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令和3年度10月知事定例記者会見(令和3年10月21日)の要旨について

ページID:0011108 更新日:2021年10月22日 印刷ページ表示

日時:令和3年10月21日(木曜日)

 11時28分~12時05分

場所:知事会議室

 

 

 

 

 

(あいテレビ(幹事社))

 それでは会見に移ります。まず幹事社から代表質問させていただきます。愛媛県出身の真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞の受賞を受けて、今後、県としてさらなる地球温暖化対策やカーボンニュートラルの推進に向け、どのように取り組まれるのかをお伺いします。それでは知事お願いします。

 

(知事)

 本当に喜ばしい、うれしいニュースでございました。本県ゆかりの方としては4人目のノーベル賞ということで、なおかつ地球科学という前例のない分野において、ノーベル物理学賞を受賞されたことに対しまして、あらためて心からお祝いを申し上げさせていただきたいと思います。今日の地球温暖化研究の礎を築かれ、長年にわたり世界をリードされてきた先輩に負けないよう、県としても今回の受賞を追い風として、「オール愛媛」で地球温暖化対策の取り組みを強化していきたいと思います。

 昨年2月に、県では地球温暖化対策実行計画を策定しまして、長期目標として、国に先駆け、2050年の脱炭素社会の実現を掲げました。温室効果ガスの削減を図る「緩和策」、そして気候変動による被害の回避・削減を図る「適応策」を両輪といたしまして、施策を展開しているところでございます。

 まず緩和策でございますが、くしくも真鍋先生のご出身の四国中央市で、全国初、これはもう産業界が立ち上がってくれました。全国初の産業界の取り組みとして、地元企業が長期のビジョンをもって温暖化対策を推進する「四国中央市カーボンニュートラル協議会」が本年6月に発足したことはご案内のとおりでございます。こうした地元企業等と連携した地域の面的な温暖化対策を積極的に支援をしていきたいと考えております。

 また適応策としては、県の衛生環境研究所に設置しております県気候変動適応センターというのがございます、こちらにおいて、今年度から真鍋先生の気候変動モデルの考え方を採用して開発された「全球気候モデル」というのがございます。これを活用して、県内各地の長期的な気温等の予測の研究に現在取り組んでいるところでございます。今後、現在国が改定を進めている地球温暖化対策計画における温室効果ガス削減目標、こちらが大幅な引き上げがございました。こういったことを踏まえまして、県実行計画の改定を行うこととし、新たに再エネ導入目標を盛り込むための調査を現在行っておりまして、産業界や県民と一丸となって、「オール愛媛」で連携・協力して、郷土の偉大な先輩に刺激を受けて、脱炭素社会の実現に向け積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 また県民の皆さんには、これを機会に地球温暖化への関心を高めていただきまして、太陽光発電やゼロエネルギー住宅の導入、省エネ家電やエコカーへの切り替え、自転車、愛媛県、雨が少ないし、それぞれの地域においては坂も少ないということなんで、適している地域でございますので自転車、そしてまた公共交通の利用、路面電車等々が残っている都市も本当に今少ない状況で、やめたところは「なぜやめてしまったんだ」という後悔の声すら聞こえてくる、それが残っているという強みがあります。こういった公共交通の利用、身近なところから地球に優しいライフスタイルへ見直していただきまして、愛顔(えがお)あふれる持続可能なえひめづくりにご協力をいただきたいと思います。以上です。

 

(あいテレビ(幹事社))

 ただ今の答弁に関して、質問のある社はお願いします。

 

(テレビ愛媛)

 テレビ愛媛です。地球温暖化からは少し話がずれるんですが、環境問題として、今、海の水質がきれいすぎるということもなっていまして、ということで、海洋プラスチックごみという問題もあると思います。愛媛県、瀬戸内海に面しているということで、そこへの県としての取り組みをお伺いしたいと思います。

 

(知事)

