愛媛県栄養塩類管理計画（案）の概要

第1　計画策定の背景

• 瀕死の海と呼ばれるほどに水質汚濁が進行した瀬戸内海は、法に基づく排水規制や生活排水処理施設の整備等により、一定程度、水質が改善
• 気候変動による水温上昇等とも相まって、栄養塩類（全窒素及び全燐）の不足を一因とした水産業への影響が指摘されており、本県でも養殖ノリの生産量減少や色落ち等が課題
• ​令和３年に一部改正された瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、栄養塩類管理計画を策定し、栄養塩類増加措置を計画的に実施することで、豊かな海を目指す。

第2　栄養塩類増加措置の実施

対象海域

燧灘：養殖ノリの生産量の減少や色落ちが発生しているノリ養殖漁場地区周辺
伊予灘：海藻の生産量が減少している伊予灘の沿岸域であって共同漁業権の範囲

増加措置者と増加措置方法

燧灘：ノリ養殖漁場地区の沿岸域にある2つの下水処理施設が季節別運転管理
伊予灘：伊予灘沿岸域にある6つの汚水処理施設が通年増加運転管理

ただし、夏季は水温上昇に伴う水質環境の悪化に留意し、必要に応じて増加措置中止など柔軟に対応

水質の目標値

対象物質：全窒素
水質の目標値（上限）：1Lあたり0.3mg

対象物質：全燐
水質の目標値（上限）：1Lあたり0.03mg

栄養塩類増加措置実施者

西条市

• 西条浄化センター
• 東予・丹原浄化センター

松山市

• 北条浄化センター
• 西部浄化センター

松前町

• 松前浄化センター

伊予市

• 伊予市下水浄化センター

伊予市松前町共立衛生組合

• 塩美園工場

伊方町

• 鳥津処理場

第3　海域シミュレーション（事前評価）

​​燧灘

全窒素は、環境基準点で一定増加するが、環境基準の達成は維持される。
全燐は、環境基準点で一部超過するため、数値変動を慎重に確認する必要がある。

伊予灘

全窒素及び全燐とも、環境基準点で一定増加するが、環境基準の達成は維持される。

第4　モニタリング計画と結果の評価

周辺環境のモニタリング​

対象海域及び周辺海域にある環境基準点で全窒素、全燐及びCODを最大月１回調査

栄養塩類増加措置による効果検証

燧灘

ノリ養殖漁場内で全窒素、全燐、ノリの色調をノリ養殖漁期に最大週１回調査
ノリの養殖生産量を年１回調査

伊予灘

海藻類の生産量を年1回調査

モニタリング結果の評価

各環境基準点の年間平均値を水質の目標値と比較し、達成状況を評価
過去の調査結果と比較し、栄養塩類増加措置の影響を評価

第5　計画の順応的管理

　モニタリング結果を定期的に環境審議会及びワーキンググループに報告し、必要に応じて計画を見直す。

※ワーキンググループは、関係市町や関係漁協等から意見聴取するため、令和5年10月に湾灘協議会の枠組みを活用して設置したもの

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