でこうなったね、というだけの話ですよね。
(愛媛新聞)
過去にもこういった呼び掛けというものはあったのか。
(知事)
あります。
(愛媛新聞)
どういった時にあったのか。
(知事)
もうアシアナ航空の時ですよね。それから中国東方航空の上海便。当たり前のようにあったと思いますよ。そこが問題になったこともないし、そこで行った、行かないで、人事上何かがあったなんてこともありませんし、ちょっと大変だから行ってくれないというだけの話ですよね。
(毎日新聞)
同じように人数を振り分けて、アシアナ航空の時もそのようにしていた。
(知事)
これくらいどうかなっていうのはあるかもしれないですよね。別に、先ほど申し上げましたように、強制とかではない、ノルマでもない、ペナルティもない、公金・税金を使うわけでもない、これで行き過ぎだって言われたら何もできないじゃないですか。もし、これを何も手を打たずに、搭乗率がどんどん下がって、また同じようにソウル便は減便です、もしかしたら廃止になりますっていった時に、この行き過ぎだって言われたこの専門家の方はどう言われるかっていったら、県は何してたんだっていうふうになるんですよね。だから、僕はそういう意見で左右されるよりは、やっぱりチェジュ航空の今までのいきさつ、それから本当にこの数か月が大変なんだという社長自らが来られた誠意、そういったものに応えていくということが信頼強化、長いお付き合いにつながるんじゃないかなというふうには僕は思っています。それが人間じゃないかなと思いますね。
それに、私は時間があるからいいよっていう人が自然に出てくればそれで良いし、ちょっと私は時間的にも行けないねっていう人がいるのもそれでも良いし、呼び掛けというのはする必要はあると思っています。
(あいテレビ)
京都市が、吉本興業に市のイベントをお金を払ってPRしてもらったということだが、知事はどう考えているか。
(知事)
他市のやることにどうのこうのというのはないですけど、うちではやりません。
(あいテレビ)
県は国と連携していろいろと影響力のある人、ブロガーを招聘(しょうへい)していいると思うが、効果はどのように考えているのか。
(知事)
効果は、ちょっと今回のとは違うと思うんですけども、やっぱり有名ブロガーというのは、見ているフォロワーが多い人たちをちゃんと確認を取っての招聘なんですね。その人たちがいいなと思ったことを発信すると、その後ろにいるフォロワーに一気に伝わるという情報伝達力というのが大変高いと認識していますので、例えば、海外の有名ブロガーで、フォロワーをたくさん持たれている方を招聘してやるというのは、費用対効果から見ても効果はあるというふうに判断します。
ただ今回の場合は、1個何かコメントしたらいくらという話ですよね。それは県ではやるつもりはないですね。
(あいテレビ)
ブロガーの効果というのは。数値的なものは。
(知事)
やっぱり、これは分かりません。ある意味では視聴率とか、それから新聞の購買数とかそれに類するものなんで、それは分からないです。
(南海放送)
沖縄の首里城が全焼したが、それを受けて具体的に愛媛県としての取り組みがあれば。
(知事)
市町も絡んでの話だと思うんですけれども、あのまずは何よりも首里城という沖縄にとってかけがえのない文化遺産が焼失したことは本当に沖縄の皆さんにとっては、心のショックは計り知れないと思いますので、何よりもお見舞いを申し上げたいと思っています。どこの地域にもその地域の歴史あるいは伝統を彩る大切なものがあると思いますので、特にこの文化財というのはその象徴だと思いますから、県内においてもそういったことが起こらないように万全を尽くすことは大事だと思っています。
ノートルダムはいつごろ。
(防災安全統括部長)
今年の4月。
(知事)
4月にノートルダムの焼失火災事故がありましたよね。それを受けて点検しています。まずは問題ないという結果が出ているんですが、今回の事故を受けて、もちろん、再度、現状でどうなのかという再確認はしていきたいと思っています。
(愛媛新聞)
点検しているというのは何を点検しているのか。
(知事)
火災に対する、例えば防火体制であるとか、そうした施設面での問題で100パーセントというのは無理だと思うんですけど、文化財というのは勝手に触れないという問題がありますので、その範囲の中になってしまいますけれども、最善の体制ができているのかどうかという点検です。