 はい。海の問題というのは本当難しいなと思うんですね。昔の人の言葉を借りれば、「水清ければ魚棲まず」なんていう言葉もありますけれども、きれいになりすぎると栄養分が不足して、例えば海苔の養殖ができなくなったり、魚の生息状況が変化したりということにつながるんだけれども、その辺のバランスというのは本当難しいなというのを考えつつも、不要な、例えば今お話のあった海洋プラスチックごみ等については対策を常に取り続けていく必要はあると考えております。特にこの問題、愛媛県にとっては海洋・水産県でございますので、愛媛県にとっては大きな問題でございます。昨年度の調査で、漁具あるいはペットボトル等の大量プラスチックごみが確認されたことから、市町等と連携して回収、発生抑制対策を、今強化しているところでございます。

 まず、回収強化対策としては、これは先駆けて実施しているんですが、自治体と連携して海岸清掃や普及啓発等を行う個人・団体の登録制度を創設しまして、現在、8団体、3名を登録するとともに、漂着ごみが多い南予地域を対象に長浜町等の各漁協と地元市町との協働による海洋ごみ回収・処理モデル事業を実施しているところでございます。

 また、発生抑制対策として、海洋ごみの継続調査や立ち入り困難地域の漂着ごみの実態調査を実施するとともに、地元高校等との協力の下、河川に接続する小水路にごみトラップを設置するモデル事業に取り組んでおります。

 そしてまたさらに、本県を含む瀬戸内4県と日本財団が設立した「瀬戸内オーシャンズX(エックス)推進協議会」では海ごみゼロを目指し、河川や海底のごみの調査研究等を行っておりまして、今後とも関係自治体等と連携して、海洋プラスチックごみの削減・回収対策に取り組んでまいりたいと思います。以上です。

 

(テレビ愛媛)

 プラスチックごみに関連してですが、今、一部与党議員の方からレジ袋有料化が現在進む中、そこについて今後の見直しなどを現在の環境大臣に提言した、相談したという一部報道がありました。そこについて、レジ袋有料化などそういった部分への所感というのをお願いします。

 

(知事)

 そうですね、大量のごみの発生源の一つとして着目されたのがレジ袋の普及だったというふうに、国の施策展開で正式に進められてきました。その呼び掛けにおいて、これは買い物する方、事業者双方が意識しながら展開したことによって、愛媛県でもですね、レジ袋の辞退率というものを拾っているんですけども、国は6割を目標にしていたんですけども、愛媛県内8割を超えている。全国的にもそれくらいになっているのかな、どうなのかな。

 

(県民環境部長)

 7割ぐらい。

 

(知事)

 7割ぐらい。愛媛県内、かなり高い状況でございます。一つにはレジ袋が減ると全部減るのかというと決してそうではないと思うんですね。レジ袋は減っても、何かちょっとしたごみ出しの時に必要だというんで、例えばホームセンターで買うとか、こういう需要というのは逆に増加してますので、総排出使用量というのは全体的な使用量としたらそんなに変わってないのかもしれません。そこは分析が必要だと思います。ただ一方で、日々日々の一人一人の個人の買い物を通じて、マイバッグを使う、レジ袋を辞退するということによって、海洋プラスチックごみ問題を含めたそういった環境問題に関心を持つ人が確実に増えていると。その買い物という行為を通じて、そういう啓発につながってるというプラスの側面は大きな役割を果たしているんではないかなというふうに思います。特に環境問題というのは、前、市長時代には、環境問題により生活に密接したところで取り組んでいたんですが、一番のネックはやっぱり、一人一人の皆さんのライフスタイルにあって、結局、意識改革がなければ環境問題というものは解決しないと。しかもそれは非常に地味で、息の長い取り組みになると。だから、環境教育と環境啓発活動が非常に重要だということを学んだことがございます。これは、先行しているヨーロッパ、特にフライブルクというところが姉妹都市でしたので、当時の市長からも「環境教育と啓発活動が非常に大事だよ」というふうなことを言われたんで、今申し上げたようにレジ袋の有料化によって、環境問題の啓発に結び付いているということは大きな効果ではないかなというふうに考えています。

 

(あいテレビ(幹事社))

 各社さん、他に質問等よろしいでしょうか。それでは代表質問以外で質問のある社はお願いします。

 

(愛媛新聞)

 愛媛新聞です。伊方原発の再稼働についてなんですけれども、参考にしたいとしていた環境安全管理委員会が来週開かれます。もし四電の対応が適当と判断された場合なんですけれども、いつ頃、再稼働に対する意見表明などをされるお考えでしょうか。

