本文
愛媛県社会的養育推進計画(案)の概要
基本方針
社会的養育において優先的に考慮すべきは、こどもの最善の利益であることを共通認識とし、こどもの安全確保を最優先とした上で、家庭支援を図るとともに、代替養育が必要な場合には、里親やファミリーホーム、施設、市町等の関係機関の協力の下、家庭養育優先原則を念頭に、こども一人ひとりの意向を踏まえた方針決定ができる体制を整備する。
策定項目
- 社会的養育の体制整備の基本的考え方及び全体像
- 当事者であるこどもの権利擁護の取組(意見聴取・意見表明等支援等)
- 市町のこども家庭支援体制の構築等に向けた取組
- 支援を必要とする妊産婦等の支援に向けた取組(新規項目)
- 各年度における代替養育を必要とするこども数の見込み
- 一時保護改革に向けた取組
- 代替養育を必要とするこどものパーマネンシー保障に向けた取組
- 里親・ファミリーホームへの委託の推進に向けた取組
- 施設の小規模かつ地域分散化、高機能化及び多機能化・機能転換に向けた取組
- 社会的養護自立支援の推進に向けた取組
- 児童相談所の強化等に向けた取組
- 障害児入所施設における支援(新規項目)
計画期間
令和7年度(2025年度)から令和11年度(2029年度)まで
主な目標値
里親等委託率(代替養育を必要とするこどものうち、里親・ファミリーホームに委託されたこどもの割合)
国の目標値は乳幼児75%以上、学童期以降50%以上
以下、現況値は令和5年度末時点
3歳未満
現況値29.6%、令和7年度46.2%、令和9年度64.0%、令和11年度83.3%
3歳から就学前
現況値38.8%、令和7年度46.5%、令和9年度58.5%、令和11年度76.9%
学童期以降
現況値29.4%、令和7年度29.9%、令和9年度39.2%、令和11年度51.7%
全体
現況値30.5%、令和7年度32.2%、令和9年度42.3%、令和11年度55.7%
こどもの最善の利益の実現を最優先に考慮し、数値目標達成のために機械的に代替養育の環境を決定するものではありません。
計画の内容
1 基本的考え方
基本方針をベースに、家庭養育優先原則とパーマネンシー保障の理念に基づくケースマネジメントを一層徹底していくため、令和4年改正児童福祉法を踏まえ、児童相談所や市町、里親、ファミリーホーム、施設等の体制整備を計画的に推進。
※パーマネンシー保障
こどもの最善の利益を図るための「永続的な家族関係をベースにした家庭という育ちの場」を保障すること。
2 推進項目(柱)
- 虐待の未然防止と親子関係再構築支援
- 代替養育を必要とするこどものニーズに応じた適切な支援
- 当事者であるこどもの権利擁護
計画の内容
代替養育を必要とするこども数の見込み
20歳未満人口推計(国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計を基に作成)
令和6年 193,345人
令和7年 188,517人
令和8年 184,138人
令和9年 179,759人
令和10年 175,381人
令和11年 171,002人
代替養育を必要とするこども数(20歳未満人口に占める代替養育を受けているこども数の過去5年の平均割合である0.244%を基に、潜在的需要を加味して算定)
令和6年度 494人
(3歳未満:27人、3歳から就学前:44人、学童期以降:423人)
令和7年度 481人
(3歳未満:26人、3歳から就学前:43人、学童期以降:412人)
令和8年度 470人
(3歳未満:26人、3歳から就学前:42人、学童期以降:402人)
令和9年度 459人
(3歳未満:25人、3歳から就学前:41人、学童期以降:393人)
令和10年度 448人
(3歳未満:25人、3歳から就学前:40人、学童期以降:383人)
令和11年度 436人
(3歳未満:24人、3歳から就学前:39人、学童期以降:373人)
推進項目1 虐待の未然防止と親子関係再構築支援
策定項目3 市町のこども家庭支援体制の構築等に向けた取組
主な内容
- 市町のこども家庭センター設置を促進するとともに、人材育成や家庭支援事業の充実を支援します。
- 民間の児童家庭支援センター設置を促進し、児童相談所の在宅指導委託を推進します。
地域資源の整備方針
- こども家庭センター設置市町数を、令和6年度の8市町から令和8年度に20市町にする。
- 児童家庭支援センターの設置数を、令和6年度の1施設から令和11年度に4施設にする。(松山、今治・上島、八幡浜・大洲圏域に新設)
策定項目4 支援を必要とする妊産婦等の支援に向けた取組
主な内容
- 予期せぬ妊娠等で困難を抱える妊産婦等に対し、市町等の関係機関と連携し、妊産婦等生活援助事業等を活用しながら切れ目のない支援に取り組みます。
地域資源の整備方針
- 妊産婦等生活援助事業所数を、令和6年度の1施設から令和11年度においても同数を維持する。