(愛媛新聞)
県の文化財を検査している。
(知事)
市町も含めて一緒になってやれたらいいんじゃないかと思っています。
(愛媛新聞)
ソウル線の話に戻るが、9月の搭乗率が60パーセント台ということだが、新たな搭乗率向上策は考えているのか。
(知事)
まず、今の60パーセントというのは、標準タイプだと思うんですね。これまでの普通の機材で通常運賃というのを前提にすると、搭乗率60パーセントがおそらく採算ラインだと思うんですが、僕もこの業界はあまり知らなかったんですけども、最近は最新鋭の機種というのは実は燃費がめちゃくちゃにいいんですね。そうすると運航コストがすごく下がるんですよ。ですから、このクラスになると、確実とは言えませんけれども、たぶん50パーセントぐらいが採算ラインなんですよ。その分運用コストが下がっていますから。ところがですね、LCCの場合は逆なんですね。運賃が安いですから、搭乗率が大体70パーセントぐらいだと思います。ですから、通常が60パーセント、最新鋭機で50パーセント、LCCが70パーセントぐらいが採算ラインかなというのが僕の素人なりの感触です。ですから、チェジュの場合はLCCですから、70パーセントというのが一つ見ておく必要があるのかなというふうに思っています。
他の地域の航空会社についても、いろいろと可能性は複数打診をしています。まだ形にはなっていませんけれども。ただここはまずは、もしやるとしてもチャーター便ってどんな状況か、台北便もそうでしたけれども、チャーター便を飛ばすというところから感触を見つけていくということになるんじゃないかと思います。
それともう1つは、先ほど申し上げましたように、航空会社によっては、要は条件闘争ですから、これぐらいやってくれないと嫌だとかというところもあるんで、まあ向こうもビジネスですから、一番手っ取り早いのは、赤字が出ても税金でフォローできるような呼び掛けをするところはすぐに飛んでくれます。
(南海放送)
政治の話になるが、衆議院愛媛4区の山本公一代議士が引退を表明され、後継者問題が今、課題となっているが、昨年、西日本豪雨で大きな被害を受けた選挙区で、後継でなくても、どういった方が4区で選ばれる代議士として適格かというイメージ像のようなものはあるか。
(知事)
まず一つは、今の人口動態の変化から、衆議院も選挙区の区割りであるとか定数配分が随分変わりました。端的に言うと東京を中心とする都市部の議員の数がどんどん増えて、圧倒的な面積を占める地方の代弁者たる国会議員は減少しています。議論を聞いてると、本当に東京中心、大都会中心の政策展開につながる環境が産みやすい状況になっています。もちろん地方分権が進んで、国と地方の役割分担、これは権限、それから財源も含めて明確にすればそれでもいいと思うんですね。逆にそうなるべきだとも思います。でも、現実、地方分権は道半ばどころか最近は停滞気味ですから、この状況下で圧倒的な国土の面積を占有してる地方の声が国政に届かないというのは非常に危機的な状況だと思っています。
今、話に出た山本公一議員さんは、私の知る限り本当に地域第一、南予は特に一次産業中心ですから、そういった声と現場を大事にする活動を地道にやって、目立ちはしないけども地道にやっていただいた方だったので、本当に次期選挙に出馬しないというのは残念でなりません。
願わくば、これはもうそれぞれの政党が、どういう候補者を出すかっていうのは決めることなので、私がとやかくいう話ではないと思いますが、誰にせよ、山本公一さんのような地域第一の意思をしっかり継いで、持った方。そして、愛媛県を踏み台にして自分が議員になるような感覚の持ち主にだけはなって欲しくない、それだけです。
(愛媛新聞)
大学入試への英語民間検定試験の導入の見送りについて、国は先日、経済格差とか地域格差とかの指摘を受けて英語民間検定試験の導入の見送りを発表した。県としても同様に対応してきたと思うが、知事としての受け止めを。
(知事)