 

(知事)

 いや、まだ考えてないです。はい。しっかりとした検証を行った後に、どうするかということを総合的に、まだ伊方町の判断も、地元の判断もあると思いますので、また何らかの、議会からの動きもあるかもしれないので、そういったことも含めて、今までの議会の議論の中で、全員が一致することはないと思いますので、判断するかどうかも含めて、考えていきたいと思っています。

 

(愛媛新聞)

 あらためて、この前、原発の方を視察されたと思うんですけれども、対策についてはどのように受け止めておられますでしょうか。

 

(知事)

 あの時、かなりつまびらかに会見でお話させていただきましたが、去年発生した連続トラブルと、そして今年発生した保安規定違反の問題、そして、国が新たに追加した重大事故に対応するための施設の問題、こういった点が非常に大きなポイントだったと思います。それぞれについて、国の要請以上に、発生直後から県独自の要請も行わさせていただきました。それに対して現場でしっかり行われているのかどうかというのを確認するのが、今回の視察の目的だったんですけれども、まず連続トラブルのことについては、専門家の皆さんがどういうところが直さないといけないというのは、しっかりと分析してチェックしておりますので、これについては一つ一つの施設の改善状況、この施設が追加されたことによって、こういうことになったというのを説明を一つ一ついただきまして、現地を確認させていただきましたので、これはしっかりできてきているなというふうに思いました。

 もう一つの保安規定違反についても、これは人の意識の問題も根底にありますから、これは100パーセントということは難しいのかもしれませんが、社長が先頭に立って、社員だけでなく協力会社の従業員まで含めて、今まで以上に啓発の呼び掛け、研修を強めているというのは、それは確認できました。それと新たに、GPSの機能を付与したスマートフォンを活用して、居場所の確認等を常時行える体制が取られていると。これは新たな対応だと思います。そういったことも現地で確認させていただきました。

 それから、重大事故等の対処施設については、これはちょっと機密保持の問題もありますので、つまびらかには申し上げられないのですが、非常に、いざという時のために強固なつくりになっているというのは構造的な問題、場所の問題も含めて確認ができてます。それから、実際の運用も見させていただいたのですが、この施設というのは本体がどうにもならなくなった時に、そちらの棟でバックアップ体制を取ると。そちらでもコントロールができるという施設になりますが、常時ですね、お互いがしっかり監視業務を行っているかどうかというのはデジタル画面を通じて確認し合う、24時間確認し合う体制もできてましたので、そのあたりの施設のハードとハンドリングについて体制を整えているということも確認できましたので、非常にしっかりと受け止めているということは感じたところでございます。当時は社長も原子力本部長も同席いただきましたけれども、あらためて何かあった時に隠し事はしない、速やかに県に報告するという全国の原子力発電所の中で唯一愛媛県が事業者に要請している連絡方式。これの維持というもの、徹底というものが信頼のための原点であるということをあらためて強く申し上げておいたところでございます。以上です。

 それからもう一つですね、重要なことを言い忘れていました。昨年の連続トラブルで一番大きな問題になったのが電源喪失、10秒間にわたって電源が喪失したということが大きな問題だと認識していました。と言うのは、福島原発のときに暴走が止められなかったのは、ひとえに全電源喪失にあったわけであります。電源さえ確保できていれば、発電機とポンプを動かして、場合によっては最終手段で海水を放り込んで冷却することができると。冷却をし続けることができれば原発の暴走は止められますので、それができなくなったのが福島のケースでありました。この電源については、当時、愛媛県としては、国の要請する大型の移動式ディーゼル発電機の設置は最低限の義務であって、アディショナルで国が求めていないけれども、上にある亀浦変電所から三つのルートで新たな送電線を作って、耐震工事も行って、新たなアディショナルな電源確保をするよう要請しましたが、これはもうできていました。今回、実はこれは現地に行って良く分かったのですが、10秒間というのは、本体の電源が切れました、その時に第2次電源につなぐということは速やかに行うようになっています。ただし、機械の関係で10秒間、こちらの2次的なバックアップ電源を立ち上げるまでに、どうしてもこの10秒間だけは発生してしまうらしいんですね。そういう意味で、今回はその2次電源は機能していたということは分かりました。ただし、それは技術的なテクニカルな問題で、10秒というのはこちらを使う場合どうしても発生してしまうということで、問題はこの本体の方で発生しないようにするということが大事であると。そういう意味で、国が求めている以上の電源設備をもう一つ、今回追加をしたということを現地で確認していましたので、前の時と同じように、国が求めた対策以上の電源対策を今回もさらに追加して行っているということはプラスの面ではないかなというふうに感じましたので報告させていただきます。すなわち、1個駄目になったら、今回発動したのが10秒遅れて、10秒の後に発動しましたので、ここはしっかりと起動をしていたということ、今回追加されたことによって、さらに3次、4次と。4次ぐらいまでバックアップ体制ができているということが確認されたということです。