- 特定妊婦等の支援関係職員への研修を、令和6年度は未実施であったが、令和7年度から令和11年度まで各年度1回実施する。(受講者数60名)
策定項目7 代替養育を必要とするこどものパーマネンシー保障に向けた取組(うち親子関係再構築支援の取組)
主な内容
- 児童相談所と市町が連携し、研修等により親子支援の専門性向上を図りながら、在宅支援や家庭復帰前後における親子関係再構築支援の充実・強化を図ります。
地域資源の整備方針
- 親への相談支援等に関する児相職員への研修を、令和6年度は未実施であったが、令和7年度から令和9年度まで各年度1回実施する。(導入研修及び専門研修の受講者数延べ30名)
※保護者支援プログラム資格取得者数:各年度10名
推進項目2 代替養育を必要とするこどものニーズに応じた適切な支援
策定項目7 代替養育を必要とするこどものパーマネンシー保障に向けた取組(うち特別養子縁組等の推進)
主な内容
- 児童相談所のケースマネジメントを徹底し、特別養子縁組を一層推進するとともに、関係機関の相談支援体制を強化します。
地域資源の整備方針
- 児童相談所関与の特別養子縁組の成立件数を、令和5年度の8件から、令和7年度から令和11年度まで各年度6件を見込む。
※当該6件は目標値ではなく、令和元年度から令和5年度までの特別養子縁組成立件数の平均値を計上している。
策定項目8 里親・ファミリーホームへの委託の推進に向けた取組
主な内容
- 県下全域での里親支援センターによる包括的な里親養育支援体制を構築し、里親等への委託を推進します。
地域資源の整備方針
- 里親世帯数を、令和5年度の322世帯から毎年度34世帯増加させ、令和11年度に526世帯にする。
- 里親等委託率を、令和5年度の30.5%から令和11年度に55.7%にすることで、国目標を達成する。
策定項目9 施設の小規模かつ地域分散化、高機能化及び多機能化・機能転換に向けた取組
主な内容
- 各施設の実情を踏まえ小規模化・地域分散化を推進するとともに、養育の専門性を活かして高機能化及び多機能化、機能転換を推進します。
地域資源の整備方針
- 里親支援センターの設置数を、令和6年度の2施設から令和7年度に3施設にする。
- 児童家庭支援センターの設置数を、令和6年度の1施設から令和11年度に4施設にする。(松山、今治・上島、八幡浜・大洲圏域に新設)(策定項目3の再掲)
なお、里親支援センターと児童家庭支援センターともに、運営主体は社会福祉法人に限定しません。
策定項目10 社会的養護自立支援の推進に向けた取組
主な内容
- 社会的養護経験者等の実情を把握し、対象者の意思を最大限に尊重しながら、ニーズに合った支援が受けられるよう、関係機関が連携した切れ目のない自立支援に取り組みます。
地域資源の整備方針
- 社会的養護自立支援拠点設置数を、令和6年度の5か所から令和11年度においても同数を維持する。
- 児童自立生活援助事業実施か所数を、令和6年度の16か所から令和11年度に19か所にする。
代替養育を必要とするこども数の年齢・措置先別の見込み
代替養育を必要とするこども数の見込みを基に、各児童相談所において令和6年6月現在の個々のこどもの状況を踏まえ、里親等委託が望ましいと評価したこどもの割合について、3歳未満は83.3%、3歳から就学前は76.9%の達成を目指す。
乳児院
3歳未満
令和6年度16人、令和7年度14人、令和8年度12人、令和9年度9人、令和10年度7人、令和11年度4人
3歳から就学前
令和6年度10人、令和7年度9人、令和8年度7人、令和9年度7人、令和10年度6人、令和11年度5人
合計
令和6年度26人、令和7年度23人、令和8年度19人、令和9年度16人、令和10年度13人、令和11年度9人
児童養護施設
3歳から就学前
令和6年度16人、令和7年度14人、令和8年度12人、令和9年度10人、令和10年度7人、令和11年度4人
学童期以降
令和6年度298人、令和7年度289人、令和8年度265人、令和9年度239人、令和10年度211人、令和11年度180人
合計
令和6年度314人、令和7年度303人、令和8年度277人、令和9年度249人、令和10年度218人、令和11年度184人
里親
3歳未満
令和6年度11人、令和7年度12人、令和8年度14人、令和9年度16人、令和10年度18人、令和11年度20人
3歳から就学前
令和6年度12人、令和7年度15人、令和8年度18人、令和9年度19人、令和10年度22人、令和11年度25人
学童期以降
令和6年度75人、令和7年度74人、令和8年度89人、令和9年度107人、令和10年度126人、令和11年度148人
合計
令和6年度98人、令和7年度101人、令和8年度121人、令和9年度142人、令和10年度166人、令和11年度193人
ファミリーホーム
3歳から就学前
令和6年度6人、令和7年度5人、令和8年度5人、令和9年度5人、令和10年度5人、令和11年度5人
学童期以降