ずいぶん早い段階で、ニュースにも取り上げられていましたから、本当に国がこれをやるとするならば準備をしなきゃいけないだろうと。これは、いい悪いは別として、国がそういうふうにすると発表したわけですから、その中身というのは、来年の4月から12月の間に大学入試センターが認定した7種類の民間試験を活用すると。これは国の方針です、というのが打ち出されていたわけですね。だとするならば、先ほど申しました、本当にこれでいいのかという議論があったと思う。そういう思いもありましたけど、制度をそうしてしまうのであれば、受験生のために準備をするのが県の仕事なのかなと思っていましたので、僕が直接、教育委員会の政策に踏み込むことは限界があるんですけれども、一応、総合教育会議でもですね、そういったことを国がやるんであれば、準備はすべきだと早い段階で言っていましたので、それは、教育委員会の方でも考えながら、今日に至っていると思います。
ところがですね、ここへきて突然延期ということになりました。試験実施の延期論が浮上し、混迷を深めた、先日の文科大臣の「身の丈」発言があって、これはもう、受験生に対する不用意な発言と言われても批判のそしりを免れないと思います。ID発行の申し込みの開始日ですよ。ここで見送り決定とはいったい、これはどうなっているんだ、というのが正直な感想です。大変、遺憾だと思っています。
これを受けてですね、一番戸惑っているのは受験生ではないかなと。それから、国が決めるということで、準備をした学校現場、それを心配する親御さん。多くの人たちが、本当にそういう共通した思いを持たれていると思いますので、何ができるか私も今、この場で、というのは分からないですけれども、そういったところのフォローを、可能なことがあればやらなければいけないなという思いがあります。今のところ、表立った混乱というのは寄せられてはいないですけども、それは声を上げないだけであって、おそらく、現実、直前でバンっと変わったわけですから、「えっ」という戸惑い、どうしようという思いを持っていると思いますので、こういう表立った混乱がなくても、そういう人たちがいるということを前提に、向き合っていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
(愛媛新聞)
政府の方は2024年度をめどに、新制度導入を検討しているようだが、どのようなことを求めるのか。
(知事)
そうですね、今回、地理的な条件でどうなのかとか、あるいは、経済状況でどうなのかとか、いろんな議論が起こっているわけですから、本当、今度やるのであれば、そういうこともきちっと、公平性というふうなことでクリアできる体制を、2024年と自らが設定したわけですから、それまでに間に合うように、制度設計はきちっとやっていただきたいと。もう、それに尽きます。
(愛媛新聞)
県の原子力防災訓練があったが、今のところ、新たな課題とか、訓練全体で出てきたものはあるか。
(知事)
僕も全体を自分が体感、体験している訳じゃないので、検証、第三者の評価というものを待ちたいというふうに思っています。ただ、例えば行くことによって、僕は今回、船で八幡浜の大島から八幡浜沖への避難ということに参加をさせていただきました。それだけでもいろいろなものが見えてくるんですね。例えば、接岸できないような場所でも、小型の輸送艇を使えば10人から20人は送れるんだなと。初めて分かったんですが、去年は波浪の問題で海が荒れていたんで中止になったんですが、実はできたそうなんですね。できたんだけども、もしものことがあっちゃいけないんで中止にはしましたと。多少の波でもいけるというのは、担当者から聞きました。ただし、乗ってみて分かったのは、難しいのは乗船と下船の時で、この時は、ある程度の年齢の方は必ず2人くらいのサポートがないと危険だと。そこのマニュアル化は徹底する必要があると。それから、今回はそんなに揺れてはいないですが、去年ぐらいの波浪状況で出した時には揺れはもっとひどくなるので、その時に、あの船はベルトのようなものは付いていないんですね。だから、それは必須なんじゃないかなということで、例えば、海上自衛隊の方にそういう要請とか、こんなの考えた方がいいんじゃないですかとか、現場からの声を届けてもいいのかなと思ったりもしました。
それからもう一つは既存の電波を活用したドローン。これも全然問題なく、やりようによっては活用できるんだなというのを今回の運用で実感しました。ただ、あの電波は事業者しか使えない訳ですよね。今回のこうした試験の運航によって活用できるのであれば、どういうところまで広げられるのかという議論に結び付けていけば、安価なコストでドローン活用というのを拡大できるんじゃないかなというふうに感じましたので、そんなことも今後詰めていきたいと思っています。