 

(南海放送)

 南海放送です。おととい衆院選が公示されました。今回、衆院選の選挙ムードの盛り上がり等について、知事はどのように見られていますか。

 

(知事)

 盛り上がりということについて言えば、あまり感じないですね。重要な選挙なんですけども、やっぱりコロナへの対応に皆さん追われている、しかもこれから再開に向けてどうしようということがやはり優先するんで、投票には行かれると思うんですが、盛り上がりというのはちょっと感じないですね。ですから、やっぱり当たり障りのいい呼び掛けではなくて、例えば今、討論なんか見てても、給付金をいくら出すんだというのを競い合ってるようなですね、そういうものではないと思うんですね。もっともっと骨太の話を、しかも耳障りの悪いことを言う人が誰もいないというのがすごく気になります。いいことばかりできるはずがないと思うんですね。でもそれを言うと怖いというのもあると思うんですが、実は今、我慢するとか、我慢してくださいとか、こういうところはもうやめます、その代わり、こういう道にいざなっていきますとかですね、単に皆様の声をとか、国とのパイプ役、もうこういうことのメッセージだと盛り上がりようがないんではないかなと。だからもう骨太な、そして明確な主張というものをするということがすごく大事なんじゃないかなということを考えさせられるような感じがしています。

 

(南海放送)

 知事はどなたか支援に入られるご予定っていうのは。

 

(知事)

 これはもう、党とか僕はニュートラルですから関係ないんですが、お世話になった方に恩返しするということと、もう一つは、どの党でもいろんな政治活動のスタイルがあると思うんですが、何よりも愛媛県という地方の選挙区で出る以上は、首都圏志向であったら困るんですね。今もう首都圏、大都市圏とローカルの地方では政策のぶつかり合いというのがものすごく多くなってるんですね。気になっているのが、今、愛媛県はかつて衆議院(の選挙区選出議員)というのは9人いたんですけど、現在4人、次から3人になります。全体的な定数というのはそう落ちていないですから、比率で言うとますます首都圏を基盤とする国会議員が増えていきます。ローカルを基盤とする国会議員は減っていきます。だからそういう中で議論をすると、どうしてもローカルの声、地方の悩みというのは届かなくなっていくので、ともかく愛媛で出るんだったら、全体の事だったら首都圏で出る、愛媛で出るんだったらローカルの声というのを徹底的に届けていくという覚悟を持った方、そういう方はぜひ応援させていただきたいと思います。

 

(NHK)

 温暖化対策の話に戻ってしまうんですが、県としての実行計画の改定を考えられているということでしたけれども、具体的にはいつ頃であったりとか、もう少しそのあたり具体的にお聞かせいただけますか。

 

(知事)

 今、作業の日程についてはちょっと現場分かるかな。

 

(県民環境部長)

 再エネ調査を今年と来年度で行って、その後になるので、令和5年度を目途として計画の改定を考えております。

 

(知事)

 国の削減目標がちょっととてつもない数字がいきなり出されているので、計画で数字をパーンと出すのはたやすいことだとは思いますけど、やっぱり積み上げをして、それも結果できるかどうか、この問題、本当すごい難しいので分かりませんけども、やっぱりちゃんとしたステップを踏んでおく必要があると思いますので、ちょっと時間は掛けさせていただきたいと思います。

 

(あいテレビ)