令和6年度50人、令和7年度49人、令和8年度48人、令和9年度47人、令和10年度46人、令和11年度45人
合計
令和6年度56人、令和7年度54人、令和8年度53人、令和9年度52人、令和10年度51人、令和11年度50人
合計
3歳未満
令和6年度27人、令和7年度26人、令和8年度26人、令和9年度25人、令和10年度25人、令和11年度24人
3歳から就学前
令和6年度44人、令和7年度43人、令和8年度42人、令和9年度41人、令和10年度40人、令和11年度39人
学童期以降
令和6年度423人、令和7年度412人、令和8年度402人、令和9年度393人、令和10年度383人、令和11年度373人
合計
令和6年度494人、令和7年度481人、令和8年度470人、令和9年度459人、令和10年度448人、令和11年度436人
推進項目3 当事者であるこどもの権利擁護
策定項目2 当事者であるこどもの権利擁護の取組(意見聴取・意見表明等支援等)
主な内容
- 施設入所等の決定や措置中の処遇に係るこどもの権利擁護を図るため、意見表明等支援事業の導入などこどもの意見を反映する仕組みを構築します。
地域資源の整備方針
-
代替養育を必要とするこども数に占める、意見表明等支援事業を利用可能なこども数及び割合を、令和6年度は事業が未実施であった状態から、令和11年度に436人かつ100%にする。なお、令和7年度から児童養護施設等・ファミリーホームで先行実施し、令和8年度から順次、乳児院や里親家庭へ拡大する。
策定項目6 一時保護改革に向けた取組
主な内容
- 家庭養育優先原則を踏まえ、里親家庭等をはじめ、できる限り良好な家庭的環境を備えた一時保護専用施設への委託一時保護を推進します。
- 一時保護所の質の向上を図るため、第三者評価の実施や職員の研修に取り組みます。
地域資源の整備方針
- 一時保護所委託先の確保数を、里親は令和6年度の79世帯から令和11年度に114世帯、一時保護専用施設は令和6年度の3施設から令和11年度に6施設にする。
- 一時保護所の第三者評価の実施回数を、令和6年度は未実施であった状態から、3年に1回実施する。
策定項目10 社会的養護自立支援の推進に向けた取組(推進項目2の再掲)
(参考)次期社会的養育推進計画策定要領について(出典:こども家庭庁)
現行策定要領
- 国は、平成28年改正児童福祉法の理念のもと、「新しい社会的養育ビジョン」で掲げられた取組を通じて、こどもの最善の利益を実現していくため、各都道府県に、都道府県社会的養育推進計画の策定を求めた。(平成30年7月)
- 各都道府県が計画を策定するに当たって踏まえるべき基本的考え方や留意事項をまとめて策定要領として示したもの。
- 各都道府県は、令和11年度を終期とし「令和2年度から令和6年度まで」「令和7年度から令和11年度まで」の各期に区分して計画を策定。
見直しの背景
- 令和4年改正児童福祉法において、児童等に対する家庭及び養育環境の支援を強化し、児童の権利の擁護が図られた児童福祉施策を推進するための改正が行われた。
- また、これに先立つ令和4年2月の「令和3年度社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」報告書においては、都道府県社会的養育推進計画について、資源の計画的な整備方針のための計画とすべきこと等が指摘されているところ。
これらを受けて既存の計画の見直しを行う必要がある。
主な見直しのポイント
計画期間
- 令和6年度に今期の期末を迎えるに当たり、次期計画は令和7年度から令和11年度までの5年を1期として策定。
項目
- 令和4年改正児童福祉法の内容等を踏まえ体系を見直すとともに、現行の11項目を13項目とする。
※「支援を必要とする妊産婦等の支援に向けた取組」及び「障害児入所施設における支援」を新設。 - 家庭養育優先原則とパーマネンシー保障の理念に基づく支援の在り方を中心に据えた構成に。
計画記載事項
- 現行計画との継続性を踏まえつつ、適切にPDCAサイクルを運用する観点から、項目ごとに、「現行計画の達成見込み・要因分析の内容等」の記載を求める。
- 「資源の必要量等の見込み」「現在の整備・取組状況等」「整備すべき見込量等」の記載を求める。
- さらに、「整備すべき見込量等」について、指定するものについては定量的な整備目標も設定しつつ、「整備・取組方針等」として具体的に記載することを求める。
評価のための指標
- 現行の策定要領においては、評価のための指標は例示となっているところ、次期計画では、各項目ごとに統一的な「評価のための指標」を設定する。
- 各都道府県に、計画の進捗について、毎年度、当該指標等により自己点検・評価を求める。
- 国は、各都道府県の取組の進捗について、毎年度調査を実施し、分析・評価して公表。
お問い合わせ
愛媛県 保健福祉部 生きがい推進局 子育て支援課 少子化対策・男女参画室
TEL:089-912-2413 FAX:089-912-2409