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技術相談-窯業技術センター|愛媛県産業技術研究所

ページID:0003832 更新日:2018年5月7日 印刷ページ表示

窯業技術センター-愛媛県産業技術研究所

相談事例

粘土瓦の寸法精度について(粘土瓦製造業)

粘土瓦の寸法精度が要求されるようになってきましたが、製造工程における管理方法を教えてください。

結晶釉について(陶磁器製造業)

結晶釉とはどんな釉薬ですか。また結晶釉の調合及び焼成方法について教えて下さい。

青白磁釉薬の調合について(陶磁器製造業)

近年の釉薬原料の変化により、青白磁釉薬の色調が変わってきたのですが、新しい釉薬の調合はないのですか?

瓦の乾燥について(粘土瓦製造業)

瓦の湿度乾燥とはどういうものですか?また、それを用いた乾燥機について教えて下さい。

鋳込用石膏型について(陶磁器製造業)

鋳込用の石膏型を作りたいのですが、どのような石膏を使い、どのように作ればよいのですか?

粘土の開発について(窯業土石業)

山に粘土があります。やきもの原料として利用できないでしょうか。また、どのような試験項目をチェックしたらよいでしょうか。

粘土瓦の寸法精度について

Q.粘土瓦の寸法精度が要求されるようになってきましてが、製造工程における管理方法を教えてください。(粘土瓦製造業)

A.JISにおいては長さ、幅、いずれも±4mmと規定されていますが、社内規格では±2mm又は±3mmとJIS規格に比較して厳しい寸法精度が行われています。このような傾向は瓦葺き職人の人材不足に起因するものであり、施工しやすい瓦、すなわち、行儀がよく、寸法精度がよい製品が今後ますます要望されるようになってくると思います。さて、製造工程における管理項目の主なものは次の3項目であると思います。

  1. 原料粘土の粒度組成
  2. 成形水分
  3. 焼成温度

この中で特に重要な項目は原料の粒度組成と成形水分であり、これらの管理幅が小さければ、焼成温度幅も自ずと決定されますし、また現在の焼成炉の仕様から判断して、焼成管理は大した問題にはなりません。
まず、原料の粒度組成ですが、使用する原料が天然物であり、従って納入される原料は、大きくバラツキが生じます。一般に原料粘土の粒度組成は、5μm以下の粘土分、5~63μmのシルト分、そして63μm以上の砂分に分けて管理されます。
極力多数種の原料を配合し、それぞれの組成含有比が±5%の幅になるように管理していただければと思います。
次に成形水分ですが、1%水分が多ければ、収縮率は1%大きくなるという実験結果があります。
従って成形水分は悪くても±1%に管理していただきたいと思います。
以上の点に気を付けて管理を行うようにしてください。

 結晶釉について

Q.結晶釉とはどんな釉薬ですか。また結晶釉の調合及び焼成方法について教えて下さい。(陶磁器製造業)

A.陶磁器の釉薬は、一般的に透明釉、乳白釉結晶釉に分けられ、釉薬の表面に大きな結晶が析出した釉薬を結晶釉と呼び、析出した結晶が微細の場合はマット(艶消し)釉となります。結晶釉は高い焼成温度でも低い温度でもつくることができますが、融剤に亜鉛華やドロマイトを用いた釉薬あるいは添加物として酸化チタン、骨灰などを添加した釉薬が、大きな結晶を表面に析出しやすい釉薬となります。しかし、結晶釉は釉薬組成とともに焼成温度、昇温速度、冷却過程など適切にコントロールすることが大切で、それではじめて花模様の外観の結晶を得ることができます。結晶釉の調合は普通の透明釉をつくるときより珪酸は少なめ、場合によってはアルミナ分も少なめにし、アルカリ土類成分が多めの釉薬組成で成功する確率が高くなります。また焼成方法としては、釉薬がよく溶融して均一な融液になるようにやや高めの温度で焼成し、できるだけ結晶の核の生成を少なくし、発生した結晶核を成長させるために、いくぶん温度を下げて1,150℃程度で2~3時間その温度を保つことで大きな結晶に成長します。

結晶釉の釉薬組成(ゼーゲル式)

亜鉛結晶釉

0.17KNaO

0.23CaO

xAl2O3・ySiO2

0.60ZnO

結晶釉についての画像

参考文献:陶磁器釉の科学(高嶋廣夫著)

 青白磁釉薬の調合について

Q.近年の釉薬原料の変化により、青白磁釉薬の色調が変わってきたのですが、新しい釉薬の調合はないのですか?(陶磁器製造業)

A.基本的には、石灰釉系では砧青磁釉と呼ばれる青味の青磁釉(青白磁釉)となり、CaOの一部をSrOやBaOに置換すると、いっそう鮮やかなスカイブルー調の青磁釉(青白磁釉)が得られます。逆にMgOに置換すれば、いわゆる緑味の天龍寺青磁釉となります。

ゼーゲル式

(0.50KNaO)+(0.50CaO)=(0.60Al2O3・4.50SiO2)

大平SS長石68.7%

石灰石10.3%

朝鮮カオリン5.0%

珪石16.0%

の基礎釉薬に外割で炭酸バリウム3%、ケイ酸鉄0.8~1%の調合で良好な青白磁釉が得られます。
また、青味を求めるのであれば、長石-天草石-炭酸バリウム系基礎釉薬にケイ酸鉄、亜鉛華等を少量添加した釉薬調合として、大平SS長石20%、天草陶石50%、炭酸バリウム30%、亜鉛華1%、ケイ酸鉄0.8~1%の調合試験を行った結果良好なものが得られています。
しかし、これは還元焼成の過程及び還元濃度によって、微妙に異なることに注意してください。
また、青磁釉は鉄分(ケイ酸鉄・弁柄)を増やしても色は濃くなりません。鉄分を増やすと飴色から褐色~黒色となります。したがって青磁色を濃くしたいときは釉薬を二重、三重にかけるか、一度で厚くかけてください。