 すいません、あいテレビです。現在ですね、「ひめの凜」の収穫が真っ只中だと思うんですけれども、今年度の出来栄えですとか、期待感というのはいかがでしょうか。

 

(知事)

 はい。まずですね、去年、おととしと、やっぱり良いものは消費者の皆さん、振り向いてくれるということを実感します。食味が非常に良い、粒が大きくてかみ応えもある、かつ、冷めてもおいしさが失われないという「ひめの凜」の特色というのが、県民の皆さんにも少しずつ広がっているかなと。いうのは、販売と同時にあっという間に売り切れてしまうというのがそれを証明していると思うんですね。評価が高いということが分かってきたことと、それから当初から県の技術陣が目指していた作りやすさ、特に、さっきの気候の問題と関連してくるんですけども、暑さに強い品種であるということ、それから茎が太いのである良質の品種のようにバタッと倒れることがほとんどないということ。こういったことを踏まえると、生産者の関心も年々高まっているのが実感しています。今ですね、愛媛県の全体の米作り、東北のような大きな生産県ではないですけども、さっきちょっと確認しましたら、一番多いのが、コシヒカリが4,200ヘクタール、ヒノヒカリが3,700ヘクタール、にこまるが1,500ヘクタール、これらの三つが栽培されている品種としては多いんですね。「ひめの凜」は、去年は100ヘクタールぐらいでしたけど、今年は310以上に拡大しています。さっき言った、作りやすい、温暖化に強い、茎が倒れないということ、しかも市場評価が高いということも含めて、やっぱり増え始めています。これをやがてコシヒカリを超える4,000ヘクタールまで持っていくのが今の計画であります。1,000を超えたあたりからですね、どんどん量が増えてきますから買いやくなると思いますし、そのあたりから県外への販路の販売戦略も立てられるようになるんではないかと思っております。

 特に1年目に西予の生産者が5,000からなる食味コンテスト全国大会でいきなり1位を取ったというのがですね、やはり大きかったのではないかなというふうに思いますので、期待感というか、物が良いだけに今後のさらなる発展を大いに期待しています。それが結果的に生産者の安定収入に結び付くようになればいいんではないかなと思います。

 

(愛媛新聞)

 先ほどの衆院選の争点にある憲法改正に関連してですね、緊急事態条項に対する知事のお考えをお聞きしたいんですけども、新型コロナ禍で、私権制限についてかなり議論になったかと思います。党によっては緊急事態条項の創設を唱えたところもあれば、現状の法改正の範囲内で対応できるといった声もあるかと思います。その新型コロナ対応の最前線に立たれていた知事として、この憲法改正による緊急事態条項の創設に対して、どのようにお考えでしょうか。

 

(知事)

 そうですね、まず整理をしますと、やはり憲法の基本的な理念というものは決して変えてはならないというふうに思います。基本的人権の尊重、国民主権等々ですね、恒久平和主義という三要素については、これは理念として絶対に崩してはいけないというふうに思います。ここをまずベースにすると。ただ文言あるいは社会の構造変化への対応というのを考えると、一言一句変えないというのがいいかと言うとそうではないと思います。だから大いに議論をすべきだと思うんですね。その中で、緊急事態条項については私権制限の問題が絡んできますから、極めて慎重に議論を積み重ねていかなければならないと。運用によってやっぱり、解釈で強権が発動されるというようなことがないように、必要なものだけをやるというふうな絞り込みが重要だと思っています。そこで問題になるのが、国の方はですね、なかなかコロナの現場を知らない方が多いですね。実際に現場でやり取りしてたわけではありませんから、まさに今回は各地方で、現場を担ってる地方でどんなことが問題になったのか、ここをどうすればそれが解決するのかという分野ごとのきめ細かい意見をですね、経験していますから、汲み上げるステップを丁寧にやる必要があるんじゃないかなと、そこから先の議論じゃないかなというふうに思っています。それをやらないで、現場を知らない国関係者だけでやると、解釈等で非常にのりしろがあるような、ちょっと危ない方向に持っていかれてしまう可能性もありますので、ここは本当に、今言ったようなコロナというものの経験を積んできた地方の現場の意見をしっかり聞くという作業がまず第一ではないかなというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)

