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愛媛県新型インフルエンザ等対策行動計画(案)の概要
○改定の背景
県新型インフルエンザ等対策行動計画(県行動計画)は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、国が策定する新型インフルエンザ等対策政府行動計画(政府行動計画)を踏まえて策定するものである。
政府行動計画は、新型インフルエンザ等による感染症危機が発生した場合に、国民の生命及び健康を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるよう、平時の準備や感染症発生時の対策の内容を示すものとして平成25年に策定された。
令和4年の感染症法等改正等により平時から有事に備えた検査体制や医療提供体制等の構築の準備が推進されるなど、新型インフルエンザ等対策では、平時からの準備の重要性が再確認された。また、改定前の政府行動計画は、一度の感染の波が短期間で収束する新型インフルエンザによる感染拡大を想定しているところ、新型コロナ対応では、短い期間で変異を繰り返し、数年という長期に亘り複数の感染の波に対応する必要が生じた。
これらを踏まえ、今般、政府行動計画が抜本的に改定されたことを受け、県行動計画を改定し、今後、新型コロナウイルスや新型インフルエンザ以外も含めた幅広い感染症による危機に対応できる社会を目指す。
※改正感染症法に基づき令和6年4月に改正した県感染症予防計画とも整合性を図る。
○改定のポイント
1 平時の準備の充実
- 感染症発生時の医療・検査の体制立ち上げを迅速に行う体制を確保
- 国、県、市町等の連携体制の構築
- 実効性ある訓練を定期的に実施
2 対策項目の拡充
- 全体を準備期、初動期、対応期の3期に分けて記載
- 6項目だった対策項目を13項目に拡充し、内容を精緻化
- 偏見・差別等の防止や偽・誤情報対策も含めたリスクコミュニケーションのあり方などを整理
3 幅広い感染症に対する対策の整理と柔軟かつ機動的な対策の切替え
- 新型インフル・新型コロナ以外の呼吸器感染症をも念頭に、中長期的に複数の波が来ることも想定して対策を整理
- 状況の変化に応じて、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえ、柔軟かつ機動的に対策を切替え
4 Dx(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
- Dxの推進や技術革新による対応能力の強化
保健所等の負担軽減、医療関連情報の有効活用、国と県及び市町の連携の円滑化等を図るためDxを推進
5 実効性確保のための取組
- 行動計画に沿った取組を推進するとともに、国が毎年度実施するフォローアップの際に取組状況を点検し、適宜改善を図る
- 国は、感染症法等の計画等の見直し状況やこれらとの整合性等を踏まえ、おおむね6年ごとに政府行動計画を改定する予定であるため、県行動計画もこれに合せて見直しを行う
○行動計画の対策項目の概要(13項目)
1 実施体制
- 国、県、市町、医療機関等の多様な主体が相互に連携し、実効的な対策を講じる体制を確保
- 平時における人材確保・育成や実践的な訓練による対応力強化、有事には県対策本部を中心に国の基本的対処方針に基づき的確に判断・実行
2 情報収集・分析
3 サーベイランス
- 平時から効率的かつ効果的なサーベイランス、情報収集・分析の体制の構築
- 感染症対策の判断に際した、感染症、医療の状況の包括的なリスク評価
4 情報提供・共有、リスクコミュニケーション
- 感染症危機下では、情報の錯綜、偏見・差別等の発生、偽・誤情報の流布のおそれ
- 感染症対策を効果的に行うため、可能な限り双方向のコミュニケーションを行い、リスク情報とその見方の共有等を行い、県民に適切な判断・行動を促す
- 平時から、感染症等に関する普及啓発、リスクコミュニケーション体制の整備、情報提供・共有の方法の整理等
5 水際対策(改定により新規に追加)
- 国が行う水際対策に協力
- 県は、検疫所から情報提供があった発生国からの入国者について、健康監視を実施
6 まん延防止
- 医療提供体制を拡充しつつ、治療を要する患者数を対応可能な範囲内に収めるため、感染拡大のスピードやピークを抑制
- 必要に応じて、各方面に対しまん延防止にかかる要請を実施
- ワクチン、治療薬等の状況変化に応じて対策の縮小・中止を機動的に実施
7 ワクチン(改定により新規に追加)
- 予防接種を行うための体制を整備
- 県および市町が実施する予防接種にかかる情報に加え、国が提供・共有する情報について、県民へ周知
8 医療
- 平時から、県と医療機関等との間での医療措置協定の締結等を通じて、感染症医療提供体制を整備
- 有事には、通常医療との両立を念頭に置きつつ、感染症医療を提供できる体制を確保し、病原性や感染性等に応じて変化する状況に機動的かつ柔軟に対応
9 治療薬・治療法(改定により新規に追加)
- 国が主導する治療薬・治療法の研究開発に協力
- 全り患者の治療その他の医療対応に必要な量を目標として計画的かつ安定的に備蓄
- 国が行う治療薬の確保及び供給に協力
10 検査(改定により新規に追加)
- 必要な者に適時の検査を実施することで、患者の早期発見、流行状況の的確な把握等を行い、適切な医療提供や、対策の的確な実施・機動的な切り替えを行う
- 平時は資材確保・訓練等での体制強化、発生直後は検査体制の早期立ち上げ、流行初期以降は病原体や検査の特性を踏まえた検査実施の方針の柔軟な変更を行う
11 保健(改定により新規に追加)
- 有事において地域の実情に応じた効果的な対策を実施して県民の生命と健康を守る
- 保健所や衛生環境研究所等と協力し、検査、積極的疫学調査、入院調整、健康観察、生活支援等を実施
- 平時から、業務負荷の急増に備え、有事に優先的に取り組む業務の整理、体制や対応の見直しを適宜実施
12 物資(改定により新規に追加)
- 感染症対策物資等が不足する場合、検疫、医療、検査等の実施等が滞る可能性
- 備蓄状況の確認や事業者等への要請等により感染症対策物資等を確保する
13 県民生活・県民経済
- 感染症危機時には県民生活および社会経済活動に大きな影響が及ぶ可能性
- 平時に事業継続等のために必要な準備を行い、有事に安定化を図る
- 国や県等は影響緩和のため必要な対策・支援を行う
お問い合わせ
愛媛県 保健福祉部 健康衛生局 健康増進課 感染症対策グループ
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