 瓦の乾燥について

Q.瓦の湿度乾燥とはどういうものですか?また、それを用いた乾燥機について教えて下さい。粘土瓦製造業

A.乾燥を早くするには、温度を高くするか、湿度を下げればよいのですが、単に温度を上げただけでは、表面蒸発速度に内部からの水分移動が追いつかず、表面と内部に水分差による収縮量の差異から歪みが生じ、亀裂が発生してしまいます。そこで温度を上げて内部の水分移動を大きくし、かつ、湿度を高めて表面蒸発速度を適度に調節すれば、欠陥が少なく、乾燥速度を増大させることができます。このことを湿度乾燥といいます。この方法を取り入れたバッチ式の平ぼし乾燥機が開発され、三州、淡路で実用化されていますし、菊間地区におきましても、現在1社運転しています。この乾燥機は、月産10万枚工場で6~7千万円程度で設置面積も今までのに比較して1月3日程度です。乾燥システムは、乾燥開始時から乾燥炉内をプラス圧にし、温度100℃、湿度90%以上にして急速に湿度乾燥を行います。乾燥工程すべてをプログラムコントローラーで自動制御し、乾燥機内には回転ファンを、外部にはダンパー調節で温湿度をコントロールし、追いだき用のバーナーも備えています。この乾燥機によると、従来4~5日かかっていたものが、13~16時間と極めて短く、成形、乾燥が24時間で終了します。平乾燥方式であることから、寸法精度もよく、歩留まりも100%に近いとのことです。季節による影響もなく、これにより生産スケジュールが立てやすく、従来より短時間で製品になるため、注文生産も可能になると思われます。

 鋳込用石膏型について

Q.鋳込用の石膏型を作りたいのですが、どのような石膏を使い、どのように作ればよいのですか?(陶磁器製造業)

A.石膏(焼石膏)は、特級、A級、B級、C級の4等級に分類されます。それらは、用途によって使い分けされます。今回は、鋳込用の型ですので、焼石膏のA級を使用します。この石膏は、標準混水量が74%ですので、焼石膏1kgに対し、水740gということになります。実際に必要な量を計量し、石膏粉を水中にむらなく投入するために、ステンレス製のふるい(20番程度)を使い投入します。投入した後は、水が石膏に浸透するために1分ほど放置しておきます。その後、一定の速度と方向を保ちながら、静かに力強くかく拌します。かく拌用の棒は、丸棒に限ります。とにかく気泡が入らないようにするのがポイントです。かく拌後は、石膏を入れた器の縁を棒で叩き気泡を出してやります。石膏かく拌の目安は、かく拌中に、やや重たく感じてくるとかく拌停止です。それ以上かく拌を続けると、流し込めなくなるほど固まります。かく拌後は、速やかに、あらかじめ作っておいた型枠に流し込みますが、その時にも気泡が入らないように注意し、静かに流し込みます。石膏を型の隅々まで行き渡らせるのと、気泡を追い出すために、型枠もしくは、台を叩きます。そして、石膏が完全に固まる前に型枠をはずし、荒削りをし、原型を整えます。その原型をもとに、先程の要領で鋳込型を作ります。型と型の離型には、カリ石鹸を使いますが、とにかくまんべんなくたっぷりと塗ることが大切です。目安としては、塗り終わった後に、水滴を垂らし、はじくようなら大丈夫です。以上、大切なポイントとしては、石膏混水量を間違わず、脱泡をしっかりし、離型時に、カリ石鹸をしっかり塗ると言うことです。

 粘土の開発について

Q.山に粘土があります。やきもの原料として利用できないでしょうか。また、どのような試験項目をチェックしたらよいでしょうか。(窯業土石業)

A.地場産業での利用を考えた場合には、下記の性質をまずチェックしたらよいと思います。

  1. .耐火度
    耐火度は素地の焼締まり(焼結)の状態に影響を与えます。SK20を目安として高い、低いとしています。
  2. .粒度分析
    粒度が可塑性、成型物の乾燥収縮や強度に影響を与えます。微粒部分が多いと一般的に原材料として利用可能なことが多くなります。微粒が多いというのは2um以下の部分が40%以上あることを目安としています。
  3. .X線回析
    粘土鉱物(カオリナイト、ハロイサイト、クロライト、モンモリロナイト等)を判定することができ、特性が明確となります。
    粘土鉱物は、微細ですので、これが多くなると耐火度が高まると同時に微粒部分が多くなります。
  4. .有害成分
    鉄分は2~3%程度含まれていても利用できる分野もありますが、できるだけ少ない方が喜ばれます。最も嫌われる成分として、硫黄分があります。
    これは種々いたずらをしますので1%以上あれば、使用しない方がいいでしょう。
  5. .量の調査
    ボーリング等の調査をして、業界では安定供給を望みますので、少なくとも1万トンレベルの量を供給できなければなりません。
  6. .開発条件
    採掘にあたっては、社会的な面も考慮しなければなりません。排土の処理、降雨時の排水処理、採掘後の後始末にもコストがかかります。現在では陶磁器原料であれば数万円/トンのこともありますが、陶器原料では、数千円/トンで取引されているようです。これらの条件を十分に考えて計画を立てる必要があります。

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