 今の地方の声ということでいくと、県の方でも飲食店の時短要請などもありましたけれども、現場ではどんな問題があったとお感じになられていますか。

 

(知事)

 そうですね、やっぱりちょっと愛媛県はそこまではいっていないんですが、東京の状況というのが最終的には全国に波及するというのは、要は人口が多いということもあるんですけども、これはもう若干遅れて地方に波及してくるというのは経験したことですから、そういったところでの制限を限定的にどうするのかというふうなことをやってもらえたら、こちらが直接じゃないんですけども、首都圏の、そういう大都市圏の問題として考えていただきたいなということが一点と、それから、愛媛県にある程度感染が拡大してきた時に、どうしても人流を、極力、経済へのダメージを減らしながらも人流抑制を考えなきゃいけないという、非常に難しいハンドリングだったんですけども、その時にやっぱりある程度の、お願いベースしか今の法律できませんから、例えばですね、今回、時短の命令、それから店名公表、それから過料とここまではあるんですが、これの期間がですね、あまりにも長く時間がかかりすぎて、こういったものができるようになったんだけども、効果的にそれが使えないということがはっきりしたんですね。そのあたりはもうまさに現場の声として汲み取って、では私権制限との範囲で、どの程度まで許されるのかという議論をしていけばいいんじゃないかなというふうに思いますね。

 

(愛媛新聞)

 すいません、新居浜市の一家3人が殺害された事件についてお聞きします。西条保健所の方が、新居浜署から容疑者に関する福祉的支援のための情報提供を受けていた点について、県としては法律に基づく通報ではなくて一般的な情報提供だったため、措置入院などの対応は困難だったとの認識を、課への取材とかでお聞きしています。あらためて知事としての今回の件に対する認識をお伺いします。

 

(知事)

 そうですね、これ本当に、やはりわれわれ法治国家ですから、法律に基づく措置というものを超えられないというところがございます。今回の情報としては保健所の方に入っていたと聞いています。ただしそれは法に基づく通報ではない。いわば「こんなことが情報としてありますよ、入れておきます」というレベルなんですね。これ警察の方でも発表しているとおりでございます。措置入院というのは、この警察等から法に基づく通報があるというのが前提になります。緊急に保護をする必要があるというふうな場合に、措置入院という措置ができるようになっています、法律上。ここらへんが難しいんでしょうけど、警察等とのやり取りの中では、非常にそのやり取りの中では落ち着いていたということを間接的には聞いているんですけども、その判断というのは本当に難しいと思います。もう一点は、その後に本人あるいは家族からの申し出・同意が処置(任意入院・保護入院)には必要になってしまうので、それなしには動きようがないですね。今回はそういう意味ではそれがなかったということもございますので、体制はいつでも出れるという体制を整えていたとしても、具体的なその要件というのが、例えば法に基づく通報、あるいは本人・ご家族からの相談、これがなかったということで待っていたということから、一歩踏み出せない状況が続いていたのではないかと思います。

 

(愛媛新聞)

 今回の件について、何かしら内部での対応の手順の変更とか、見直しとかというのは、特にはお考えはないでしょうか。

 

(知事)

 ないですね。それをやるとすれば、国会で法律を改正していただく必要があると思います。むしろ、ぜひそういう方向で議論していただく方が良いんじゃないのかなと。当然のことながら、国には報告するということになりますので、はい。

 

(愛媛新聞)

 その方向というのは、もう少し踏み込んだ対応ができるような方向でということで。

 

(知事)

 そうですね、これも難しいですよね。結局、法治国家である以上はそれを超える行為というのは、行政としてはやっぱりできないんですよね。だから感情論とかそういった感覚で言うと分かるんですけども、そこができない、例えばさっきの時短もそうなんですけど、「今すぐ店名公表すればいいじゃないか」と、これはみんな思うと思うんです。でもできないんです、それはね。比較するのがいいかどうかは別として、そのあたりの限界って何ごとにも存在するので、しょせん法律も人間が作るものですから、そういった意味で憲法も含めてですね、時代時代に合ったものを常に考えていくということが大事ではないかなというふうに思います。

 

(あいテレビ(幹事社))

 他よろしいでしょうか。ではこれで会見を終わります。

 

(知事)

 はい、どうもありがとうございました。


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